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メインフレームのモダナイゼーション

コンピュータのオープン化が進む中で、多くの企業でメインフレームを刷新するモダナイゼーションへの関心が高まっている。IBMからスピンオフして誕生し、世界中のメインフレームの運用を担っているキンドリルは、この状況をどう捉え、解決策としてどのようなアプローチを提案しているのか。来日したキンドリルホールディングス グローバル・プラクティス・リーダーのペトラ・グーダ氏とキンドリルジャパン メインフレーム・サービス事業部長の斎藤竜之氏に話を聞いた。

世界の90%以上のユーザーは
メインフレームを使い続ける

――グローバルのモダナイゼーションへの取り組み状況を教えてください。

ペトラ モダナイゼーションのメインドライバーは、事業の成果をいかに素早く上げていくかということです。そのためにはデータ活用が欠かせません。今、企業の持つデータの多くはメインフレームの中にあります。

ペトラ・グーダ 氏
キンドリルホールディングス
コアエンタープライズ&クラウド
グローバル・プラクティス・リーダー
ペトラ・グーダ

 私たちが大規模ユーザーを対象に実施した調査では、90%以上のユーザーが「メインフレームの重要性は変わらない」と回答し、95%が「一部をクラウドや分散システムに移行した、あるいはその予定」と回答しています。つまり、ハイブリッドによるデータ活用が進むことが想定されています。

 重要なのは、どのアプリケーションをメインフレームで稼働させ、どれをクラウドなどに移行させるかということです。ワークロードに合ったプラットフォームでの運用が求められています。それを決めるのはIT視点ではなく「ビジネス視点」です。ただ、ユーザーの9割以上がまだ計画段階にあるというのが実感です。

――日本の現状はどうでしょうか。

斎藤 昨年まではメインフレームから他プラットフォームへの移行を中心に考えていたユーザーが多かったのですが、今はメインフレームを生かしながらモダナイゼーションを考えるユーザーが増えています。止められない、安定稼働を求められるシステムにおいて、大量処理やピーク時のバランシング、障害時の原因追究をやりきれるメインフレームが依然として評価されているからです。

斎藤竜之 氏
キンドリルジャパン株式会社
ストラテジック・サービス本部
メインフレーム・サービス事業部 事業部長
斎藤竜之

 事業を継続するという社会への責務を果たすために、メインフレームを最適化しながらどのアプリケーションを外に出すのかを検討しているケースがほとんどで、多くの相談が寄せられています。

ペトラ 生成AI(人工知能)が注目されていますが、企業の最も重要なデータはメインフレーム上にあります。それをセキュアに活用してこそAIから価値を引き出せるのです。

リスクを最小化しながら
最適なプラットフォームを

――メインフレームをモダナイゼーションするうえでの課題はどこにあるのでしょうか。

ペトラ まずスキルが問題です。最新の運用スキルがないとモダナイズできません。もう一つはコンプライアンスを重視してリスクを最小にすることです。メインフレームは規制対象業種で使われていることが多く、複雑なシステムが稼働しています。規制を順守してリスクを最小限にする必要があります。

 3つ目はセキュリティリスクです。49%の企業がサイバーセキュリティを最優先事項に挙げています。そして4つ目はドキュメントが存在しない古いシステムにどう対応するかです。そこでは私たちの持つ専門的なスキルが必要とされています。

斎藤 メインフレームユーザーの多くはシステムの安定稼働を最優先に考えています。そのためにはシステム全体に対する理解が重要です。一つの変更がどこに影響するのかを把握したうえでモダナイゼーションに取り組まないと、進む都度新たな課題が発生し遅延や追加のコストが発生します。特に非機能要件などが見逃されがちです。

斎藤竜之 氏
「メインフレームユーザーの多くはシステムの安定稼働を最優先に考えています。そのためにはシステム全体に対する理解が重要です」

ペトラ ただ、課題が多いのはチャンスの裏返しでもあります。課題をクリアしてメインフレームを連携させることができれば、データを安定的に活用できます。

――課題解決にはどのようなアプローチが考えられるのでしょうか。

ペトラ アプリケーションごとにアプローチすることをお勧めしています。個々のアプリケーションからビジネスのメリットをどう引き出すのかを考え、システム全体を見ながら一つひとつステップを踏んでモダナイズしていくことが重要です。

 方法としては、メインフレーム上のモダナイズ、他のプラットフォームとの統合、他のプラットフォームへの移行の3つが考えられますが、アプリケーションごとにビジネスの視点からしっかりと議論して方法を選択することにより利益が1割前後向上します。モダナイゼーションはITプロジェクトではなく事業目標そのものなのです。

システム全体を視野に入れて
モダナイゼーションを支援

――日本企業に対してどのような支援ができるのでしょうか。

斎藤 キンドリルはマネージドサービス企業であり、何十年もメインフレーム運用に携わってきました。データベースやミドルウェアを含むメインフレームのエキスパートたちは、これまでの経験から課題をどうクリアしていくかということを熟知しています。やるべきことを洗い出し、安全で確実に稼働させるための最適解を提案できます。

ペトラ メインフレームに特化した専門家がグローバルに8000人いて、規制業界のミッションクリティカルなシステムの支援にあたっています。日本チームのスキルは非常に高く評価されています。一方、他国から日本への協力要請も多くあります。

ペトラ・グーダ 氏
「メインフレームは企業のDXを実現するための重要なプラットフォームです。モダナイゼーションで競争力向上に貢献できるでしょう」

斎藤 グローバルの知見を共有できるのが私たちの強みです。日本チームの課題を海外チームとの協業で解決できたケースもあります。

――今後、メインフレームはどのような位置づけになっていくのでしょうか。

ペトラ メインフレームで価値を生むアプリケーションはメインフレームが担い、メインフレーム自体をモダナイズすることで他のシステムとの連携も実現できるようになります。

 メインフレームは事業上の価値を生み出すことが求められている企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するための重要なプラットフォームです。モダナイゼーションすることでこれからも競争力向上に貢献できるでしょう。

(※)「メインフレームモダナイゼーション状況調査レポート 2023年」:キンドリルがColeman Parkes Research社に委託し、メインフレームを利用する500社を対象に実施した調査レポート。

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