

——このインタビューは、USMHの角野泰次デジタル本部長にも参加いただいています。角野本部長はカスミのCIO(最高情報責任者)も兼務されています。発注側の立場から、VTIに委託した経緯を教えてください。
角野:当社は以前からベトナムのオフショア開発を利用しており、品質や開発スピード、コストパフォーマンスなどを評価していました。最近は、より本格的にベトナムIT企業を活用したいと考えるようになり、2022年夏にハノイとホーチミンで計7社を視察しました。その中でVTIが最も魅力的だと感じたため、帰国してすぐ「VTIがベストだ」と経営陣に報告しました。
——VTIのどんな点を評価したのですか。
角野:最大の理由は「社風」です。社長を含む経営陣と、現場の技術者たちの関係性がフラットで、自由な発想が生まれやすい環境でした。技術者たちが経営陣に遠慮せず言いたいことを自由に発言する雰囲気がありました。
当社が求める開発先の理想像に合致していました。当社は「この通りにシステムをつくってください」と下請けのように扱うのではなく、共にアイデアを出し、アジャイルにシステムを開発する形を望んでいます。その場合に重要となるのがフラットな関係性です。
VTIは技術のレベルが高く、日本の小売業における店舗や本部などのビジネス、取引の流れなどをしっかり理解しています。一緒に開発を進めるうえで理想的な社風も備えていると判断したため、発注を決めました。
——委託先の開発体制や、案件の概要について教えてください。
角野:VTIに90人のチームを設けてもらっています。そのうち半分に基幹系を、残る半分にスマホアプリなどを担当してもらっています。
現在、店舗で使用するスマホ決済用アプリ「Scan&Go(スキャンアンドゴー)」の開発を、VTIなどに委託しています。Scan&Goは外販にも力を入れており、「ignica(イグニカ)」という名称のUSMHのデジタルサービスブランドのもとで展開しています。現状、Scan&Goの開発の50%をVTIに委託しています。今後はこの比率を高めていきます。
2023年7月までは当社グループでUSMHのみがVTIに発注していましたが、8月に傘下のカスミもVTIへの発注を始めました。今後は他のグループ各社からも、VTIへ発注していきます。
——改めてコイ社長に伺います。VTIの開発体制について教えてください。
コイ:現在は創業6年目、社員数は合計1200人ほどです。ベトナムと日本、韓国に拠点を設けており、ベトナムには約1000人、日本は東京、大阪、名古屋の拠点に合計130人がいます。
主にオーダーメード型のシステム開発を受注していますが、2年前からは自社製品の開発も始めました。具体的には製造業向け生産管理や品質管理、在庫管理、IoT(Internet of Things)関連、顔認証勤怠管理、AIによる自動車ナンバー特定システムなどがあります。
——日本企業向けのビジネスに取り組む会社を設立した経緯を教えてください。
コイ:私は1996年からベトナムのIT業界で働いています。2004年に海外産業人材協会(AOTS)のプログラムに参加して、初めて日本へ行きました。それ以来、日本が好きになり、日本で仕事がしたいと考えるようになりました。
その後、日本向けのソフト開発を手掛けるベトナムのIT大手に入社し、2010年から2015年までは日本に住みました。その間に、多くの素晴らしい価値観を学びました。
多くの日本企業がデジタル活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)に意欲的な一方で、「DXを共に進めるパートナーがなかなか見つからない」と悩む企業も多いと知りました。こうした現状に商機を見出し、帰国後の2017年に起業しました。
——日本で学んだ価値観とはどのようなことですか。
コイ:尊重、責任、改善の3つです。これらはVTIのコアバリューにもしています。日本はこれらの点において、世界一だと思っています。
——今後の目標を教えてください。
コイ:当社の規模は、ハノイのIT企業の中でも真ん中くらいのレベルです。日本市場にしっかりと対応するにはまだまだ不十分な規模感なので、拡大が必須です。4年後の2027年に売上高1億ドル、従業員数3000人の達成を目指しており、株式市場への上場も視野に入れています。日本市場においては、売上高を年4割のペースで伸ばすのが目標です。
規模拡大にあたっては、人材の採用と教育にも力を入れます。ハノイの有名4大学と連携し、優秀な学生をインターンとして受け入れ、採用につなげています。社内研修においては、社員の技術力と業務知識の向上に努めています。
——多くの日本企業が今、DXに積極的に取り組んでいます。VTIは日本企業のDXにどう貢献できますか。
コイ:日本においてはDXの取り組みが加速していますが、人材不足に悩む企業も目立ちます。当社は技術力や業務知識、コミュニケーションに必要な日本語力を備えた人材を抱えています。
お客様の業務や課題をもっと深く理解したり、より多くの優秀な人材をそろえたりするための取り組みについては、改善の余地があると考えています。人材の採用や社員教育に取り組み、日本企業のDXをもっと強く支援できるよう、努力していきます。