千葉市若葉区内の通所介護事業所、リハビリリゾートてぃーだ千城台では、在来工法の浴室をユニットバスに改修した。それに併せて取り入れたのが、2室連結ユニットバスだ。魅力の1つは、入浴介助の負担軽減。だがそこには、実例だからこそ聞こえてくる、別の魅力もあるという。施設長の松崎拓也氏に聞いた。
(聞き手:日経BP総合研究所 上席研究員・小原隆)

数人規模で入浴できる在来工法の浴室をユニットバスに改修されました。その理由からまず教えてください。

松崎 車いすのご利用者様を受け入れられるようにするためです。事業所を2015年9月に開設した当初から、車いすのご利用者様からは通所を希望する声が出ていましたが、送迎用の車両が福祉用ではなかったため、ご要望には対応できませんでした。

 ところが2023年6月、同じ千葉市若葉区内にもう1カ所新しく通所介護事業所を開設するのを機に、競合を避けようとコンセプトを見直しました。その結果、車いすのご利用者様を受け入れることを決め、福祉車両を1台調達するほか、チェア浴を取り入れることにしたのです。

 チェア浴に用いる機器としてまず選んだのは、福祉・介護機器メーカー「いうら」で製造・販売する入浴リフト(リフト付シャワーキャリー)です。このリフトは、浴槽に設置したレールに接続し、シートごと浴槽上にスライドさせ、入浴を介助するものです。浴室で利用するには、このリフトを取り付けられる浴槽に取り替えなければなりません。

 どの浴槽を導入するか、商品を調べていくうちに出合ったのが、パナソニックハウジングソリューションズで製造・販売するユニットバス「アクアハート」シリーズです。使い心地を東京・汐留のショウルームまで確かめに行き、その個浴タイプの採用をまず決めました。この時、同じユニットバスの2室連結タイプのことを聞き、浴室の改修に伴い個浴と組み合わせて取り入れることを検討し始めたのです。

2室連結ユニットバスは、検討段階ではどのあたりに魅力を感じていましたか。

松崎 入浴介助にあたる介護スタッフに聞くと、壁で仕切られた個浴のユニットバス2つならスタッフは2人必要ですが、2室連結タイプならスタッフは1人で済むかも、という声が上がりました。浴槽の間を仕切るのはカーテンのため、介護スタッフがご利用者様の入浴介助にあたっている時でも、もう1人のご利用者様が浴槽から出ようとしていれば、音が聞こえます。その音を頼りに、そちらの入浴介助に回ることも可能です。それに2室連結ユニットバスは、2つの浴槽の間のスペースを有効に活用できそうです。そうすることで、入浴介助の負担をさらに軽減できるのではないか、と話していました。

入浴介助にあたる介護スタッフには、好意的に受け止められたということですね。

松崎 はい。スタッフの負担軽減や、人員シフトも工夫ができそうだと考え、チェア浴にも利用できる個浴タイプと2室連結タイプを採用することを決め、3週間ほど改修工事に当てました。工事期間中は、先ほど申し上げた新規開設の通所介護事業所に利用を振り替えてもらっていました。開設間もなくの時期で受け入れに余裕があったのは、運が良かったと思います。

ユニットバスへの改修工事に伴い、随所に手すりを設置した。また個浴タイプには、入浴リフトを用いたチェア浴を可能にするレールを浴槽に設置。その上をスライドさせる形でシートをまず浴槽上に移動させ、そこでシートの位置を下げれば、利用者を浴槽の中につからせることができる。

ところで、利用者にとって入浴は、やはり重要な行為なのですか。

松崎 それはもう。ご利用者様は近くの団地にお住まいの方が多く、中にはご自宅ではシャワーだけという方もいらっしゃいます。浴槽が古い造りのため、またぎが深くなり、高齢者には使いにくいからです。ご利用者様は要介護認定を受けていてもリハビリのメニューをこなせるほど元気な方が少なくありません。それでもご自宅の浴槽につかれない方がいらっしゃるわけです。そういうご利用者様にとっては、ここでしか入浴の機会を得られないだけに、とても重要です。とりわけ、冬は入浴を楽しみに通われる方が多いですね。

浴室の改修工事を終え、2室連結ユニットバスを実際に利用するようになってからの様子はいかがですか。

松崎 入浴介助の負担については、ご利用者様の組み合わせによってやはり軽減されています。改修工事前は浴槽が大きいため、浴槽につかるご利用者様を1人にはしておけなかったのですが、いまの個浴タイプはコンパクトなので、身体状況が健常なご利用者様であれば1人でもそう心配はいりません。介護スタッフが1人でも、もう一方の浴槽周りで別のご利用者様を介助することが可能です。身体状況に応じてご利用者様を適切に組み合わせることができれば、入浴介助の効率をさらに上げられる可能性も見込めそうです。

仕切り部にあるカーテンを開け閉めすることで、利用者2人に介護スタッフが1人で対応可能になったり、2つのバスを同時利用した際に利用者同士の会話が弾むなど、様々なメリットがある。

入浴介助が1対1でなく、利用者2人に対して介護スタッフ1人という組み合わせになることで、新たな関係性も生まれているとか。

松崎 そうなんです。男性の知人同士など裸を見られることに抵抗のないご利用者様については、入浴時にカーテンを開け放すこともあります。そのうえで介護スタッフが体調をお聞きすると、不調な点がある場合、1対1の時と違って、それを素直に訴えることがあります。開放的な気持ちになるのか、3人での会話が弾むのか、1対1では決して訴えないような体の不調についても打ち明けてくれることがあるんです。そうすると私たちも必要な対応を取れますから、介護の質を上げられます。

面白いですね。利用者によりけりという側面はあるにしても、2室連結ユニットバスの魅力は、入浴介助の負担が軽減されるという点だけではないということですね。

松崎 そうですね。何よりもユニットバスに改修したのは、大正解でした。改修工事前は、シャワーのある場所から浴槽まで1mは移動しなければなりませんでした。当然、移動介助が必要です。ご利用者様は全裸ですから、介助するのは難しいんです。しかしいまは、シャワーのある場所と浴槽は近く、移動介助の苦労はありません。それに、パナソニックハウジングソリューションズの提案を基に手すりを随所に設置してもらいました。改修工事前は浴槽の出入りで使う手すりだけでしたが、いまは出入り口の扉の近くやシャワーのある場所の近くなどにも設置しています。ご利用者様は介助を受けなくても、それらを使い分けながら一人で入浴することも可能になっています。浴槽をまたぐにしてもそう深くはありませんから、その点もご利用者様の入浴を助けています。

千葉市若葉区にある大型デイサービスセンター。専門職によるリハビリのほか、最新機器による楽しい運動プログラム、カラオケや日替わりレクリエーション、屋外歩行訓練。

●所在地:千葉県千葉市若葉区千城台南4-5-2
●定員:55人(土曜日定員45人)
●営業:月曜日~土曜日(祝日営業)
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・株式会社エルダーテイメント・ジャパン
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