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デジタル変革の新たな伴走者 ベトナムIT産業の底力デジタル変革の新たな伴走者 ベトナムIT産業の底力
Vol.5 FUJINET SYSTEMS JOINT STOCK COMPANY

モットーは忠実・努力・改善、中長期の視点で顧客に応える
顧客の「声」を経営に反映、着実かつ持続可能な成長を重視

学生からの人気が高く、
入社倍率は30倍

——人材獲得競争が激しい、ということでしたが、優秀な人材を獲得するためにどのような工夫をしていますか。

 ベトナムの大学30校以上との協力契約を締結しており、大学生向けのイベントを開くなどして積極的に採用活動をしています。月1〜2回は大学生の見学を受け入れる機会も設けています。

 2023年は月平均で200人、年間で約2500人の応募が集まりました。筆記、面接などを経て、150人を採用しました。主にIT系の学部を卒業した人材です。

——激戦ですね。

 はい、優秀な人材に入ってもらうために厳選して採用しています。人材獲得競争が激しいとお話ししましたが、当社は知名度がある程度あるため、採用活動を積極的にすることで十分な応募が見込める状況です。

 現在はベトナムの国内景気があまり良くないため、国外向けのビジネスを手掛ける当社の人気が高まっています。2024年は3600人の応募が見込める状況で、120人を採用予定です。

——人材を確保するためには離職を防ぐことも重要だと思います。

 現在の当社の離職率は12%程度で、ベトナムのIT業界の平均が25%程度であることからすると、かなり低く抑えられていると言えます。離職者を上回る新規採用を行い社員数の増加を維持しています。

——離職率を低く抑えるポイントはどこにありますか。

 私は入社後の社員に対し、1時間のレクチャーで自らの思いを丁寧に伝えています。具体的には「社員の給料を払うのは社長ではなくお客様であり、お客様の信頼にお応えすることが重要だ」「当社は社員を大切にする。優先順位はお客様、社員、株主の順だ」といったことを話しています。

 具体的な離職低減施策としては大きく4つあります。作業環境などハード面で良い職場環境をつくること、コミュニケーションや人間関係などソフト面で良い職場環境をつくること、日本語教育やスキルアップセミナーなど自己啓発活動を支援すること、待遇・福利厚生面を改善することです。

 例えばハード面の職場環境づくりとして、社員のためにここ5〜6年で様々な取り組みをしてきました。机を大きいものに買い替える、1人当たりのスペースを拡大する、長く座れて仮眠も取りやすい高級な椅子を導入する、といった具合です。ベトナム人は昼食後に少し昼寝をする習慣がある人が多いので、寝やすい椅子であるかどうかはとても重要なのです。

開発現場の様子
開発現場の様子

 こうした取り組みは、社員に対して実施しているアンケートで、多く声が上がった事柄を実現する形で進めています。最近はアンケートを参考に、室内に植物を飾るサブスクリプションサービスの利用を始めました。毎月飾る植物が変わるため、社員は変化を楽しんでいるようです。

 このように、できる限り社員の声を聞くようにしています。その代わり「納期は守ってね。バグの件数も期待通りに収めてね」と社員にお願いしています(笑)。

 自己啓発活動の支援においては、入社後に1カ月の座学の研修や、3カ月の現場研修、各種スキルアップセミナーなどを多数用意しています。スキルアップできる手段が多いのも、離職率の低さにつながっていると思います。

 社員を大切にすれば、社員のモチベーションも上がり、定着率も上がります。そうした良い循環が起こることを強く意識しています。

今年に入って
AI関連の引き合いが急増

グエン・ダン・フォン氏
FUJINET SYSTEMS JOINT STOCK COMPANY
代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)
グエン・ダン・フォン

——どのような業種の案件を多く手掛けていますか。

 業種としては小売り、流通、製造、電力などが多いです。開発するシステムとしては販売、生産管理、倉庫、電子商取引(EC)などの基幹系が中心で、そのほかにスマホ系やAI(人工知能)関連、クラウド化なども多く手掛けています。使用するプログラミング言語はJavaが多いです。

 AI関連の案件は今年に入って引き合いが急増しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のために既存システムをクラウド化したい、という案件も増えています。

 お客様の規模は、いわゆる大手企業が半分、中堅企業が残り半分といった具合です。

 お客様は東京、大阪、名古屋の企業が多く、三重、福岡、札幌などの企業様もいらっしゃいます。

——日本企業から受注を獲得する上で、どんな点が強みになっていますか。

 日本Sier大手企業に求められている技術・品質・セキュリティーの要求に対応できることです。

 さらに、24年間で培った経験、日本語力や日本企業の考え方を理解していることによるコミュニケーション能力、納期を守る責任感、コストパフォーマンスなどです。

 品質については、組織のプロジェクトマネジメント力を評価する指標であるCMMI(Capability Maturity Model Integration)を、徹底して現場に適用しています。

 お客様アンケートの結果も非常に重視しています。その結果を基に、問題点や前年との違いなどを分析し、改善につなげています。この評価は、担当社員の処遇にも反映しています。

 現在のところ、「とても満足」と「満足」の回答の合計が8割を超える結果が出ていますが、それでも改善できるところは多く残っています。できる限りお客様のお声に応えていきたいと考えています。

10年後に売り上げと
人員の倍増を目指す

——今後の成長計画について教えてください。

 売上高は年 10%前後のペースで増やし、10 年間で 2 倍以上に伸ばしたいと考えています。社員数も年 8%前後のペースで増やします。着実な成長と安定供給を両立します。

 2023年に、それまで中国に大規模なオフショア開発を発注していたある日本企業様から、当社のオフショアに切り替えていただいた案件がありました。中国企業での離職率の高まりや人件費の高騰が理由だと伺いました。同様のケースは今後さらに増えるのではないかと期待しています。

——ベトナムのIT企業は年30〜40%の急成長を目指す、野心的なところが多いイメージです。需要増などを踏まえると、年10%というのは控えめな目標のように思えますが。

 そのような傾向がありますね(笑)。でも我々は、高過ぎる目標は、あえて立てないようにしています。成長を急ぐとバランスが崩れ、人の質も落ちます。短期的には成功するかもしれませんが、顧客の満足度低下につながる恐れがあります。結果として、中長期的な成長が難しくなるでしょう。

 規模の拡大よりも、まずは受注した案件をしっかりと成功させることが重要です。仮に3〜4回成功しても、1回失敗すれば信頼を失います。ですから、絶対失敗しないよう慎重に取り組むことを重視しています。

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