大和田 利用シーンが拡大し、公的なサービスでも使われるとなると、情報セキュリティーの確保が気になるところです。安全面ではどのような対策を講じていますか。
下垣氏 プライバシーとセキュリティーを守ることは、私たちにとって最優先事項で、Zoom Meetingsはこれまで400以上のセキュリティー機能を追加してきました。通信にTLS暗号化を使用し、ミーティング、ウェビナーやメッセージの中身には高度な暗号化(AES256-GCM)が標準で適用され、必要に応じて無償ユーザーであってもミーティングにエンド・ツー・エンドの暗号化を適用可能です。他社にはあまりない機能としてはミーティングの画面や音声に透かしを入れることができるため、情報漏洩対策にもつながります。それらの機能に加え、アメリカのホワイトハウスやダボス会議などで採用されている実績からも、セキュリティーの堅牢さを物語っています。
大和田 昨年末には、ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program:政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)の登録も完了されました。
下垣氏 ISMAPは、日本の政府機関によるクラウドサービス調達のセキュリティー水準を保証するプログラムで、情報セキュリティー対策およびマネジメントコントロールの実施状況の監査を受け、Zoom MeetingsをはじめとするZoomの主力製品が2023年12月に登録が完了しました。官公庁や地方自治体などがZoomのサービスを安心して使えるようになり、既にISMAP対応版の利用を開始した中央官庁もあります。
大和田 Zoomのサービスはこれから公的機関や社会にどう広がっていくのでしょうか。
下垣氏 既にZoomを全庁規模で導入して、全職員に有償ライセンスを付与している地方自治体もあります。職員がいつでも会議を主催できるため、テレワークはもちろん、職員研修やオンラインイベント、外部関係者とのミーティングなどにも活用が広がり、業務効率化、コミュニケーション活性化など様々な効果を生み出しています。また、先ほど教育機関や役場の支所でのZoom Meetingsの活用事例を紹介しましたが、中央官庁でも利用されるようになることで行政全体での活用が加速し、国民・地方自治体・中央官庁を一気通貫で結ぶコミュニケーションツールとなることに期待しています。
大和田 行政サービスを利用する側と提供する側、双方の利便性の向上を目指しているということでしょうか。
下垣氏 その通りです。Zoomはその使いやすさが最大の特徴の1つです。ビジネスパーソンだけでなく、IT利用に必ずしも長けていない「市民」との顧客接点で活用することで、その特徴が生きていきます。Zoomの様々な機能を活用して、自治体の窓口に設置したモニターで耳の不自由な方と職員がリモート手話通訳や自動字幕でコミュニケーションを取る、日本語に習熟していない外国人住民の方と職員が自動翻訳機能を使ってやり取りするといったことが円滑にできれば、ダイバーシティへの対応もしやすくなります。
大和田 医療や災害対策など、緊急性が高い用途への応用も考えられますか。
下垣氏 オフィスの会議室向けのビデオ会議システム「Zoom Rooms」を利用して地域の複数の救急病院が連携し、救急患者への対応を迅速に話し合うといった試みがなされており、こうした活用は今後さらに広がっていくはずです。また、自宅にいながらZoom Meetingsで診察を受けるオンライン診療は既に実現していますが、これに加えて、例えば地方都市の病院から遠隔地の医師にデジタル紹介状を送り、その病院にはない診療科の診療をオンラインで受けられるようにすることなども検討されています。災害対策では、迅速な情報共有を行うためにZoomのサービスを利用されている自治体がいくつかありますが、ISMAPの認証を受けたことでその注目度もいっそう増しています。
大和田 情報セキュリティー水準の確保は、オンラインの企業向けコミュニケーションプラットフォームには欠かせない要件ですね。
下垣氏 セキュリティーの要求レベルが高い金融機関で、プライベートバンクサービスを受けるお客様とのオンラインコミュニケーションなどに利用されるケースが増えつつあるのは、まさにその表れだと思います。