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Vol.10 VTI

「日本企業に最適化したAIを開発する」
ベトナムIT企業VTIの技術戦略

コンピュータビジョン、
生成AI、データ分析が柱

ファム・タン・ハー氏
株式会社VTI
最高技術責任者
ファム・タン・ハー

——企業が特に注目すべきAI関連の技術や、AI活用の余地が大きい業種について教えてください。

 AIによって日本の強みといえる産業を、より強くできると考えています。具体的には製造、リテール、金融、医療などです。

 例えば製造であれば、AIを品質のチェックに活用できます。外観検査や保全管理といった、従来多くの人手を要していた作業を、AIによって自動化できます。

 リテールであれば、生成AIやチャットボットを顧客対応の高度化に活用できます。顧客からの問い合わせにチャットで自動応対したり、集まった顧客の声の傾向を自動で分析したり、といった具合です。

 金融分野では、例えばモバイルバンキングの際のeKYC(電子本人確認)支援に活用できます。医療分野でも、カルテの情報に基づいてAIで病気の進行を予測することや、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)の画像を使った診断の支援などが可能です。

——VTIは日本企業を支援するAI関連サービスとして、どのようなものを提供していますか。

 コンピュータビジョン、生成AIを活用した自然言語処理、データ分析の3つを大きな柱としてサービスを提供しています。

 コンピュータビジョンは先ほど挙げた製造分野の品質チェックなどに使う技術です。品質チェック以外にも、顔認識や行動認識などに利用可能です。パッケージやソリューションなど様々な形でご提供しています。

 自然言語処理とデータ分析の例としては、生成AIと光学文字読み取り装置(OCR)を組み合わせた帳票認識があります。インボイス制度対応などで紙の帳票をOCRで電子化すると共に、生成AIで内容を分析することができます。金融やリテールなどで多く導入いただいています。

 今後はAIエージェントにも力を入れていきたいと考えています。

日本企業に最適化した
AIの開発に注力

——AI関連のテクノロジーの研究やツールの開発にはどのような体制で臨んでいますか。

 2018年にAIに特化したR&Dチームを発足し、ツール開発などに取り組んでいます。現在のR&Dチームは15人体制です。当社が開発したAI関連のプロダクトは「Made-by-VTI AI Product」というブランド名で提供しています。

 AIのR&Dには、年間売り上げの1%を投じるなど、非常に力を入れています。AI関連テクノロジーの中でも特に生成AIの研究に力を入れています。

 生成AIを活用することで、ソフト開発の生産性が3割向上しました。コードが自動生成できることに加え、テストなどの他の工程にもAIを活用できるようになりました。開発の過程で何らか問題が生じた際、以前であれば解決に3時間程かかったところを、生成AIを使うことで3分に短縮できた、といったケースもあります。

 顧客企業の課題解決を支援するためにもAIを活用しています。その際はコンサルティングやデリバリーの部門と連携してサービスを提供しています。

 AIを使ったより高度なサービスを提供するために、国内外の大学との共同研究にも力を入れています。

——日本企業向けにAI関連サービスを提供するうえで重視していることはありますか。

 日本向けビジネスにおける当社の理念として、日本の文化や習慣、マナーを理解し、尊重することがあります。そのためAIの開発や導入についても、日本の文化や習慣を踏まえサービスや機能、ガバナンスを提供しています。例えばセキュリティについては日本の基準に準拠するためPマーク(プライバシーマーク)を取得しています。UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)も、日本企業に適したものにしています。

——AIについてはその能力に期待が集まる一方で、データやノウハウの流出、誤作動による社会的なリスクなど、課題もあります。中には業種や国といったレベルで取り組むべき問題も少なくありません。日本企業や日本固有の事情、社会的課題などを踏まえ、日本での活用に最適化したAIの登場は、日本企業にとっては注目したい動きですね。

 はい。創業直後から日本企業のビジネスを支援してきた我々だからこそできるアプローチだと考えています。日本企業から様々なニーズや課題を教えてもらい、それらを解決できるAIの開発と適用に力を入れます。

 最近は日本とベトナムの両国の政府が、ビジネスをより深めるための支援をしています。当社もこの流れに乗って日本でのビジネスを拡大したいと考えていますし、日本企業のビジネスを高度化するお手伝いをしていきたいと願っています。

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