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モダナイゼーションからDXへ! 今こそ中小企業が成長するためのインフラ改革を 【前編】中小企業のモダナイゼーション 押さえておくべきリスクと施策を成功に導くデバイス選び 日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原富夫氏インタビュー

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DXという言葉が浸透した一方で、何から手を付けるべきかが曖昧なまま止まっている中小企業は少なくない。取引先からの要請、サプライチェーンを狙うサイバー攻撃、人材流出…。外部環境が変わるほど、古い仕組みのままでいるリスクは増幅する。その状況を打開するため、最初に取り組むべきことが「モダナイゼーション」だ。DXの土台として不可欠といわれる理由とは。中小企業の現状を政府発表の数値で確認しながら、早急に取るべき実務的な対策を日経BP総合研究所・桔梗原富夫氏に聞いた。

モダナイゼーションはDXの「前提条件」

Q.モダナイゼーションの定義を改めてお聞かせください。

桔梗原 モダナイゼーションとは、システムやアプリケーションを最新の技術で更新することです。ただ単に新しくするだけではなく、現行システムの構造を根本から見直し、これまで蓄積してきた情報資産を統合して自在に活用できる形に変えることがポイントになります。似た言葉に「マイグレーション」がありますが、こちらは現行システムの構造は変えず、利用環境の変化に合わせてデータや仕組みを移すイメージです。

モダナイゼーションが必要な理由は、大きく3つあります。第一に、老朽化したシステムは運用・保守コストが膨らみやすいこと。第二に、古い技術を保守できる人材が減ってきていること。第三に、現状ではセキュリティ面で脆弱性を抱えやすいことです。ただ私は、リスク回避だけでモダナイゼーションを語るものではないと思っています。モダナイゼーションは目的ではなく、その先のDXにつなげるための「前提条件」としてとらえるべき存在です。

写真:桔梗原富夫氏
日経BP総合研究所 フェロー 桔梗原富夫 SI会社を経て1987年日経BPに入社。主として企業情報システムの動向やIT企業の事業戦略を取材・執筆。「日経IT21」「日経ソリューションビジネス」「日経コンピュータ」の編集長を経て2010年コンピュータ・ネットワーク局長、12年執行役員。13年日経BP総研 イノベーションICTラボ所長、18年4月より現職。

Q.中小企業におけるモダナイゼーションの状況を教えてください。

桔梗原 モダナイゼーションは、大企業も中小企業も企業規模に関係なく必要な取り組みです。実はレガシーシステム(古い技術を使って作られたシステム)の残存割合だけを見ると、大企業の方が多いと言われています。大企業は歴史が長く、大規模で複雑な基幹システムを使っています。変えるとなるとコストも時間も莫大になるため、なかなか動けないのです。

問題はDXの取り組み状況です。中小企業はチャンスがあるのに手を付け切れていない状態が目立ちます。経済産業省所管の独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の調査レポート『DX動向2025』によると、全社的にDXに取り組んでいる割合が、従業員1001人以上で57.7%に対し、101~300人は26.7%、100人以下は15.2%でした。DXが進んでいないということは当然、前提となるモダナイゼーションもまだこれからと言えるでしょう。

中小企業における成功事例でいうと、メディアにも取り上げられていますが、福島県喜多方市の精密機械部品メーカー、マツモトプレシジョンの取り組みが象徴的です。社長がDXの重要性を強く意識し、2021年に「企業価値を高め、社員の給与を毎年上げ続ける」と宣言して、モダナイゼーションとDXに踏み切りました。それまで基幹システムはあっても、部門ごとに分断され、現場では表計算ソフトと手書き台帳が混在し、製品別の原価や利益がつかめない運用をしていました。そこで同社はシステムの刷新により各部門のデータ収集作業時間を大幅に削減しつつ、顧客との売価交渉の裏付けとなる理論値を出せるようにしたのです。営業利益率が改善し、社員の給与も上がりました。

Q.モダナイゼーションを先延ばしにすると、どんなリスクがありますか?

桔梗原 一番大きいのはDX推進の停滞です。加えて、取引の消滅リスク、サプライチェーンを狙うサイバー攻撃の踏み台化、さらに若手の人材離れまで起こり得ます。リスクは減らず、複合的な負債として積み上がってしまうかもしれません。こうした結果、経営面で大きな損害を被る可能性があります。これが現実です。

図:モダナイゼーションを先延ばしにすることで起こる損失 DXの停滞、取引の消滅、サプライチェーン攻撃、人材離れ

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