日経ビジネス電子版 Special 週刊日経ビジネス電子版 SPECIAL日経ビジネス電子版

Future Manufacturing Summit 2019 Review

「IoT(モノのインターネット)」や「AI(人工知能)」などのデジタル技術が社会やビジネスに大きな変革をもたらそうとしている。また超高速大容量通信技術の「5G」が、モバイル通信の進化を加速させる。激変するビジネス環境の中で、日本の製造業はどう世界と戦っていくべきなのか。そのヒントを探るべく開催された「Future Manufacturing Summit 2019」(日経ビジネス、日経BP総研主催)は、IoT、サービスマネジメント、ビジネスインテリジェンスの開発ベンダー、コンサルタントに加え、世界的なインターネットの権威、ビジネスデータ分析の第一人者が集結し、それぞれの立場から提言した。その模様を紹介する。

コネクテッドインダストリーズの最新動向

「IoT(モノのインターネット)」や「AI(人工知能)」などのデジタル技術が社会やビジネスに大きな変革をもたらそうとしている。また超高速大容量通信技術の「5G」が、モバイル通信の進化を加速させる。激変するビジネス環境の中で、日本の製造業はどう世界と戦っていくべきなのか。そのヒントを探るべく開催された「Future Manufacturing Summit 2019」(日経ビジネス、日経BP総研主催)は、IoT、サービスマネジメント、ビジネスインテリジェンスの開発ベンダー、コンサルタントに加え、世界的なインターネットの権威、ビジネスデータ分析の第一人者が集結し、それぞれの立場から提言した。その模様を紹介する。

基調講演
慶応義塾大学教授 村井 純

インターネットという「世界に1つの
プラットフォーム」をビジネスに生かす

村井 純 氏
慶応義塾大学 教授/IoT推進コンソーシアム 会長

村井 純

 村井純氏はインターネットの現在の状況を、「新たな文明の誕生」と説明し、このプラットフォームの下で作られる新たな道具(テクノロジー)が社会やビジネスを変えていると理解すべきと主張する。しかし、インターネットはこれまでの文明と決定的に異なることがあり、それは「過去の文明と違って発祥の地が存在せず、世界に1つしかない。つまりこの文明の下で作られる道具は、すべて全世界で共有されるものになるということ。世界に情報を瞬時に発信し、伝達できることを意識しなければいけない」と話す。

 つまりインターネットは、従来の国家、業界といった縦の仕組みをすべて横につなぐ。ここが非常に重要で、コネクテッドインダストリーズの世界では、国境のことを考えなくなる。サプライチェーンも国をまたぎ同じプラットフォームに載る。併せてセキュリティーについても、部分的な対策では意味がないと説明する。

 地域的な分断の解消だけでなく、社会組織のサイロも意味をなさなくなる。例えば健康な社会をつくることについて考えると、医療、食料、運動など、従来はすべて担当省庁、産業が異なるが、インターネットの下ではこれに横ぐしを通さなければいけないことになる。

 ただし、インターネットという世界を包括する新しい文明に向き合うと同時に、人類にはこれまでに培ってきた国家や地域に根差した文明も存在する。そこを見極め、「デジタル技術の変革が国と国との調整で行えることなのか、それともインターネット上で調整できるものなのかを冷静に考える必要がある」とも話した。

 またIoT、AIなどのデジタルデータによる変革は「新たなアイデアを実現するのに必要なコストが極限まで小さくなった。さらに、どんなに高度な技術も10年後にはポケットに入ってしまう。そういう進化のスピードを理解してビジネスを考えることが必要」とし、5Gについては「日本の場合人口面ではほぼカバーしているが、地域で見ると通信のカバー率は60%にとどまる。これを100%にしたとき新しいサービスも生まれてくる。また5Gで使用する新しい帯域の利用法についても未知数で、斬新なアイデアが出てくることを期待したい」という見方を示した。