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経営改革を加速させる超高速開発ツール

愛知県あま市に本社を置く1935年創業のコーワは、国内の工業用ブラシ製造企業として長年、圧倒的シェアを占める老舗である。しかし、主な取引先だった家電企業の海外シフトや自動車産業の規格統一など、今後の経営において楽観はできない要素もある。こうした中、同社では6代目社長である服部直希氏の強力なリーダーシップのもと経営改革に向けて大きく舵を切った。そこではクラウド上で高速にシステムを開発、そして運用ができる「Magic xpa on FUJITSU Cloud Service」が活用されている。

事業と仕事の枠組みを
ゼロから見直す

服部 直希 氏
株式会社コーワ
代表取締役
服部 直希 氏

 コーワは、戦前には軍需用ブラシを受注し、戦後は紡績用ブラシの製造を手がけ、高度成長期には、自動車産業や鉄鋼企業、半導体製造企業などに工業用ブラシを納入することで、工業用ブラシのリーディングカンパニーに成長した。

 1950年代からはプラスチックの成形技術を獲得し、電気カミソリや電動歯ブラシ、掃除機など電気機器のブラシを製造するなど家庭用機器のブラシにも事業を拡大。2006年からはエアコンのお掃除ブラシを様々な家電企業に提供している。

 独自技術でブラシ業界において大きな存在感を持ち続けている同社だが、決して将来は楽観できない。コーワ 代表取締役社長 服部直希氏は「独自技術の工業用ブラシは特許期限切れもあって開発競争は激化しています。日本の家電企業も苦戦しています」と危機意識を語る。

 その服部氏が打ち出したスローガンが「QUEST2020」だ。QUESTはQuality、Uniqueness、Enjoy、Speed、Technologyの頭文字をとったもので、2020年をめどに業務、組織、仕組み、仕事の仕方のすべてを見直し、最適化を図ろうという取り組みである。

独自開発したプロ仕様掃除機「tanQest α-1」。掃除機の部品企業として培ってきたノウハウと技術を結集。フェラーリのカーデザインなどで知られる奥山清行氏がデザインを手がけた

 このQUEST2020の象徴とも言える新製品が独自開発したプロ仕様掃除機「tanQest α-1」である。掃除機の部品企業として培ってきたノウハウと技術を結集した製品で、フェラーリのカーデザインなどで知られる奥山清行氏がデザインを手がけた。

 tanQest α-1は、業務用クリーナーのイメージを一新するデザインと高機能を備え、お披露目したイベント「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO」でも注目を集めた。ちなみに、tanQestは「探求」と「最上級形」を組み合わせた造語で、同社の新ブランドである。

 「事業の中身と仕事の枠組みを変えていくことで事業転換を実現します。倉庫も一箇所に統合して自動倉庫として稼働させます。2階にオフィスを設けて、徹底的に無駄な仕事を無くしていきます」と服部氏は意気込みを語る。こうした経営改革のなかでもコスト削減や使いやすさの向上など、様々な効果が期待されているのが、基幹システムの刷新だ。

現状に合わない
基幹システムを全面刷新

河瀬 孝司 氏
株式会社コーワ
生活家電クリーン事業部
取締役
事業部長
河瀬 孝司 氏

 同社は産業機器事業、生活家電事業、化粧品事業を手がけ、塗装ブラシ・住宅関連商品の総合商社としてインダストリーコーワという企業を展開しているが、各事業が独自にシステムを持ち、その形態もバラバラだった。  コーワ 生活家電クリーン事業部 取締役 事業部長の河瀬孝司氏は「特にホストコンピュータの基幹システムは、汎用機(メインフレーム)時代からまったく変わっていませんでした。業務の実態にシステムが合っておらず、無駄な処理が数多くありました」と刷新前の状況を話す。

 河瀬氏はSEとしてコーワに入社し、その後、中国に赴任し、中国工場を立ち上げて現地法人の責任者を10数年勤めてきた。今回の経営改革にあたって、服部氏に本社に呼び戻されてシステム刷新の責任者も兼務する。

 河瀬氏は「システムが旧態依然のままで本来やるべきことが出来ていないと痛感して、全事業部のシステムを刷新することに決めました」と語る。しかし、そこに大きな障壁が立ちはだかった。コストと時間である。

 「メインフレーム時代の10分の1のコスト」(河瀬氏)という厳しい制約条件の中で、当初計画していた「オンプレでの開発は向かない」と判断した河瀬氏は、運用負荷やランニングコスト、将来性を考慮してクラウドの採用を決定する。2018年の夏のことだった。

超高速開発ツールで
超短期開発を実現

株式会社コーワ
管理部 システムセンター
主任
水野 雅仁 氏

 今回の基幹システム刷新プロジェクトのリーダーであるコーワ 管理部 システムセンター 主任 水野雅仁氏には斬新なイメージがあった。それが“超高速開発ツール”と言われるマジックソフトウェア・ジャパンの「Magic xpa」を使うことだった。

 前職のシステムインテグレータ時代にいくつもの開発ツールを使ってきた水野氏は「短期でシステムを開発するには、ユーザーインターフェイスに優れ、サーバーとクライアントのシステムを一括して開発できるMagic xpaを使うしかない」と確信していた。

 事前にマジックソフトウェア・ジャパンに話を聞くと、富士通のクラウド上で稼働させる予定があることがわかった。そこで事前検証したうえで導入することを上司の河瀬氏に提案した。

 従来の開発ツールの数倍も生産性が高いと聞かされた河瀬氏は当初半信半疑だった。「本当にそんなことができるのかと疑っていろいろ調べてみました」(河瀬氏)。しかし、Magic xpaは、大手企業でも豊富な導入実績があり、富士通とタッグを組んでいるという安心感もあって、事前検証を行うことにした。

 「気になったのはインターネット回線のレスポンスでした。ベストエフォート型で不安だったので、負荷の大きくなる時間帯に、さらに負荷をかけた状態で富士通のクラウドだけでなく、複数の他社クラウドサービスもレスポンス比較し、検証しました」と水野氏は話す。その結果、富士通のクラウドで使用するMagic xpaは、オンプレミスの社内サーバーを活用した場合と遜色のない動作が確認できた。

 コスト的にも5年間使用することを前提で計算すると、オンプレミスの社内サーバーより大幅に安価であることがわかった。

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超高速開発ツール「Magic xpa on FUJITSU Cloud Service」により開発したシステム画面

技術を究めるために
内製化にこだわる

渡辺 剛 氏
マジックソフトウェア・ジャパン株式会社
マーケティング部
部長
渡辺 剛 氏

 コーワは2019年に入ってから開発に着手したが、Magic xpa on FUJITSU Cloud Serviceの使いやすさと効率性は予想通りだった。

 水野氏は「OSやデータベースのバージョン違いなどはツールのエンジンが吸収してくれるので、開発者は画面とビジネスロジックに集中できます。APG(Automatic Program Generator)を使えば、作成に1時間以上を要する閲覧画面が数分でできてしまいます」と語る。水野氏以外の2名の新人スタッフはMagic xpaを使うのは初めてだったが、すぐに使えるようになったという。

 2019年8月にはメインとなる産業機器の基幹システムが本稼働し、2020年1月には生活家電の本社機能、2月には塗装ブラシ・住宅関連商品の総合商社のインダストリーコーワのシステムが稼働する。そして、2020年6月には自動倉庫連携も予定され、10月に中国工場のシステムも稼働する。中国工場が稼働すると、日本のシステムと密接なデータ連携を実現する。これらすべてが自社開発だ。

 服部氏は自社開発にこだわる理由として「ものづくりと同じです。内製化することで人材が育成されます」と語る。それは「探究心によって技術を磨き、世のなかの役に立とう」という「QUEST2020」の考えと共通するものだ。

 今回のMagic xpa on FUJITSU Cloud Serviceのプロジェクトについてマジックソフトウェア・ジャパン マーケティング部 部長 渡辺 剛氏は「クラウド化を検討したときに“一緒にやろう”と言ってくれたクラウドサービス提供企業は富士通だけでした。そのタイミングで話をいただいたこのプロジェクトが成功して感無量です。富士通が運営する開発者コミュニティFujitsu Tech Talkに参加し、クラウド上でサービス展開することができ、とてもよかったと思います」と語る。

 富士通 グローバルマーケティング本部 ポートフォリオ戦略統括部 シニアディレクター 宮沢健太氏も「Fujitsu Tech Talkは、クラウドやAIなどのデジタル技術をテーマに、最新技術の探求とビジネス創出を目指す開発者コミュニティです。現在、200社以上のCIer/SaaS/ISVの企業が集まり、活発な活動を実施しています。今回、コーワ様には、このコミュニティから生まれたマジックソフトウェア様のサービスを活用いただき、成果が出ていることをとてもうれしく思います。今後も、Fujitsu Tech Talkを通じて、お客様のデジタルトランスフォーメーションに役立つ技術やサービスを生み出していきます」と語る。

 日本の「ものづくり」をけん引する愛知県で事業を展開するコーワ。服部氏の強力なリーダーシップのもと、Magic xpa on FUJITSU Cloud Serviceを活用し、さらに飛躍するに違いない。

企業紹介
株式会社コーワ
  • 株式会社コーワ
  • 創業1935年4月
  • 本社住所愛知県あま市西今宿平割一22番地
  • 資本金5000万円
  • 代表者服部 直希
  • 主な事業内容生活家電クリーン事業、産業機器クリーン事業、化粧品事業
  • URLhttps://www.kowa-ne.co.jp/
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