
1890年に大阪で創業し、2020年に創業130年を迎える参天製薬。1899年の発売から100年以上も愛され続ける「大学目薬」など、“目薬の老舗”としてよく知られている。
だが、実際にはドラッグストアなどで販売される市販の目薬の売上高比率は1割以下。「売上高の約9割を占めるのは世界中の眼科医などが使用する医療用医薬品です」と語るのは、同社の堤 遠氏である。
販売している医療用眼科薬の数は日本だけで70品目以上。その製品群は網膜疾患、緑内障、ドライアイ、感染症、アレルギー、白内障など、広範囲にわたる眼疾患をカバーしており、国内の医療用眼科薬市場で圧倒的なシェアを獲得している。
国内で圧倒的な知名度とブランド力を誇る参天製薬だが、海外でもその優れた製品・サービスに対する評価は高い。現在、世界60以上の国・地域で事業を展開しており、点眼薬の年間製造本数は約4億本、貢献した患者数は年間3,000万人以上に上る。
「海外売上高比率は2020年3月期末で33%に達する見通しです。当社は、2020年までの長期ビジョンとして『世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー』の実現を掲げ、この10年間、グローバル展開を加速してきました」と堤氏は説明する。
こうした参天製薬のグローバルな躍進をITプロジェクトの管理・遂行の側面から支えているのが、堤氏らが統括する情報システム本部である。大阪本社のほか、欧州、アジア、北米に計70名以上の人員を配置し、それぞれの地域の事業活動に用いられるITシステムの導入・運用やデジタルツール活用による業務効率化、データ利活用による迅速な経営判断のサポートなどを支援している。
その取り組みの中で、近年浮かび上がってきたのが「海外売上高比率の拡大とともに、年々グローバルに増え続けているITプロジェクトの予算や進捗状況をいかに『見える化』し、適切に管理するか」という課題であった。
「各リージョンから上がってくるITプロジェクトの予算申請件数は、年間150件以上にも上ります。これほどの数になると、『プロジェクトが割り振られた予算を使ってちゃんと動いているのか?』『予算オーバーしていないか?』『予定通りに進捗していないとすれば何が原因なのか?』といった、全体像の把握がどうしても難しくなります。そこで、グローバル全体のITプロジェクトに関する情報をワンポータルで俯瞰し、共有する仕組みにできないものかと考えたのです」と堤氏は説明する。
そこで参天製薬は2018年、ServiceNowが提供するITソリューション「ITビジネスマネジメント」(ITBM)を導入した。ITBMの活用によって、同社におけるITプロジェクトの「見える化」はいかに進んだのか? そして「見える化」の先に何がもたらされたのか? 次のページから詳しく見ていこう。