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2025年の崖は「人」のチカラで乗り越えられる

働き方改革は第2フェーズへ企業に求められる生産性向上

村瀬 氏

村瀬 いま、日本企業は生産性向上を目的とした働き方改革の第2フェーズを迎えつつあります。日本企業の生産性が低いという指摘は以前からなされてきましたが、このままの状態を放置すれば、日本は世界の中で埋没してしまうと懸念されていますね。

手島 当社も、多くのお客様の働き方改革を支援させていただくと同時に、自社でも働き方改革を実践しています。「ワーク ライフ チョイス チャレンジ 2019 夏」というプロジェクトのもと、「生産性と創造性の向上」を目的に、週勤4日のトライアルを軸とした自社実践プロジェクトを実施しました。8月はすべての金曜日を休業日とし、就業日数が5日間少なくなったのですが、前年同月よりも売り上げが増え、労働生産性も向上、そして社員の行動や意識にも変化が見られました。8月のリモート会議の実施比率が今年4~6月よりも21%増加していたことからも、デジタルによるサポートが貢献していることが分かります。

村瀬 それは驚くべき結果ですね。他の企業にとっても、大いに参考になりそうです。

手島 ありがとうございます。お客様の働き方改革のプロジェクトにはテレワークやBCPなど様々な視点がありますが、私が最も重要だと思うのは、社員の創造力と関係性です。イノベーションは人の創造力と関係性から生まれると思います。人と人のつながりを円滑にすることで、コミュニケーションが活発化し、新たな洞察によるコラボレーションが促進される。人間の創造性が刺激され、仕事の付加価値も高まるでしょう。その結果、生産性を高める、つまりイノベーションの“打率”を上げることができるはずです。

村瀬 同じように、ServiceNowも「人」にフォーカスしています。かつて、テクノロジーの扱いは難しく、エキスパートだけが使いこなせるものでした。テクノロジーを知っていないと利用できないので、その恩恵を受けたのはごく一部の人たちだけです。しかし、テクノロジーの急速な進化により、状況は大きく変わりました。「人がテクノロジーに合わせる時代」から、「テクノロジーが人に寄り添う時代」に変わったのです。人を中心に据えた働き方改革が、いま求められています。

レガシーシステムの課題
CIOのリーダーシップが問われる

手島 氏

手島 人にイノベーションのきっかけを与えるような環境をいかに整備するか。その環境次第で、イノベーションの“打率”は大きく変わります。その意味で、人を支える環境づくり、村瀬さんのいう人を中心に据えた職場づくりは重要な経営課題だと思います。

村瀬 創造的な働き方でイノベーションを次々に起こすためには、現状の課題を克服する必要がありますよね。中でも、日本企業のデジタル化の遅れは切実な課題です。デジタルネイティブの若い人たちからは、「会社のシステムが使いにくい」という話をよく聞きます。直観的に使えるスマートフォンに慣れた世代は、承認や経費精算といった現状の業務プロセスを不便に感じているようです。こうしたプロセスを自動化すれば、社員はコア業務に集中し、もっとクリエイティブな分野に力を注げるはずです。ただ、容易ではありません。そこには、企業の組織や文化なども絡んでくるからです。

手島 同感です。とはいえ、経営者の意識は徐々に変わりつつあるとも感じています。弊社自身のトランスフォーメーションにおいて、企業のカルチャーをトランスフォーメーションしてきましたので、そうした手法や学びをもとにしたご支援が増えています。

村瀬 その動きをぜひ加速させたいですね。企業変革に向けてCEOのリーダーシップの重要性は言うまでもありませんが、これからはCIOの力量が一層問われるのではないかと思います。冒頭で触れたDXレポート「2025年の崖」は、レガシーシステムの問題点にも触れています。老朽化した既存システムの運用管理コストは、経営の大きな重荷になっています。その背景には、事業部門の要求通りにシステムを開発してきたIT部門の文化もあったのではないでしょうか。その結果として、カスタム開発が大きな割合を占め、サイロ化したシステムが出来上がりました。こうしたITの構造を変革するためには、CIOおよびIT部門のリーダーシップは欠かせないものとなるでしょう。