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仕事のやり方を見直して“人”にしかできない仕事をやる/生産性の向上が「働き方改革」の鍵を握る 経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 室長 能村幸輝氏×ServiceNow Japan 社長 村瀬将思氏

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「働き方改革」の推進によって、日本企業における社員の「労働時間の短縮」は進んでいる。一方で、改革の本来の目的である「生産性向上」に結び付いていないというジレンマを抱えている企業が少なくないようだ。問題はどこに潜んでいるのか? 経済産業省経済産業政策局産業人材政策室の能村幸輝室長と、ServiceNow Japanの村瀬将思社長が、日本企業の「働き方改革」の課題と、解決の方向性について語り合った。

「働き方改革」はあくまで手段
生産性向上にどう結び付けるか?

村瀬 氏
瀬将思
1993年TKC入社、2000年iGATE Global Solutions Limited入社、09年日本HPにHPSW、PS事業本部本部長として入社。12年itSMF Japan理事に就任。14年日本HPのHPSW事業統括執行役員に就任。16年1月より現職。

村瀬社長(以下、村瀬):私が登壇したセミナーで、「経営課題や戦略として働き方改革を掲げている会社からお越しになられた方は手を挙げてください」と問い掛けたところ、99%の方が手を挙げました。

 ところが、「その働き方改革は、御社の飛躍的な生産性改善につながっていると思いますか?」と聞くと、1000名のセミナーなのに、わずか数名しか手が挙がりません。時短は実現しているけれど、それが生産性の改善に結び付いているという手応えは実感できていないようです。

能村室長(以下、能村):これまでの日本では、社員が「長時間働くこと」が会社へのロイヤルティやコミットメントにつながっていました。企業にとっても、働く時間の長さが人材評価のひとつの目安になっていたことが原因のようです。

 1人当たりの生産性を考えるときに、「時間の短さ」が重要であるという意識を持てるかどうかということが、働き方改革を生産性向上に結び付けていくための重要な鍵になってくるのではないかと思います。働く人と経営者の双方に意識改革が求められるところですね。

能村 氏
村幸輝
2001年に経済産業省に入省。テレワーク、兼業・副業、フリーランスなど「多様な働き方」の環境整備、リカレント教育・AI人材育成などを担当。

 「働き方改革」そのものは手段でしかありません。その取り組みをいかに生産性や付加価値の向上につなげるかというのが、目的でありゴールなのです。

 PDCAサイクルをしっかりと回しながら改善に取り組むことが必要でしょうし、トップダウンとボトムアップの双方から取り組んで、社員が腹落ちできるようにすることも大切です。そうでなければ、社員の方々の“やらされ感”やフラストレーションが溜まる一方で、成果が上がらない状態になってしまいます。

 前回、村瀬さんがおっしゃったように、人がやらなくてもいい仕事は、大胆にデジタルに任せるというのも方法だと思います。

 働き方改革の一環として仕事のやり方を見直すのであれば、革新的なテクノロジーを積極的に採り入れていくことも選択肢のひとつとなるかもしれませんね。

村瀬:働き方改革を進めるということは、仕事のプロセスや、やり方を見直す絶好のタイミングだと思います。改革を実現できるテクノロジーは整ってきているのですから、あとは、それにいかに利用するかです。

 当社で実施した12ヵ国・地域を対象とする「業務プロセスの自動化に関する意識調査」で、現在の業務を「手作業に頼っているのか?」「自動化しているのか?」と尋ねたところ、日本では手作業に頼っている企業の割合が非常に高いことがわかりました。

 「極めて自動化されている」と回答したのは、調査対象国・地域平均では7%だったのに対し、日本ではわずか4%です。日本のビジネス現場は、まだまだ手作業で支えられているのだということが明らかになりました。

職場での業務の平均的な自動化レベル
調査方法:ServiceNowがLawless Research社に委託し、オンラインで実施
「職場での業務の平均的な自動化レベル」に関する調査結果を見ると、日本は「手作業」への依存度が高く、自動化が遅れていることがわかる。