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仕事のやり方を見直して“人”にしかできない仕事をやる/生産性の向上が「働き方改革」の鍵を握る 経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 室長 能村幸輝氏×ServiceNow Japan 社長 村瀬将思氏

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ホワイトカラーの現場にも
最新テクノロジーを

村瀬:新しいテクノロジーが定着するまでには、一定の助走期間が必要です。たとえばインターネットが初めて登場したときには、「世界中がつながる」ということを誰もが期待したわけですが、最初は回線などのインフラが十分整備されなかったので、思ったほど便利ではありませんでした。あまりにも反応が遅くて、「仕事ではまだ使えないけれど、個人同士の連絡にはどうにか使える」といった程度の認識でしたよね。

能村:インターネットの黎明期ですね。そこからわずか十数年で飛躍的に技術が進歩して、だんだんビジネスでも使われるようになりましたね。

村瀬:はい。能村さんもまさにこの体験をしてきていると思いますが、私たちはこれを「コンシューマライゼーション」と言っています。Amazonのようなコンシューマー向けのサービスと同じテクノロジーを使って、ビジネスの世界における働き方を、もっと便利にしたいと考えています。

 とくに若い人たちが会社に入ってきて、普段の生活ではスマートフォンですべて解決するのに、会社に入るとすべてをパソコンで、しかも固定席でやらなければいけないとなると、かなり大きなギャップを感じるはずです。

 バックエンド側では、いろいろな業務システムが連携しながら動いているけれど、入り口はAmazonのようにして、社員はServiceNowのポータルを開けば、必要な業務をすべて処理できる。そんな世界を目指しています。

能村:日本は鉄腕アトムが生まれた国ですし、いろいろなデータを見ると、日本はロボティクスやITの利活用といった新しい物事の受け入れにいちばん抵抗感のない民族であるようです。また、効果がわかれば、柔軟にこれまでの固定概念や習慣を変えていける国民性もあると思います。たとえば、いまでは当たり前になっているクールビズも、当初は「ネクタイを締めないのは失礼なのではないか」という声もありました。しかし、ノーネクタイのほうが便利であり、快適だということが理解されると、次第に受け入れられました。

 そう考えると、最新のデジタルテクノロジーを導入して働き方を抜本的に変革し、生産性を向上させるということも、案外受け入れられやすいのではないでしょうか。

 すでに日本の生産現場では省力化のためのさまざまなテクノロジーが採り入れられているわけですし、ホワイトカラーの現場にも最新テクノロジーが導入されれば、働き方は大きく変わり、生産性も向上していくはずです。

 最初は失敗が伴うにしても、トライアンドエラーを重ねながら、徐々に成功に導いていけばいいと思います。

ひとつのポータルで
すべての業務が完結する

村瀬:ServiceNowは大きく3つの領域における変革にフォーカスしています。

 ひとつは、社内における業務生産性の変革です。これについては、飛躍的に生産性を上げるという テーマを掲げています。2つ目は、社内のお客さまである従業員体験の高度化です。従業員が不便に感じている社内システムをデジタル化によって変えることで、従業員満足を高めることも大切です。

 そして3つ目は、顧客エンゲージメントの再構築。これは、デジタルによって外部のお客さまの満足度を高めることがテーマです。

能村:経産省の「DXレポート」にもありますが、日本企業の生産性が伸びない大きな理由として、使い勝手を二の次にしたレガシーなシステムが足を引っ張っていることが指摘されています。

村瀬:そこが最も重要だと考えています。たとえば、2010年頃までの社内システムは、部署ごとにバラバラなアプリケーションを作り、なおかつ使い勝手は後回しにされていました。使う人の作業負担を減らして、働きやすくするという視点は、まったく抜け落ちていたわけです。

 2010 年以降は、システムをフロントとバックに分け、フロント側では「ユーザーとのやり取り(System of Engagement:SoE)」を、バック側では「複雑なビジネスロジックや記録を行う(System of Record:SoR)」という役割分担の考え方が生まれました。

 ServiceNowのプラットフォームが実現するのは、部署ごとのバックエンドのシステム(SoR)は残したまま、フロントのシステム(SoE)を社内横断的にすることによって、ServiceNowのポータルに入れば、あらゆる部署の業務にアクセスできる仕組みです。

デジタルトランスフォーメーションアジェンダ
ServiceNowは「業務生産性の変革」「顧客エンゲージメントの再構築」「従業員体験の高度化」の3つの領域における変革にフォーカスする。