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「人」にフォーカスしたデジタル変革で「働き方改革」を実現させる

多くの日本企業が取り組む「働き方改革」。しかし、その取り組みが自社の生産性向上に結び付いていると実感している企業は少ないようだ。ネックとなっているのは、メールやエクセルによる非効率な作業、煩雑で時間のかかる社内手続きなど、旧態依然とした「働き方」そのものである。生産性向上に直結する「働き方改革」のヒントについて、ServiceNow Japanの村瀬将思社長に聞いた。

下がり続ける日本企業の生産性
長時間労働の是正でますます窮地に?

 4月に施行された「働き方改革関連法」は、「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」を3つの大きな柱としている。いずれも、働く人々の恩恵や権利を重視したものだ。働く時間が減り、働きに見合った収入が得られれば、人々はもっと幸せになれるという前提に立っている。

 だが、働く時間が減ることによって、企業の生産性はどうなるのだろうか?

村瀬 氏
ServiceNow Japan株式会社
社長
村瀬将思
1993年TKC入社、2000年iGATE Global Solutions Limited入社、09年日本HPにHPSW、PS事業本部本部長として入社。12年itSMF Japan理事に就任。14年日本HPのHPSW事業統括執行役員常務に就任。2016年1月より現職。

 「非常に気になるデータがあります」と語るのは、デジタル革新のためのプラットフォームを提供するServiceNow Japanの村瀬将思社長だ。

 そのデータとは、1人当たりGDP(国内総生産)の世界ランキングである。

 「日本の1人当たりGDPは、バブル景気が崩壊する直前の1990年には世界9位でした。その後、2000年には世界2位まで上昇しましたが、2010年には18位、2017年には25位と大きく順位を下げています。1人当たりGDPはその国の生産性を表しているともいえますが、日本の生産性はこの約20年で著しく低下しているのです。この状況のままで労働時間が削減されると、日本企業の生産性はますます低下してしまう。労働時間を減らすだけでなく、『働き方』の変革によって生産性を上げること。それが本来の『働き方改革』の意義ではないでしょうか?」と村瀬氏は語る。

 「ところが、私たちが実施するフォーラムで参加者に尋ねると、『働き方改革に取り組んでいる』という企業はほぼ100%なのに、それが『生産性向上に結び付いている』と答える方は1%もありません。労働時間や待遇だけでなく、非効率な『働き方』そのものを抜本的に見直す必要があるといえそうです」

 では、どうすれば非効率な「働き方」を変えられるのか?

 村瀬氏が提言するのは、「『人』にフォーカスした業務のデジタル変革」である。

 ServiceNowは、企業が「業務のデジタル変革」を実現するのに有効なプラットフォームのプロバイダーとして2004年に設立。わずか14年で売上高26億900万ドル(約2,900億円、2018年12月期)のグローバル企業に急成長した。売上高は年率約4割のペースで伸長しており、2019年12月期は32億ドル(約3,550億円)を見込んでいる。

グローバルでのServiceNowの売り上げ推移
ServiceNowのグローバル全体での売上高は年率約4割のペースで伸長。2019年12月期には32億ドルを見込んでいる。なかでも日本市場の伸び率が高い。

 同社は2017年4月、元PayPalおよびeBayのCEO(最高経営責任者)であったジョン・ドナホー氏が3代目CEOに就任したのを機に、会社の存在意義を「We make the world of work, work better for people」と再定義している。

 「分かりやすく言えば、『人々によりよい仕事の仕方を提供していく』ということです。それを実現するためのプラットフォームを提供していくことがわたしたちの使命であり、『人』にフォーカスしたデジタル変革に取り組むことで、日本企業の生産性は必ずや向上すると確信しています」と村瀬氏は語る。

 では、ServiceNowのプラットフォームによって実現する業務のデジタル変革とはどのようなものか? 次のページから詳しく見ていこう。

コンシューマー領域における変革を業務効率の改善に応用する/次ページでは「人」にフォーカスしたデジタル変革の真意に迫る