東大・西成教授に聞く
新コロナ禍で分かった「物流への信頼」と「物流の深い課題」

「新型コロナ禍の緊急事態宣言」による、いわゆる“巣ごもり”を支えたのが物流だ。同時に、非日常事態は物流が抱える課題も露見させた。「渋滞学」の創学者で物流システムにも詳しい西成活裕・東京大学教授に、「物流の今と課題」について聞いた。

日本物流の安定度と強さに、人々の信頼は増している

 政府による「非常事態宣言」が発出されたのは4月7日のことだが、すでに2月下旬には全国の小中高等学校の休校が要請され、早い企業では在宅勤務が始まっていた。非常事態宣言以後は不要不急の外出や都道府県間移動の自粛が求められる、いわゆる“巣ごもり生活”を強いられることになった。

 

 こうした「いつもでない暮らし」を支えたのが物流だ。国土交通省の「トラック輸送情報2020年3月分速報」によれば、総貨物輸送量の稼働1日当たりの輸送量は前月に比べて5.3%、約1万2000トンも増加している。宅配便の取り扱い個数は約3億6800万個で前月に比べ約5300万個も増加した。製品の欠品を除けば大幅な遅配などのトラブルもなく、物流の力を得て非常時の日常生活を営んでいる。

 

 西成教授は、「予定日にきちんと届けてくれる安心さを再確認した利用者が多いのではないでしょうか。物流が社会のインフラとしていかに重要で、日本の物流の品質の確かさ、強さ、そして物流の地位向上を見直す機会になりました」と高く評価する。

 

 世の中がぎりぎりの状態に追い込まれる時に、その使命を果たそうとする努力が変わらずになされていたのだ。

 

 一方で、抱え込んできた数々の課題を露見させることにもなった。「平時の競争、有事の協調体制」が取れていない現実や、事業間物流において各種の情報が共有されていないために起きる効率性の低下などだ。

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例えば“巣ごもり消費”では……