日経ビジネス電子版 Special 週刊日経ビジネス電子版 SPECIAL日経ビジネス電子版

テレワークの課題を解決するシステム!

情報漏洩対策や働き方改革で拡がるテレワーク対応への機運が高まるなかで、データアクセスの課題となるのがセキュリティの問題である。オフィスと同じように重要なデータを、作業場所を問わず扱うにはセキュリティの強化が不可欠だ。そんななか、ノンプログラミングで業務アプリがすぐに作成できる快適Webデータベースと評価されるインプリムの「Pleasanter(プリザンター)」と、ブラウザだけでワンタイムパスワードを利用できるパスロジの認証プラットフォーム「PassLogic(パスロジック)」が連携した。これよって高いセキュリティレベルを確保しながら、社内/社外を問わずチームでの情報共有やテレワーク対応が可能になった。この企業コラボレーションはなぜ生まれたのだろうか。

注目の
純国産ソリューションを提供する
インプリムとパスロジ

内田 太志 氏
株式会社インプリム
代表取締役
内田 太志 氏

 オープンソースのWebデータベースである「プリザンター」を提供するインプリムは2017年3月に設立された新進のベンチャー企業。インプリム 代表取締役 内田太志氏は富士通エフサスに約20年間勤務したエンジニアである。プロジェクトマネージャーとして大規模な開発プロジェクトを担当し、チームで円滑に情報を共有するために「プリザンター」を開発して、オープンソースとしてソースコードを公開した。

 プリザンターはノンプラミングで業務アプリが作成できる汎用ツールで、Webアプリとは思えないほどレスポンスが速い。しかも、顧客情報や案件情報、お問い合わせの情報などが簡単に統合できて、人数制限なしで複数名が同時利用できる。各種テンプレートが用意され、プロジェクト管理だけでなく、顧客管理や営業支援にも活用され、様々な賞を受賞している注目の純国産ソリューションである。

快適Webデータベース「プリザンター」の各テーブルの一覧画面です。表示内容は自由にカスタマイズできる。
快適Webデータベース「プリザンター」の各テーブルの一覧画面です。表示内容は自由にカスタマイズできる。
[画像のクリックで拡大表示]
「プリザンター」のガントチャート画面。ワンクリックで各種グラフに表示を切り替えられる。
「プリザンター」のガントチャート画面。ワンクリックで各種グラフに表示を切り替えられる。
[画像のクリックで拡大表示]

 内田氏は「例えば、表計算ソフトのExcelは手元のPC内部では高速処理できますが、Web上に置いて複数人が利用するのに適していないと思います。プリザンターは、Web上での情報管理を快適に行えることを最優先に考えた“脱Excel”のためのツールです。ビジネスの現場の働き方を快適化するために開発しました。最近では、大手製造業の現場の管理にもご利用いただいています」とメリットを強調する。

認証プラットフォーム「パスロジック」のログイン画面。ブラウザだけでワンタイムパスワードが使える。
認証プラットフォーム「パスロジック」のログイン画面。ブラウザだけでワンタイムパスワードが使える。
[画像のクリックで拡大表示]
トークンレス・ワンタイムパスワードの仕組み(パスロジック)
トークンレス・ワンタイムパスワードの仕組み(パスロジック)
[画像のクリックで拡大表示]

 一方の創立20周年を迎えたパスロジが提供する認証プラットフォーム「パスロジック」はトークンレスでワンタイムパスワードが利用できる純国産のセキュリティソリューション。200以上の企業や団体に導入され、123万人以上が利用する。同社は2018年12月に東証TOKYO PRO Marketに上場している。

阿部 寛之 氏
パスロジ株式会社
営業部 係長
阿部 寛之 氏

 パスロジックの最大の特長は「パスロジック方式」という独自の認証の仕組みだ。マトリクス状に数字がランダムに表示された乱数表に対して、認証に使用するマスの位置と順番をあらかじめ「パターン」として決めておき、ログインする度に示される乱数表から「パターン」に沿って文字や数字を抽出することで、トークンレスでワンタイムパスワードによる認証を実現する。この独自の技術を含め、日本と米国を含む世界30カ国で96件の関連特許を取得している。(2020年3月時点)

 「トークンを必要としないパスロジックは、安価で手軽に利用できる高セキュリティのソリューションとして、官公庁や金融、情報通信、教育、製造業など幅広い業界で導入されています。クライアント証明書など他の認証方式と併用した二要素認証も実現可能で、複数のシステムと連携してシングルサインオン基盤としても活用できます」とパスロジ 営業部 係長 阿部寛之氏はパスロジックの特長を語る。

連携のきっかけとなった、
技術と未来をつなげるコミュニティ
FUJITSU TECH TALK

 両社のコラボレーションの背景には社会課題への対応がある。情報漏洩やテレワークへの関心の高まりだ。どこでも働ける環境を実現するテレワークの大きな課題は、セキュリティの確保である。オフィス内で重要なデータを扱うのと同じように、テレワークでも同様のセキュアな環境を求められる。

 「プリザンターの用途は、複数部門や他社とのコラボレーション、海外との情報共有などに広がっています。テレワークのベースツールとして活用している企業もいます。そうなると、高度なセキュリティが求められるようになります。二要素認証の知識認証を考える際に、IDパスワードよりも強固なパスロジックが活用できる環境へのニーズも高まってきました」と内田氏は語る。同時に、パスロジとしてもテレワークを商機と捉え、連携ソリューションの事例を求めていた。

黛 慎一 氏
パスロジ株式会社
経営戦略室
マーケティングチーム マネージャー
黛 慎一 氏

 そんな両社が出会ったのが、富士通が主催する技術と未来をつなげるコミュニティ「FUJITSU TECH TALK」だった。FUJITSU TECH TALKは、2017年5月に発足し、2020年4月時点で238社が参加している。両社は富士通のクラウド「FUJITSU Cloud Service for OSS」上で製品検証ならびにサービス提供をしており、ビジネスを拡大するためにこのコミュニティに参加していた。

 両社の協業開始のきっかけは、2019年12月に開催された「TECH TALK CONNECT」というイベントだった。「このイベントはFUJITSU TECH TALKメンバー同士のビジネスマッチングを進めるために定期的に開催されるもので、プリザンターも何度かデモを交えてアピールしてきました」と内田氏は語る。内田氏のプリザンターのデモを見たパスロジ 経営戦略室 マーケティングチーム マネージャー 黛 慎一氏は、懇親会で名刺を交換。プリザンターに将来性を感じた黛氏は後日、インプリムを訪問して連携を打診した。

 「プリザンターはオープンソースの製品、パスロジックも認証のコアな部分以外はオープンソースの技術を利用した製品。どちらも純国産のソリューション。相性が良いと思いました。連携するために話しているなかで、パスロジックが対応しているクラウド上のシステム連携のための標準規格であるSAML(Security Assertion Markup Language)2.0を経験済みだということがわかり、このプロトコルを使っての連携を合意したのです」(黛氏)。

 プリザンター上で使用される様々な企業の重要なデータを、トークンレスのワンタイムパスワードのパスロジックが守るという関係が生まれた瞬間だった。出会いから、わずか1カ月である。

コラボレーションで
相互にシナジー効果を

 コラボレーションが成立した背景には、どちらもFUJITSU TECH TALKの参加メンバーだったことも大きい。出会いの場があったということはもちろん、それ以前に富士通という信頼のフィルターを通した関係性であることもお互いの壁を低くした。内田氏は「FUJITSU TECH TALKの事務局の皆さんは信頼できると感じていました」と語り、黛氏は「富士通の紹介ということでソフトウェアの連携検証を担う社内エンジニアの協力も得やすかったですね」と話す。

 また、お互いの親和性の高さも協業を後押しした。「プリザンターの特長の1つは安価であることです。それなのに連携するセキュリティが高価というのはあり得ません。安価で入手し運用できるパスロジックならベストなマッチングだと感じました。また、お互い富士通のクラウドでサービスを提供しており“近い存在”という感覚もありました」(内田氏)。

 具体的な連携の内容としては、プリザンターのユーザーがパスロジックを使って本人認証を行う形をとり、高レベルのセキュリティ環境で安心してプリザンターを利用できる。また、シングルサインオン基盤としてパスロジックを利用しているユーザーは、認証先のアプリにプリザンターを追加するだけで使えるようになる。

パスロジックとプリザンター連携後のログイン遷移
パスロジックとプリザンター連携後のログイン遷移
[画像のクリックで拡大表示]
SAML2.0による認証手順のイメージ
SAML2.0による認証手順のイメージ
[画像のクリックで拡大表示]

 当面は個別にツールを導入し、それをつなぐことで連携を実現し、第2ステップとして、プリザンターのオプションとしてパスロジックを提供することになる見込みだ。「今後はシステムインテグレーターやディストリビューターにこの取り組みを知ってもらい、セット販売を狙っていきたいですね」と内田氏は語る。黛氏も「単純なパスワード認証だけではプリザンターを導入できなかった企業に、よりセキュアなパスロジックを組み合わせて提案することで、導入の敷居が下がることを期待しています」と語る。

 セキュリティ強化という課題がクリアされることで、テレワークにさらに拍車がかかることは間違いない。しかも、どちらも純国産の汎用ツールであり、安価に利用できるソリューションだけに、相互にシナジー効果が期待できる。今後、技術と未来をつなげるコミュニティFUJITSU TECH TALKでタッグを組んだこの2社から目が離せないだろう。

企業紹介
  • 株式会社インプリム
  • 設立2017年3月1日
  • 所在地東京都中野区新井1-12-12 モデリアカラーズ中野2F
  • 資本金3400万円(資本準備金含む)
  • 役員代表取締役 内田 太志
  • 主な事業内容プリザンターを活用した企業の管理業務の快適化を支援するため、導入支援、コンサルティング、カスタマイズ、サポートサービスを提供している。
  • URLhttps://implem.co.jp/
  • パスロジ株式会社
  • 設立2000年2月24日
  • 住所東京都千代田区神田小川町3-26-8 ユニゾ神田小川町三丁目ビル
  • 資本金1億円
  • 代表者代表取締役社長 小川 秀治
  • 主な事業内容セキュリティソフトウェア開発販売。日常的に行われている「ログイン」「サインイン」といった作業「本人認証」。社会のデジタル化が進み、重要性が増した本人認証システムの研究開発を通して、社会に貢献することを活動目標としている。
  • URLhttps://www.passlogy.com/
お問い合わせ
関連リンク
提供