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中堅・中小企業の経営者に役立つDXとは

慢性的な人手不足など多くの経営課題を抱えている中堅・中小企業にとって、コロナ禍により問題はさらに深刻度を増している。この危機を乗り越えて生き残るため、ITを駆使して生産性向上を目指すことは経営の至上命題となっている。コロナ禍を逆に変革へのチャンスとして捉え、効率的で機動的な経営を実現すべく、あらゆる中堅・中小企業の経営者や管理者、情報化推進のリーダーに役立つDX(デジタル変革/デジタルトランスフォーメーション)講座が開催された。

基調
講演
たった一店舗の老舗飲食店が
実践した次世代経営

小田島 春樹 氏
ゑびや・EBILAB
代表取締役社長
小田島 春樹

 創業150年余り、ゑびやは三重県伊勢市に店舗を構える飲食店だ。8年前まで手切りの食券とそろばんで経営していたこの老舗飲食店が、ITを徹底的に活用したDX戦略を推進することで飛躍的な経営再建を遂げ、国内外で数々のアワードを受賞するに至っている。

 立役者である代表取締役の小田島春樹氏は、「デジタルツールを使いこなして確度の高い投資をデータから判断し、経営を最適にデザインすることが、これからの時代を生き抜く唯一の手段だと思っています」と語った。

 そもそも地方の中小企業が、なぜここまで変わる必要があったのだろうか。少子高齢化が急速に進む日本では、2060年の時点で人口が30%減少すると推計されており、顧客はもとより働ける人も減っていく。そうした将来を見据え、小田島氏は今やるべきこととして戦い方、組織のあり方を変えているのだ。

 「『地方だからできない』というのは、やらない理由を探して逃げているだけです。『人がいないからできない』というのであれば、人を使わない戦いをすればよいだけ

特別
講演
コロナ禍で加速するデジタル化
真のDXにつなげるためのポイント

桔梗原 富夫
日経BP総研
フェロー
桔梗原 富夫

 今般のコロナ禍に象徴される予測不能な事態や、ビジネス環境の激しい変化に対応していくため、あらゆる企業にDXが必要とされている。しかし、特に日本企業においてDXは思うように進んでいないのが実情だ。

 日経BP総研の桔梗原富夫は、「経営者のデジタル(IT)感度が低く、昭和の高度成長期の常識や成功体験を捨てることなく、平成の『失われた30年』を過ごしてしまいました」と語った。加えて、ビジネスや組織の変革に対する社内の抵抗感、DXを推進できる人材の不足、既存システムの老朽化・肥大化・複雑化などが阻害要因となっている。

 だが、そうしたなかでもDXを成功させた中堅・中小企業は存在する。その具体例を紹介しつつ、桔梗原は「求められるのは経営層の意識改革で、DX戦略の立案から実践までのすべてのフェーズで参画する必要があります。事業部門もオーナーシップを持ちプロジェクトを推進すべきです。失敗を許容する企業文化を醸成してほしいと思います。また、既存システムの改良と新規システムの導入をバランスよく進めることや、外部の力も上手に利用することも重要です」と説いた。これがDXを成功させるポイントとなる。