谷口:経済産業省では『2020年版ものづくり白書』の中で、不確実性の高まる時代における、製造業の現状と課題を分析されています。その中で、日本の製造業が生き残るためにはダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)を高める必要があると提言されていますね。経済産業省の矢野さんからもう少し具体的なご説明をお願いします。
矢野:ダイナミック・ケイパビリティとは、米カリフォルニア州立大学バークレー校ハース・ビジネススクールのデビッド・J・ティース教授が提唱した概念で、「環境変化に対応するために、組織内外の経営資源を再結合・再構成する経営者や組織の能力」のことです。
新型コロナウイルス感染症の影響によるサプライチェーンの寸断や、社会やサービスのデジタル化による需要の急変など、製造業を取り巻く環境は不確実性が増しており先が読めなくなっています。環境の変化に合わせて企業のあり方や業務プロセスを柔軟に変革するためにダイナミック・ケイパビリティの重要性が高まっています。
山口:ダイナミック・ケイパビリティを高めるためには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。
矢野:まず取り組むべきなのは、需要の変化に関する情報を、経営層から各部門の現場に至るまでのすべての担当者が共有することで、変化に即応してスピーディに追加生産したり、新製品を迅速に投入したりできるような体制を整えることです。そのためには、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンを一気通貫で把握するためのデータ活用基盤の整備が不可欠です。
谷口:矢野さんのおっしゃる通りだと思います。私たち日本オラクルも、不測の事態をいち早く検知し、サプライチェーン全体の把握に加えエンジニアリングチェーンを融合させることが重要と考え、市場応答性を高め、タイムリーに製品供給できる体制づくりを実現するための総合的なソリューションを提供しています。
矢野:それは大変興味深いですね。御社のソリューションについて詳しく教えてください。