顧客満足度を高めるには、問い合わせやオーダー、クレームなどに、いかに迅速かつ適切に対応できる体制を整えるかが重要である。当たり前のことだが、それがしっかりとできていないことが、企業の売り上げの伸び悩みに結びついているケースが少なくないようだ。
DXの急速な進展とともに、この課題をテクノロジーによって解決しようとする企業が増えている。電話やメールによる問い合わせをポータルやチャットボットに切り替え、自動応答の仕組みを取り入れるなど、顧客との接点をデジタル化して、返答の「たらい回し」や「遅延」「督促」などの不満を減らそうという取り組みである。
だが、そうした取り組みだけでは、顧客が十分な満足を得られないという傾向が明らかになってきた。
「ある大手製造業の方は、顧客接点だけをデジタル化しても、納期返答やクレーム対応のスピードが以前と変わらなければ、結局のところ、お客さまの満足度は変わらないとおっしゃっていました。問い合わせやオーダーに即応できるように社内業務もデジタル化しなければ、真の意味での顧客満足は得られないということに多くの企業が危機感を強められているようです」
そう語るのは、ServiceNow Japanの壹岐隆則氏である。
壹岐氏によると、DXには大きく二つの種類があるという。一つは、顧客接点の改善によってCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を高める「エクスターナルDX」(外部DX)。もう一つは、社内業務のデジタル化を推進し、顧客に提供するサービスの質とスピードを上げることでCXを高める「インターナルDX」(内部DX)だ。
これまで日本では前者に取り組む企業が多かったが、投資に見合った売り上げなどの効果が得られないといった課題を抱えるケースが珍しくない。
その結果、顧客接点だけでなく、社内業務も両輪でデジタル化しなければならないことが、注目されるようになってきた。いち早くそれに気づいた企業は、インターナルDXへの投資を積極化している。
では、インターナルDXによって、社内業務はどのように変わるのか?
「従業員は、人事や総務に関する各種手続きのほか、パソコンやシステムに不具合が生じたときにはIT部門に対応を依頼するなど、売り上げに直結する業務以外にもさまざまなタスクを抱えています。それらの処理に時間を取られることで、お客さまからの問い合わせやオーダーへの対応が遅れ、顧客満足度を下げてしまっているのです。インターナルDXを推進すれば、人事や総務関連をはじめとする全従業員が関わる社内業務の自動化、省力化が実現し、従業員は顧客満足度向上に直結する業務に専念できるようになります」と語るのは、ServiceNow Japanの桐山幹高氏である。
これを実現する有効なソリューションとして注目されているのが、ServiceNowの「人事サービスデリバリー」だ。
壹岐氏はこのソリューションについて、「人事はもちろんのこと、総務やIT、法務などのあらゆるバックオフィス業務、さらにはフロントオフィス業務に至るまで、すべての手続きを“ワンポータル”で処理できるのが大きな特徴の一つです」と説明する。「人事サービスデリバリー」の導入によって、企業のインターナルDXはどこまで進むのか? 次のページから詳しく見ていこう。