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社内業務をデジタル化する「インターナルDX」の真価 従業員の作業が軽減されれば売り上げは向上する

従業員の余分な作業が減り
本業に専念しやすくなる

 ServiceNowの「人事サービスデリバリー」によって、従業員の業務はどのように変わるのか? 一例として、人事異動に関する業務処理を見てみよう。

 ある従業員が地方支社への転勤を命じられた。転勤に当たっては、地域手当の支給や交通費申請の変更、転勤先で使用するパソコンの手配など、さまざまな手続きが発生する。

 一般的には、手当については人事部門、交通費は総務部門、パソコンは IT 部門といったように依頼先が異なり、それぞれに電話やメールで依頼をすることになる。窓口が一本化されておらず、処理が滞っている場合は進捗状況を個別に確認しなければならないので、従業員や人事労務担当者の負担はかなり大きくなる。

 そもそも、担当部門ごとに窓口がばらばらなので、転勤に当たってどんな手続きをしなければならないのかを従業員や担当者が調べるだけでもひと苦労だ。

 その点、「人事サービスデリバリー」なら、パソコンやスマートフォンで「従業員ポータル」と呼ばれるサイトまたは専用アプリを開き、「転勤の手続きを知りたい」と音声入力するだけで、必要な手続きがニュースランキングのように一覧表示される。

 その中から「地域手当」をクリックすると、すぐさま申請フォームが表示される。従業員が必要事項を入力して電子署名をすれば、申請内容が自動的に総務部門に送られる。パソコンの手配の申請であれば、申請内容がそのままIT部門に飛ぶ。どの部門や担当者に割り振るべきタスクなのかを自動で判断し、それぞれの担当者のTo-Doリストに申請内容をリストアップする仕組みである。

 「転勤の例で示したように、『人事サービスデリバリー』はさまざまな申請業務や問い合わせを柔軟に従業員視点でデジタル化することができます。期日直前まで処理が完了していない場合は、担当者にアラートが届き、期日までに終わらせるように督促します。これによって、従業員は進捗の確認や督促をする煩わしさから解放され、本業に専念しやすくなるわけです」と壹岐氏は説明する。

ServiceNowの「人事サービスデリバリー」で実現すること

ServiceNowの「人事サービスデリバリー」で実現すること
ServiceNowの「人事サービスデリバリー」は、従業員、人事総務担当者のそれぞれに図のようなメリットをもたらす。インターナルDXを推進するのに有効なツールだ。

問い合わせや作業依頼を統合管理
人事総務担当者の業務負荷も軽減

 桐山氏は、「人事サービスデリバリー」の特徴として、「従業員からの問い合わせや作業依頼を統合管理するポータル機能(従業員ポータル)と、タスクを部門横断で高効率に進めるデジタルワークフロー機能を兼ね備えていること。そして、従業員がパソコンやスマートフォンなど、あらゆるデバイスを使って、いつでもどこでも問い合わせや申請ができること」の3つを挙げる。

 これらが実現するのは、「人事サービスデリバリー」が、社内のあらゆるシステムやデータベースを一つに統合するServiceNow独自のプラットフォーム上で運用されるからだ。

 「人事、総務はもちろん、ITや法務、さらには顧客管理、在庫管理などの業務系に至るまで、社内すべてのシステムとデータが一つのプラットフォームに集約されます。その結果、今までは『人事関連ならあのシステム』、『IT関連はこのシステム』といったように、いちいちパソコン上に別の画面を開いていたものが、すべてワンポータルで処理できるようになるのです。問い合わせや申請の内容はデジタルワークフローによって自動的に担当部門に割り振られるので、従業員は『この件は、どこに問い合わせたらいいのか?』と迷うこともありません。さらにスマートフォンにも対応しているので、移動中や休憩などの隙間時間を使って、気軽に問い合わせや申請ができます」(桐山氏)

 さらに「人事サービスデリバリー」の従業員ポータルは、従業員ごとの所属や役職、職種などに合わせて自動的にホームページの掲載情報をカスタマイズしたり、キャンペーン情報の発信などをすることができる。「それぞれの従業員にとって重要な通知やタスクを目立たせるようにするためです。これによって、処理しなければならない作業をより速やかに済ませ、本業に専念できるようになります」と桐山氏は語る。

 一方、「従業員を煩わしい作業から解放するだけでなく、人事部や総務部の業務負荷を軽減するのにも役立ちます」と壹岐氏は語る。

 例えば、従業員が所有している備品の年一回の棚卸しのような社内業務の場合でも、従業員からの問い合わせとは逆方向に一括で全従業員にアナウンス・タスク付与することができる。総務部門と全従業員の双方向で状況確認ができるため、逐一チェックしたり、催促する必要もなくなる。負荷の高い社内業務から解放されるその効果は大きいだろう。

 かつて、別の企業で人事をマネジメントする立場にいた壹岐氏は、「問い合わせや申請などの処理が集中することで、人事が本来割くべき採用や人材育成のための時間が奪われるのを何とかしたい」とつねづね考えていた。「人事サービスデリバリー」は、この課題を抜本的に解決してくれるソリューションであることを知り、かつての自分と同じ悩みを抱える人事担当者にも、自信を持って勧めていきたいという。

従業員ごとにカスタマイズされたポータル

従業員ごとにカスタマイズされたポータル
「従業員ポータル」は、所属部署や役職、職種などに応じてカスタマイズ可能。処理しなければならない作業などがひと目で分かり、スピーディに対処できる。