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富士通とServiceNowが「変われない」企業を「変えていく」 世界で戦える強い日本企業を未来のために創る

「失われた30年」と呼ばれる時の経過により、アメリカはおろか中国やシンガポールといったアジア勢にも国際競争力で後れを取っている日本。かつて世界が称賛した「強い日本」を取り戻すため、日本企業はいかにして国際競争力を高めるべきか? 2020年4月に富士通の執行役員常務CIO兼CDXO(最高デジタル変革責任者)補佐に新たに就任した福田譲氏と、ServiceNow Japanの村瀬将思執行役員社長がその答えを探る。

富士通の変革をきっかけに
日本企業の競争力を蘇らせたい

村瀬:本日は、日本企業がグローバル競争に負けない力、勝ち抜く力を蘇らせるためのヒントについて福田さんと話し合いたいと思います。

 その前に、ぜひ福田さんにおうかがいしたいのは、グローバル企業であるSAPの日本のトップにまで上り詰めながら、なぜ富士通に転職するという決断をされたのかということです。IT業界内でも、この人事は非常に驚きを持って受け止められていますね。

福田 氏
富士通株式会社
執行役員常務
CIO兼CDXO補佐
福田譲
1997年 、SAPジャパンに新卒として入社後、ERP導入による業務改革、経営改革、高度情報化の活動に従事。2014年7月、代表取締役社長に就任。顧客と協働した新たなイノベーション創出に注力し、日本型のデジタル変革に取り組んできた。20年4月より現職。

福田:ありがとうございます。村瀬さんにご紹介いただいたように、私は新卒でSAPジャパンに入社して23年間働き、最後の6年弱は日本のトップを務めさせていただきました。

 学生時代はITに全く興味がなく、海外への留学や生活の経験もなかったので、英語もほとんど話せませんでした。そんな私でもグローバル企業の経営の一翼を担えるようになったのは、働く環境が大きかったと思います。グローバル企業の社風や仕事の進め方、上司や同僚、常に背伸びをせざるを得ない環境が、元来はルーズな私を徹底的に鍛えてくれました。今の私のかなりの部分は、社会人になってから後天的に身についたものです。

 その中でも、日本のユーザー企業の経営改革・業務改革のプロジェクトに直接携わり、優秀なプロジェクトリーダーの方々と一緒に働く機会に恵まれたことは、非常に得難い財産になりました。

 よく、日本の企業は「変われない」と言われますが、私が接したプロジェクトリーダーの中には、変革マインドが高く、有言実行で物事を進める方がたくさんいらっしゃいました。

村瀬 氏
ServiceNow Japan合同会社
執行役員社長
村瀬将思
1993年TKC入社、2000年iGATE Global Solutions Limited入社、09年日本HPにHPSW、PS事業本部本部長として入社。12年itSMF Japan理事に就任。14年日本HPのHPSW事業統括執行役員に就任。16年1月より現職。

村瀬:なるほど。つまり、どの企業も変革のポテンシャルは内在しているのに、それが日本企業独特の組織構造やしがらみなどの“殻”に封じ込められてしまっていることが「変われない」大きな理由ということですね。

福田:そう感じてきました。SAPでの23年間は、その殻を外から破るお手伝いをしてきたわけですが、それに加えて自分の力で内側からも破ることで変革のエネルギーは強くなり、変革や成長のスピードも速まると考えました。そのような考えと、富士通から「DX(デジタルトランスフォーメーション)を本気で進める」との話をいただき、私自身の「日本をもっと元気に」とのパーパスから強く共感して転身しました。

 富士通はグローバルに事業を展開している企業ですが、13万人の従業員のうち8万5000人が日本人です。日本のIT業界でのプレゼンスから、富士通が元気になれば、日本のIT業界、ひいては日本企業全体の元気につながるはずです。

 よく「失われた30年」と言われますが、それを一気に取り戻し、日本企業のグローバル競争力を蘇らせるきっかけとするためにも、富士通のDXを成功させたいと思っています。