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「オンプレミスのような使い心地」を実現 テプコシステムズの新サービスを支える革新的なポータルとは

お客様向けポータルサイトの仕組みとして
ServiceNowのCSMを導入

 そもそもテプコシステムズがServiceNowのCSMの導入を検討したのは、「TEPcube」のユーザー企業により良いCX(顧客体験)を提供するためのコミュニケーション手段として、「お客様向けポータルサイト」を設けることにしたのが発端であった。

 「TEPcube」は2020年4月にサービスを開始したが、当初の4カ月間はポータルサイトがなく、ユーザー企業からの問い合わせは電話とメールで受け付けていた。

 「サービスが立ち上がったばかりなので、まだスタッフは企画や営業も含めて総勢十数名しかおらず、問い合わせが重なると、その対応だけで手一杯になっていました。しかも、問い合わせを受けながら、障害への対処や、サービス変更などを行わなければならないので、誰が、どのリクエストを担当しているのか、どこまで進んでいるのかといったことが把握できなくなり、対応の遅れにつながってしまうことも珍しくありませんでした」と高橋氏は振り返る。

 問い合わせの内容や対応状況はすべてエクセルで管理していたので抜け漏れもあり、記録としてきちんと残らないことも大きな課題であった。そこで、これらの問題を抜本的に解決するため、「お客様向けポータルサイト」を設けることにしたのである。

 遠藤氏は、ポータルサイト運営の“仕組み”としてServiceNowのCSMを選定したことについて、「すでに東京電力が社内におけるITサービスマネジメント業務の一部にServiceNowを活用しており、メリットも確認できていたことが決め手の一つとなりました。また、様々な情報を単一のデータベースで管理することで、運用効率化や戦略策定にもつながりますし、ServiceNowは大規模なユーザー事例が数多くあることも安心でした」と説明する。

 ServiceNowのCSMは、企業のカスタマーサービスを高度化し、かつサービスを管理する企業側の業務効率も飛躍的に改善するソリューションだ。

 ユーザー企業にとって最大のメリットは、あらゆる問い合わせの窓口が一つのポータルサイトに集約されることである。「この件は、どこに問い合わせたらいいのか?」と迷うことがなくなり、受け付けた内容の処理は、自動的に担当部署や担当者に割り振られるので、問い合わせたまま放置されることもない。タッチポイントの改善と、サービス対応力の強化によって、顧客満足度を高めることができるわけだ。

サービスのセルフ化によって
「オンプレミスのような使い心地」を

 一方、企業側にとっては、電話やメールによる応対とは違い、ポータルサイトなら問い合わせの内容や対応履歴が自動的に記録されるので、わざわざエクセルなどに入力する手間がなく、記録漏れや記録ミスも解消されることが大きなメリットだ。

 しかも、その処理は「誰が、いつまでに、何をする」という指示を付けて自動的に割り振られ、期日が迫ってきた場合は、自動的に担当者にリマインドするアラート機能も付いているので、迅速に、かつ抜け漏れなく対応できるようになる。

 東京電力は、ServiceNowの「ITサービスマネジメント」を活用した仕組みを利用しており、その効果が確認できていたことから、テプコシステムズは「TEPcube」のポータルサイトの仕組みにServiceNowのCSMを取り入れたのだ。

 高橋氏は、「限られたスタッフで大量の問い合わせを受け付け、迅速に処理するためには、プロセスの自動化が不可欠でした。かつては、問い合わせを受けた内容をエクセルに入力し、各担当者に手動で割り振っていましたが、ServiceNowのCSMなら、その労力がなくなり、サービスの質を高められると判断しました」と語る。

 また、テプコシステムズがServiceNowの導入に当たって、自動化とともに高く評価したのは、サービスのセルフ化が実現できる点である。これは、「TEPcube」が目指すサービス内容の“ホワイトボックス化”を実現する上で欠かせないポイントであった。

 「一般的なクラウドサービスにおいては、契約状況や、契約している仮想マシンのCPU・メモリの利用状況などが確認しにくいのが実情です。このように利用環境や利用状況が“ブラックボックス化”してしまうことが、オンプレミスからクラウドへの移行を妨げる一因となっているのですが、『TEPcube』はこれを解決するため、ポータルサイトの画面上でお客様の環境や状況をすべて確認できるようにしたいと考えました。これが実現できるのもServiceNowを選んだ大きな理由の一つです」と高橋氏は語る。

 ServiceNowのCSMなら、ポータルサイト上のボタンをクリックするだけで詳細な利用環境や利用状況が画面上に表示される。わざわざ電話やメールで問い合わせをしなくても、ユーザー企業がいつでも確認できるようになるわけだ。

 遠藤氏は、「『オンプレミスのような使い心地』という『TEPcube』のコンセプトを実現するためにも、サービスのセルフ化を可能にするServiceNowのソリューションは不可欠でした」と語る。

TEPcubeのポータルサイト
「TEPcube」のポータルサイトは、ログイン時に2ファクタ認証を行うなど高度なセキュリティに守られている。デフォルトの状態でもトップ画面は見やすく、使いやすいデザインとなっている。