日経ビジネス電子版 Special

アフラックの変革に見る、DXの一つの答え 変化は待つものではなく自ら起こすもの

「今、変わらなければ、生き残れない」。多くの経営者は、新型コロナウイルス感染拡大後の変化を目の当たりにして、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を痛感している。そこで参考となるのが、CIO(最高情報責任者)の明確なビジョンと強力なリーダーシップの下、早くからDXを推進してきたアフラック生命保険の取り組みである。CIOの“あるべき姿”について、同社上席常務執行役員CIOの二見 通氏に、ServiceNow Japanの村瀬将思執行役員社長が聞いた。

「ユーザー体験の向上」は
10年以上前から必然のテーマ

村瀬:本日はよろしくお願いします。二見さんは、以前から「DXにおいては、ユーザー体験を徹底的に向上させることが重要だ」とおっしゃっていましたが、先日、菅義偉内閣のデジタル改革担当大臣に就任した平井卓也氏も、「高齢者でも使いこなせるデジタル社会の実現を目指したい」と、全く同じようなことを言っています。二見さんは、いつごろから「ユーザー体験の向上」の必要性を感じていらしたのでしょうか。

二見 氏
アフラック生命保険株式会社
上席常務執行役員 CIO
見 通
AIGグループ、メットライフ生命、三井生命保険(現・大樹生命保険)でCIO常務執行役員などを務め、2015年1月、アフラックに入社。IT部門とデジタルイノベーション部門を担当し、デジタルを駆使した変革や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。
※2020年12月16日時点での役職となります。

二見:「ユーザー体験の向上」の大切さについては、私自身は十数年ほど前から、その必要性を強く感じてきました。なぜなら、生命保険の営業における「お客様との接点」のあり方が、そのころから大きく変わってきたからです。

 私は現在、アフラックで働いていますが、その前から30年以上にわたって生命保険業界に身を置いてきました。その中で大きく変わったことの一つは、保険営業職員が職場に訪問して商品を提案する、いわゆる「職域募集」が十数年ほど前からできなくなってきていることです。セキュリティ強化のため、外部からの訪問を制限する会社が増えてきたのが背景にありますが、これによって対面営業が大きく制約されていることは否めません。

 一方、インターネット、モバイルデバイスが本格的に普及し始めたことで、お客様ご自身が自ら情報へアクセスし、多くの情報を集め判断をするようになってきました。保険に関してもお客様が自らインターネットを通じて多くの情報を集め各社の商品を比較する行動が当たり前になってきました。

 お客様と直接お会いして営業する機会が減っていく一方でインターネットへのアクセスが増えている以上、デジタル技術を使って新たな営業手法を構築していくのは当然の流れです。新型コロナウイルス感染症が拡大したから慌ててオンラインでの営業手法を構築したのではなく、そうした変化に沿って変革を進めてきたのです。

 もちろん、生命保険のお客様には、若い方からご年配の方もいらっしゃいますから、誰もが使えるサービスでなければなりません。よって、「ユーザー体験の向上」は、当社にとっては必然のテーマであり、重要な取り組みだったわけです。

村瀬:新型コロナウイルス感染症の拡大によって、お客様と直接お会いしてのサービス提供から、オンラインでのサービス提供への変化は一気に加速しています。その中でのアフラックの取り組みは、とても参考になります。さらに、詳しい話を聞かせてください。