日経ビジネス電子版 Special 週刊日経ビジネス電子版 SPECIAL日経ビジネス電子版

日本を世界一の「ベテラン人材」活用国家へ

労働力人口の減少が続く日本で、潜在的能力が高く経験豊富な50代以上のベテラン人材を活用して
競争力強化につなげようとするムーブメントが起き始めている。

その最前線を走るアトラエの松廣駿也氏に、ベテラン人材活用の課題と動向、今後の展望を伺った。

見過ごされている
ベテラン人材のポテンシャルについて

松廣駿也氏
株式会社アトラエ
Inow事業責任者
松廣駿也氏

 今日、経済界でベテラン人材の活用が注目されている。キャリアが長いベテラン人材が持つ豊富な知識や経験の活用は、労働人口の減少による人材不足を解消し、新たな経済発展の鍵を握るといわれている。

 テクノロジーによって人の可能性を拡げるPeople Techビジネスで業界をリードするアトラエの松廣駿也氏もベテラン人材の可能性に注目する1人だ。

 「新たな事業開発の一環で多くのベテラン人材とお話する機会があり、その中で、ベテラン人材が持つ可能性の高さを再認識しました。これまで培ってきた経験、高い専門性、知識やノウハウ、人脈を活用することができれば、多くの企業が今まで以上の成長を実現できるのではないかと確信すると同時に、活かすべき専門性や経験が活かされていない今の日本の姿にもどかしさを感じました」

 事実として、多くの企業において、ベテラン人材が持つ経験を活用することが出来ていない。では、どうすれば活用が進むのだろうか。

ベテラン人材の労働市場は、
すでに過渡期に差し掛かっている

 従来、ベテラン人材の活用は、顧問、監査役、社外取締役など特定のポジションにおけるごく一部の限られた人材の活用と、過去の経験を問わないような単純労働における活用に二極化してきた。

 「ベテラン人材の活用という観点では、日本の労働市場はまさに今、過渡期を迎えています。

 その要因として、正社員で働くことが当たり前だった日本において、『ジョブ型』と言われるような多様な働き方が受け入れられるようになってきたことが大きいと思います。これにより、必要な専門性や経験を必要な時に必要な形で取り入れることが一般的になりつつあります。その結果、ベテラン人材が持つ経験の活用の幅が広がったとも言えます。それに加えて、テクノロジーの発展や、それに伴ったベテラン人材と企業側双方のITリテラシーの向上により、従来のアナログなマッチングでは生まれづらかった多種多様なマッチングが可能になります。少子高齢化に直面する日本においては、今後ますます多くの企業が人材不足に陥ることは明らかであり、まさに今、変化に対応できるかどうかが問われています」

 事実、すでにベテラン人材が持つ豊富な経験や専門性を活用することによって、さらなる成長につなげている企業も存在する。例えば、アトラエがユニフォームパートナーとして支援するプロサッカークラブ水戸ホーリーホックでは、大手商社を定年退職したベテラン人材を迎え入れ、組織体制の見直しから労務管理の改革まで幅広い業務で活躍したという。具体的には、プロスポーツクラブの非常に繁雑な業務フローを分解し、働き方に則した就業規則の原案作成、社会保険労務士や弁護士との交渉、施行後の従業員フォローなどを遂行した。同社経営陣からも「大手商社で培った多様かつ豊富な経験や強い実行力を還元していただき、クラブを改革する大きな力になりました」と絶賛のコメントをいただいている。

 松廣氏はまさにこのようなマッチングを生み出したいと語る。「水戸ホーリーホックの事例ですが、実はベテラン人材の方の地元が球団と同じ茨城県であることや、大学院時代にスポーツビジネスの研究をされていたことなど、ご自身の経験を活かせるだけではなく、地域との相性の良さや興味分野が重なったこともあり生まれたマッチングでした」

従来のサービスとは
似て非なる革新的サービス「Inow」

 「人生100年時代を迎える日本において、今まで以上に健康寿命が延びる方が増えるでしょう。その中で、最後まで働きがいや生きがいを持ち、また社会とのつながりを持ち続けられる未来を創ることができれば、これからの日本はさらに魅力的な国になるのではないかと思い、新サービス『Inow(イノウ)』を立ち上げました」と松廣氏は事業立ち上げの経緯を語る。

 「Inowは、『年齢を重ねても働きがいを持ち続けられる世の中を創る』というビジョンを掲げています。Inowが実現したいことは、単なるスキルマッチングに留まらず、その人ならではの境遇や特徴であるからこそ生まれるマッチングを創り出すことです。まさに水戸ホーリーホックの事例のようなマッチングです。このような、その人だからこそ生まれる多種多様なマッチングを実現することができれば、世の中は大きく変わっていくと思います」

 サービス名称の「Inow」には、ベテラン人材活用に懸ける同社の強い想いが込められている。その語感通り「異能」と出会えることや、最適な経験を持つ人材を知っている「I know」の意味に加え、日本地図を作成した伊能忠敬へのリスペクトがネーミングに込められているという。

 「伊能忠敬は55歳を過ぎてから日本地図を完成させるという目標を掲げ、全国を行脚し、偉大な成果をあげました。同様に年齢を重ねてもやりがいを持ち、活き活きと働き、社会に貢献する、そんな現代の伊能忠敬を応援したい。Inowはそれを実現する他に類を見ないサービスになると信じています」と松廣氏は語る。

 Inowは、「超高齢化先進国である日本」を逆手にとり、世界一のシニア活用国家へ転換を図るパラダイムシフトの起点になる可能性を秘めている。

inow

シニア向けジョブ型マッチングサービス「Inow」とは

ベテラン人材がこれまで培った経験、高い専門性、知識やノウハウ、人脈などの「経験」と、それを活用したい企業や人の「ニーズ」をつなぐジョブ型マッチングサービス。企業のサービス利用料は当分の間無料。登録者と企業は直接コミュニケーションをとり、雇用や業務委託などお互いが納得する形で契約を結ぶことができる。

シニア向けジョブ型マッチングサービス「Inow」とは
[画像のクリックで拡大表示]
お問い合わせ
  • 株式会社アトラエ
    株式会社アトラエ

    〒106-0045
    東京都港区麻布十番1丁目10-10 ジュールA 8F

    TEL:03-6435-3210

    URL:https://atrae.co.jp/