日経ビジネス電子版Special

企業を脅かす身近な脅威「不正支出問題」に対峙する Vol. 2
企業を脅かす身近な脅威「不正支出問題」に対峙する Vol. 2

企業における不正支出、業務上横領などの不祥事は依然として後を絶たない。経費精算の不正が発生するたびに経理部門にはチェック業務の負荷が重くのしかかる。不正はなぜ発生するのか、どう防げばよいのか。本企画では、調査に基づく不正支出の実態と有識者による考察、ならびにソリューション提供側から見た課題と解決策をそれぞれお届けする。

Vol.2 コンカー×NTTデータ・スマートソーシング 社長対談 経費精算業務のデジタル化は「DXの1丁目1番地」 Vol.2 コンカー×NTTデータ・スマートソーシング 社長対談 経費精算業務のデジタル化は「DXの1丁目1番地」

企業は不正支出問題の解決にどう取り組んでいけばよいのか。経費精算のクラウドサービスで国内トップシェアを占めるコンカーと同社のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)パートナーであるNTTデータ・スマートソーシング、両社のトップに話を聞いた。

モデレーター
日経BP総合研究所 イノベーションICTラボ 上席研究員 大和田尚孝

ユーザーの約半数がBPOサービスを併用

――経費精算の承認業務をサポートするコンカーの「Audit(オーディット)サービス」の特長と、アジアで初めてSAP Concur BPOパートナーになったNTTデータ・スマートソーシングの強みをお聞かせください。

和田 コンカーから受託して運営しているAuditサービスは大きく2つのサービスから構成されています。経費精算レポートの入力情報と領収書の情報を突合して正しく入力されているかを監査する「領収書監査サービス」と、経費精算レポートの申請内容が会社の規程に合っているかを監査する「規定監査サービス」です。いずれも目視で行っています。

 約40人のオペレーターが専任で担当していますが、コンカーから提供いただいているBPO向けのプラットフォームのおかげでミスも少なく、スピーディーな対応が実現できています。コンカーによる経費規程の自動チェックと同様に、Auditサービスが正としない申請は差し戻しますから、けん制効果はあると考えています。

 もともと2013年にコンカーのシステムを見てその素晴らしさに感動し、2015年からパートナーとして協業させていただいています。青森にユーザーサポートデスクを設け、日本企業の要望に応える個別BPOのメニューを設けるなど、この協業を拡大しており、現在では多くのお客さまにご利用いただいています。

1. Receipt Audit (領収書監査サービス)または2. Policy Audit (規程監査サービス)
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目視による領収書画像の確認や規程違反のチェックを代行することで承認者の負荷を軽減。生産性の向上に加えて、「第三者視点で見られている」という認識の下、不正を防止し、従業員の意識改革を推進する

――Auditサービスのメリットはどんなところにあるのでしょうか。

三村 経費精算などの間接業務は極力スリム化し、コア業務にシフトしていくべきでしょう。Auditサービスをはじめとするコンカーの各製品はそのためのクラウドサービスです。

 BPOも同様で、システムを利用するだけでなく、それに関わる業務もまとめて引き受けるものです。従来、経理部門や業務部門の担当者が実施していたチェック業務をBPOに任せることで、その担当者はこういった間接業務に割いていた時間をコア業務に充てることができます。本BPOサービスは、日本市場への導入以来大変ご好評をいただいており、現在では49%のお客さまがクラウドサービスとあわせて利用されています。

 大手企業グループのシェアードサービス企業の多くは、グループ各社の業務プロセスがバラバラでスケールメリットが出せずに苦労しています。しかし、コンカーを使うことで業務プロセスを標準化することができ、グループ横断のサービスとしてご利用いただけます。加えて、リソースが共有できるので、負荷を分散させて繁閑期の差を埋めることができます。

 また、オペレーターは専業でモチベーションが高い担当者を揃えており、専用のチェックツールをあわせて活用することで、コストを抑えながら高い精度のサービスをご提供することができます。このAuditサービスを導入することで、担当者のチェック作業などにかかる業務時間を48%削減するなど、高い効果を上げています。

Auditサービスによる業務削減効果
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出所:コンカー試算 *1:内容により削減率は変動

間接業務のデジタル化をDXの“トップバッター”に

リモート取材の一幕(2021年3月)
リモート取材の一幕(2021年3月)

――ニューノーマル時代では経理部門の働き方も変わってくるはずです。その変革のポイントはどこにあるのでしょうか。

和田 DXを推進してテレワークにシフトしようという機運は高まっています。働き方が変わるのは時間の問題です。クラウドサービスを活用するなどして自宅で働ける仕組みを構築していくべきです。

三村 テレワークの実現を含む働き方改革の大きな阻害要因は紙の存在です。そして、紙を削減し業務のデジタル化を実現するためには、「トップの決断力」と「現場の協力」の両方が必要です。

 紙業務の削減と業務のデジタル化を成功させるには、お客さま自身での取り組みが必要不可欠です。ペーパーレスやキャッシュレスを進めることは生産性向上につながります。従来、間接業務に割いていた労力を効果的に活用することで働き方も大きく変わってくると思います。

――今後はどんな展開をお考えでしょうか。

和田 Auditサービスの受注は今後も増えていく見通しです。当社としてはしっかり対応できるように体制を整えていきます。また、請求書のチェック業務についてのご要望もあり、それにも対応していく予定です。

 クラウドサービスとBPOの組み合わせには大きなニーズがあると確信しています。クラウドサービスによって標準化された業務を地方のスタッフで対応していくことは地方創生にもつながります。今後も引き続き注力していきたいと考えています。また、これまでFraud Checkerを社内で利用してきましたが、後工程で不正利用や違反を抽出するのに有効であることが確認できました。今後は社外にも提供していきます。

Fraud Checkerは、SAP Concurの経費積算データに勤怠データ、建物入館データなどを統合して判断いたします。
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資料:NTTデータ・スマートソーシング

三村 今後、業務のDX待ったなしの状況になると考えています。ただ、何から手を付けたらいいのか分からないという声も聞こえてきます。間接業務は繰り返しが多くルール化しやすいにも関わらず、システム化が遅れている分野でもあります。紙のデジタル化は3カ月あれば実現できます。ここに先進のソリューションを導入すれば、かなりの業務改善効果が期待できます。

 ペーパーレスだけでなく、キャッシュレスの流れもあり、日本企業の意識改革は着実に進んでいます。NTTデータ・スマートソーシングと共に具体的で実現性の高いサービスを創り出し、DXの“トップバッター”として「間接業務のデジタル化」が位置づけられるよう提案していきます。

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