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手軽で低コストの顧客データベース構築

国内市場の拡大が見込めないなかで、顧客と良好な関係を構築するCRM(Customer Relationship Management)ツールを導入する企業が増えている。確かに表計算ソフトExcelでのデータ活用には限界がある。しかし、CRMの構築は技術的にも費用的にもハードルが高い。使いこなすにも一定のスキルやITリテラシーが必要になる。こうしたなかで費用をかけずにノンプログラミングで顧客データベースを構築し、CRMツールとして活用できるクラウドベースのWebデータベースサービスがある。少数精鋭のエンジニア集団であるロフタルが提供する「Pigeon Cloud(ピジョンクラウド)」である。サービスを開発したエンジニアたちに開発した背景やメリットについて聞いた。

フルスペックの
高額なCRMツールは必要なのか

<span>株式会社ロフタル<br>代表</span><br>石川 傑也 氏
株式会社ロフタル
代表

石川 傑也 氏

 人口が減少する今、企業にとって重要な指標として注目されているのが“LTV(Life Time Value)”である。ひとり、あるいは一社の取引相手とできるだけ長く取引を継続し、得られる利益を最大化していくという考え方だ。LTVのためには新規に獲得した顧客を管理し、顧客のニーズに応じた提案を行い、繰り返し取引を成立させていかなければならない。

 これまで多くの企業は顧客管理や売上管理をExcelによって行ってきた。ただ、Excelでは結果としての数値を把握するだけで、顧客ごとの商談の進捗管理を行い、取引状況や属性を把握したうえでの提案活動に繋げるのは難しい。それを実現する仕組みとして急速に普及しているのがCRMツールだ。

 顧客管理から始まったCRMは、顧客を獲得する営業支援や顧客をサポートするコールセンターの機能も含むツールとして成長し続け、機能は拡充されつつある。しかし、現在のCRMが提供する豊富な機能を使いこなしている企業がどれだけあるのだろうか。機能の豊富さに合わせて価格も高くなっている。それに見合った成果が得られているのかは疑問だ。

 こうした現状に応えて提供されているのが、クラウドベースのデータ管理ツール「Pigeon Cloud」である。開発元ロフタル 代表取締役の石川傑也氏は「既存CRMツールの高度な機能を使いこなしている企業は少ないでしょう。企業の規模や使い方によっては現在のCRMツールではアンマッチな状況が生じています」と語る。

ノンプログラミングで
データベースを作成できる

<span>株式会社ロフタル<br>COO</span><br>目黒 学 氏
株式会社ロフタル
COO

目黒 学 氏

 ロフタルはITを駆使した“楽”で“楽しい”世界の実現を目指して、様々なシステムの開発に取り組んでいる少数精鋭のエンジニア集団だ。ITインフラからソフトウェア開発、プロジェクトマネジメントまでフルスタックでシステム開発をカバーし、AIや画像解析、データ分析などを得意とする。

 その同社では社内のシステム開発業務を効率的に進めるために「Pigeon Framework」というツールを独自開発してデータを管理してきた。あくまでも開発者向けのツールだが管理画面の作成工数を90%以上削減できたという。

 「Pigeon Frameworkは一般的な業務にも使えるはずと考えて、ノンプログラミングで使えるように汎用化したのがPigeon Cloudです。ファイルや文字列、数値など様々なデータ形式に対応し、ノンプログラミングでデータベースを作成できるのが最大の特長です。CRMだけでなく、社員採用管理、日報管理、社員情報管理など、業務に合ったシステムをデザインし利用できます」(石川氏)。

 Pigeon Cloudが目指しているのは、徹底したシンプルさだ。同社 COOの目黒学氏は「1つの画面にすべて必要な情報が集約されており、ノンプログラミングで業務とデータを関連付けてデータベース作成できます。様々なカスタマイズにも対応可能です」と説明する。

 クラウドベースのWebデータベースであるPigeon Cloudを利用するには事前の準備は必要ない。Pigeon Cloudにログインして、作りたいデータベースを登録し、データ項目やデータ形式などを登録して、データを追加していくだけだ。Excelからデータを移行するのも簡単にできる。

 登録されたデータは計算方法を設定しておくだけで自動計算され、表形式やグラフ、チャートなどで表示できる。取り込んだExcel、Word等のOfficeファイルやPDFは 自動テキスト化されるため、ファイル内を高速で検索する機能も提供される。また、「在庫管理」「日報管理」「問い合わせ管理」などのテンプレートも用意されているので、CRMツールとしてすぐに利用することが可能だ。

Pigeon Cloudでできること
Pigeon Cloudでできること
Pigeon Cloudの概要
Pigeon Cloudの概要

利用者のスキルに応じて
高度なカスタマイズも可能!

 Pigeon Cloudは面倒なデータベースの設定は必要ない。アプリケーション側がそれを代行してくれる。「メニューは絞り込んでシンプルに設定してあります。新しくビジネスを立ち上げて、Webを活用し、サービス/アプリケーション側と連携して顧客管理を行うために必要な機能は予め用意されています」と目黒氏は語る。

 顧客管理、売上管理、在庫管理、商品管理といったビジネスに必要なデータベースがノンプログラミングで作成でき、PCやスマートフォン、タブレットのブラウザから操作できる。複数の利用者がデータを共用できて、アクセス制限や閲覧や編集の権限も設定できるなどセキュリティ機能も充実している。

 しかし、単なるノンプログラミングツールでないところもPigeon Cloudの特長だ。「見えるところはシンプルですが、Pigeon Cloudはもともと開発者用に作られたものです。裏側には様々な機能が用意されています」と目黒氏が語るように、利用者のスキルに応じて高度な使い方もできる。

 Pigeon Cloudでは、テーブル連携機能や他のアプリケーションとのAPI連携機能など高度な機能が提供されているので、スモールスタートした後で、他のデータベースと連携して機能を拡張していくことができる。しかもこうした機能は次々と追加されている。現在は2週間に1度のペースで機能強化(バージョンアップ)されている。

 「CRMとしての活用では、ECサイト上での顧客の行動をグラフ化したり、特徴量を抽出してAIによって潜在顧客を見つけたり、顧客を効率的にフォローする機能も今後追加していきます。複数のECサイトをつないだ顧客管理やメインフレーム連携、請求書発行システムとの接続なども検討中です」(石川氏)。

Pigeon Cloudの利用例。顧客の問い合わせ管理
Pigeon Cloudの利用例。顧客の問い合わせ管理
Pigeon Cloudの利用例。顧客や商品情報の管理
Pigeon Cloudの利用例。顧客や商品情報の管理
Pigeon Cloudの充実したデータベース機能。データ形式に応じた検索を高速で処理できる
Pigeon Cloudの充実したデータベース機能。データ形式に応じた検索を高速で処理できる

クラウドの強みを活かして
徹底した低料金を実現

 Pigeon Cloudは価格面でもハードルが低いのが大きな特長だ。富士通が提供する国産クラウド「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O」上からSaaS展開されるPigeon Cloudは、利用者1人当たり月額850円で利用できる。しかもテーブルの数は無制限で、1ユーザーあたり4GBのディスク容量が提供される。

 月額4万9000円の法人向けプランであれば専任の担当者がつき、アクセスできるIPアドレスも最大100個になり、データとファイルの定期的なバックアップや2要素認証など安心して使える機能が提供されている。Excelファイルからのデータのインポートなど初期導入についてのサポートサービスも用意されている。

 石川氏は「FJcloud-Oは信頼性が高く、しかもデータ転送量が無料であるため採用しました。ネットワークの料金の変動が少ないため、Pigeon Cloudのサービスを月額固定料金で提供でき、“必要なだけお使いください”と安心して伝えることができます。アプリケーションのレスポンスも良く、これまでシステム障害が起きたことはありません」とFJcloud-Oを採用した理由を語る。

 同社がFJcloud-Oを採用するきっかけとなったのは、富士通が運営する技術と未来をつなげるコミュニティ「FUJITSU TECH TALK」に参加したことだった。若いエンジニア集団である同社にとって、FUJITSU TECH TALKは社外のつながりを作る格好の場になっているという。

 「FUJITSU TECH TALKでは、Pigeon Cloudの紹介動画を作ってYouTubeで公開してくれたり、オンラインイベントでプレゼンさせてもらったり、情報発信の機会を数多くいただきました。他のメンバー企業から協業の話をいくつかいただくなど、当社としての提案の幅を広げることにも役立ちそうです」と石川氏は期待を語る。

 FJcloud-Oの上で稼働するPigeon Cloudは機能面でも価格面でも導入のハードルが低いが、今なら無料トライアルも可能だ。自社の実状にあった利用ができるかどうか確認するチャンスだ。積極的に試してみることをお勧めしたい。

企業情報
  • 株式会社ロフタル
  • 代表石川 傑也
  • 設立2015年9月16日
  • 所在地東京都渋谷区恵比寿西一丁目33番6号 JPnoie恵比寿西1F
  • 概要AI・データサイエンス事業、Webシステム開発、サービス開発事業を手がける技術に特化した企業。AI・データサイエンス事業では、画像解析等の人工知能を用いたサービスの開発、独自アルゴリズムを使用した高精度なデータ解析を行う。Webシステム開発では、ソフトウェア開発だけではなく、デザイン、サーバー構築、運用/保守とワンストップでサポート。Web制作とシステム開発の知見を生かし、データベースの管理ページが簡単に作成できる「Pigeon Cloud」、研究室向け事業として、研究室Webサイトを手軽に作成・更新できるCMS「Labby」、高校生・大学生向けの研究室によるブログメディア「Hey!Labo」を扱う。
  • URLhttps://loftal.jp/
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