日経ビジネス電子版 Special

創業120年を超えても最先端で走り続けるために 変化を先取りしてDXを推進するNECの「Purpose経営」

NECグループ10万人のリモートワークを支える
デジタルワークプレイスを整備

山下:NECの社内DXは、いつごろから始まったのでしょうか?

中田:デジタル変革への下地として、基幹システムのグローバル統合に着手したのが2008年のことです。つまり、社内DXへの取り組みは13年前から始まっていたと言えます。

 2016年には、「社会価値創造のリファレンス化」として当社自らがDXを積極的に推進していくことをコミットし、社内DXへの取り組みが本格的に動き出しました。デジタル技術の浸透によって「社会の見える化」が進み、個々人が能力を発揮できる世界を目指して、「Digital Inclusion」(デジタルテクノロジーが社会の隅々まで浸透し、データの安全で自由な活用が当たり前になる)という概念を掲げ、その実現に向けて当社自身のDXを推進しました。具体的には、いち早くリモートワークやクラウド基盤の活用、業務とデータの標準化と統合などに取り組み、DXの「D」(デジタル化)の環境を整えています。

 さらに2018年には、人事評価や人材育成、働き方などを変革する「Project RISE」を発足しています。これは、変革の中でもとくに重要なのは人やカルチャーが変わることだという経営陣の強い意識に沿ったものです。

 また、DXを推進するためには、ITシステムだけでなく、業務プロセス、制度の3つを三位一体で変革することが必要だという考え方を基礎に、この年からDXの「X」(変革)に軸足を移すための素地づくりを始めています。

山下:なるほど。かなり戦略的にDXを進めていらっしゃるんですね。現在は、どのような取り組みを進めているのでしょうか?

中田: 2021年度には、CEO直下に「Transformation Office」という社内DXを推進するプロジェクトを立ち上げ、基盤構築の推進、スマートワークを実現するデジタルワークプレイスの整備、基幹系をはじめとする社内システムの刷新、デジタルリスクに対応するゼロトラストセキュリティへの変革などに取り組んでいます。

 また、デジタルワークプレイスについては、NECグループ10万人の従業員がリモートワークやコラボレーションできる基盤を整備済みです。コロナ禍によって、現時点では約6万人の従業員がテレワークを実践しており、毎日3万回を超えるリモート会議が行われています。

業務プロセス変革の一環として
ServiceNowのプラットフォームを導入

山下:ところで、NECは社内DXについて、パートナーとの協業やエコシステムの形成が重要だという認識を持っておられるとうかがっています。その点に関する考えを詳しくお聞かせいただけますか。

中田: 三位一体の変革を進めていくためには、NEC独自の技術やソリューションだけでは足りない部分があるのは事実です。それを補うために、パートナリングやエコシステムづくりは非常に重要だと考えています。

 中でも業務プロセスの変革に関しては、グローバルで多くの実績を上げているServiceNowのソリューションに強く期待しています。

山下:ありがとうございます。ServiceNowは、あらゆる業務プロセスをエンド・ツー・エンドで自動化するプラットフォームを提供しており、手作業が多く、プロセスごとにサイロ化された業務を効率化し、連携強化するのに最適なソリューションであると自負しています。

 そもそも、NECが最初にServiceNowから導入したのは、お客様企業からの問い合わせを管理するマネージドサービスでしたね。

中田: そうですね。2019年春に導入し、利便性が非常に高いと判断したことから、社内DXにも取り入れることにしました。2020年には、社内DXにServiceNowを活用するためのいくつかのPoC(概念実証)を行い、すでに稼働しているものもあります。

山下:ServiceNowのどのような点を評価されたのでしょうか。

中田: 当社のDXでは人やカルチャーの変革に注力していますが、ServiceNowのプラットフォームは従業員のエンゲージメントを高める機能が充実している点を高く評価しました。

 スマートフォンなどのモバイル端末を使って業務を回せることや、分かりやすく洗練されたUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)を備えていることは従業員にとって魅力的だと思いますし、紙による申請や、電話、メールによる問い合わせなどがすべてSNSライクな操作・入力で完結するので、作業効率も飛躍的に改善します。

 また、ServiceNowは、社内のシステムやデータベースを一元化し、縦割りになっていた業務をデジタルワークフローによって自動連携させるので、当社が三位一体変革の1つに掲げる業務プロセスの効率化にもかなっていると評価しました。

山下氏/中田氏
「ServiceNowを社内DXに活用するため、CoE(センター・オブ・エクセレンス)チームを編成してナレッジや技術の蓄積を行っています」と中田氏。山下氏は「技術習得や人材育成に関する悩みがあればぜひご相談ください」と応じた。