日経ビジネス電子版 Special

「金融DX」を阻む原因は何か? 金融業界が真の変革を遂げるために必要なこと

マイナス金利による収益の圧迫、FinTechの台頭によるサービス競争の激化など、金融業界を取り巻くビジネス環境は厳しさを増している。困難を乗り越えるために、デジタル化を取り入れて業務やサービスの変革に挑んでいるものの、思うような成果が上がらず悩んでいる金融関連企業が多いのが実情だ。いったい何が「金融DX(デジタルトランスフォーメーション)」を阻んでいるのか?

サービスの入り口だけでなく
業務プロセス全体の変革を

津留崎 氏
ServiceNow Japan合同会社
ソリューションコンサルティング事業統括
第二SC統括本部 統括本部長
津留崎 厚徳
京都大学法学部卒業後、国内企業を経て2008年日本オラクル入社。大手金融機関や事業会社に対して会計・人事などのバックオフィス業務や顧客サービスを変革するソリューション提案に従事。21年1月ServiceNow Japanに入社し、金融機関をはじめとするお客様のデジタルトランスフォーメーションを支援する。

 QRコード決済やスマートフォンアプリを使った資産運用サービスなど、デジタルを活用した新たな金融サービスが次々と登場し、ユーザーを増やしている。数年前まではニッチなニューカマー(新参者)といった程度に捉えられていたFinTech企業が、新たな金融サービスの担い手として存在感を発揮し、金融業界の市場で頭角を現しているのである。

 もちろん銀行や証券、保険といった金融関連企業も手をこまねいているわけではない。スマートフォンアプリによる口座開設や、SNSによる残高照会など、テクノロジーを積極的に取り入れ、FinTech企業に負けないサービスの利便性やCX(顧客体験)を実現しようとする動きは活発化している。

 だが、「従来の金融関連企業は、アプリや専用ウェブサイトといった顧客接点のDXには積極的に取り組んでいますが、顧客から受けたリクエストに対応するミドルオフィス、バックオフィスの業務プロセスは従来のままであることが多く、それがCXの向上を阻む原因となっているようです」と語るのは、金融を含む様々な業種にクラウド型業務プラットフォームを提供するServiceNow Japanの津留崎厚徳氏だ。

 例えば、店頭における利用客からのリクエスト対応でも、窓口担当が素晴らしい応対をし、頼まれた業務をすぐ後方の担当者に回したとしても、そこで時間がかかり、利用客を待たせるようなことになってしまったら、窓口担当が与えたつかの間の良い印象も台無しとなる。

 従来の金融関連企業によるサービスのデジタル化は、これと同じことをオンライン上で行ってしまっているケースが多いというのが津留崎氏の指摘だ。

 「サービスの“入り口”だけをデジタル化するのではなく、そこで受けた利用客からのリクエストがエンド・ツー・エンドで迅速に、漏れなく自動処理される仕組みの構築が求められているのです」と津留崎氏は語る。では、それを実現するためには、どのようなことが求められるのだろうか。