日経ビジネス電子版 Special

DXとセキュリティは同時に進めなければならない 2つのDXを推進する横河電機の哲学

計測・制御機器メーカーとして100年以上の歴史を重ね、海外売り上げが7割を占めるほどグローバルに事業を展開する横河電機。ビジネスプロセスの自動化を目指し、インターナル(社内)、エクスターナル(社外)の両面でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める横河電機の執行役員である舩生氏は、セキュリティ対策も同時に強化しなければならないという強い哲学を持っている。その理由とは?

OTとITを融合して
より大きな価値を提供する

 1915年に創業した横河電機は、石油・ガス、化学など、様々な産業で使用される計測・制御機器を開発・製造するメーカーとして100年以上の歴史を歩んできた。

 現在も売上高の約9割を制御システムが占め、その製品は世界中のプラントで使われている。国内の石油精製や化学品製造などが頭打ちとなる一方、海外では新興国を中心にプラントの生産能力を年々拡大させており、同社が提供するシステムへの需要も増加。その結果、同社の海外売上比率は約7割を占めるまでになった。

 長年にわたってプラントのOT(制御・運用技術)に磨きをかけ、その高い信頼によってグローバル市場を切り開いてきた横河電機は現在、OTとIT(情報技術)の融合によって、顧客により大きな価値を提供しようと取り組んでいる。

舩生 氏
横河電機株式会社
執行役員(CIO) デジタル戦略本部長兼
デジタルソリューション本部
DXプラットフォームセンター長
舩生幸宏
1990年、NTTデータ入社。その後、ソフトバンクファイナンス(現・SBIホールディングス)、ソニーを経て、2018年3月、横河電機の執行役員(CIO)兼デジタル戦略本部長に就任。19年4月からデジタルソリューション本部 DXプラットフォームセンター長を兼務。

 「その一つとしてとくに注力しているのが、制御オペレーションの自動化です。人がプラントの現場に常駐していなくても、IoTが常に監視し、故障や不具合の予兆があれば、AIがそれを判別して自動的に対処するようなシステムを実現したい。そうした新しい価値を生み出すためにも、DXへの取り組みは欠かせません」

 そう語るのは、横河電機 執行役員(CIO) デジタル戦略本部長兼デジタルソリューション本部DXプラットフォームセンター長の舩生幸宏氏である。

 横河電機は、DXを2つの方向で推し進めている。1つは社内のビジネスプロセスを整流化、適正化、自動化する「インターナルDX」。もう1つは、インターナルDXで得た知見とノウハウを基に、顧客のビジネスプロセス変革を支援する「エクスターナルDX」だ。

 舩生氏は、「どちらのDXも、目指しているのは、社員が出社しなくても仕事が回せる『デジタルエンタープライズ化』の実現です。とくに我々の工場や、お客様のプラントでは、どうしても現場に人がいないと、仕事が回せない状況になっています。その状況を、リモート化や自動化の技術で何とか変えていきたい。まずは社内で実践し、その成功例を提供することで、お客様のデジタルエンタープライズ化を支援していきたい」と語る。

 どちらのDXにおいても、欠かせないのは「セキュリティ対策を同時に、しっかり進めること」だと舩生氏は語る。なぜ、DXとセキュリティ対策は不可分だと考えるのか。次のページで紹介する。