現場で活躍するコンサルタントが考える
CS調査の限界とは?

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
マーケティング・アナリティクス部
シニアコンサルタント
剣持 真 氏

「例えば、顧客満足度が高くても、解約率が高いことは珍しくないように、実は“顧客満足度を高めるためにするべきこと”と“ロイヤルティの高い顧客を増やすためにするべきこと”は異なります。つまり、顧客満足度を把握するだけでは、顧客ロイヤルティの改善につながる打ち手を見出すことは難しいのです」と剣持氏は強調する。では、どうすればよいのか?

そんな疑問への答えが、「ネットプロモータースコア(NPS®)」 という仕組みを取り入れることだ。
※Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、ナイス・システムズ(旧サトメトリックス・システムズ)の登録商標です。

NPSとは、顧客に「友人や同僚(自分以外の他者)にそのサービスや商品を薦めたいか?」という質問を軸に顧客の意向を測る指標。「薦めたい」という気持ちの度合いによって、顧客を「推奨者」「中立者」「批判者」に分類し、推奨者割合から批判者割合を差し引いた数値がNPSのスコアになる(図1参照)。つまり、単に商品やサービスに満足しているか否かだけでなく、サービスやブランドに対する推奨度――すなわち顧客のロイヤルティそのものを測ることができるのだ。

とはいえ、スコアが出たからといって、それだけで顧客ロイヤルティが向上する訳ではない。

「顧客ロイヤルティを測る指標として、広く知られるようになったNPSですが、この指標を活用しながら、改善活動のサイクルを絶えずに回していくことが重要です。具体的には、経営層やプロジェクトチームが主導して、年に1、2回、NPS調査によって自社の製品やサービスに対する顧客の声を収集し、製品やプロモーションなどにフィードバックさせていく『ストラテジッククローズドループ』と、より短いスパンでNPS調査を実施し、そこから得られた課題を現場レベルで改善していく『オペレーショナルクローズドループ』の2つのクローズドループを回していくことが必要だと考えています(図2参照)」(剣持氏)

CXを高め、ロイヤルティの高い顧客を増やすための
3つの基本戦略

ロイヤルティの高い顧客を増やすためには、次の3つの戦略が必要だと剣持氏は説明する(図3参照)。

1.推奨者獲得戦略

顧客の購買水準に到達するためにコミュニケーション活動を通じて期待度を高めるとともに、推奨者を増やすために期待度・総合期待度ドライバーチャート(後述)から明らかになる項目の期待度を向上させること。

2.顧客ロイヤルティ向上戦略

満足度・推奨度ドライバーチャートから明らかになる優先改善項目へ対応するとともに、各社の優先順位に応じて決定木分析から明らかになる批判者を減少させる項目、推奨者を増加させる項目へ対応すること。

3.顧客離脱防止戦略

顧客の不満を吸い上げる場をつくり、各組織で行った問題解決事例を共有して、スピーディーな問題解決体制を構築すること。

この3つの戦略に基づいてPDCAサイクルを回しながら、バランスよく進めていくことで初めて顧客ロイヤルティを最大化することが可能になる。

そして、PDCAサイクルを回す上で必要な現状把握や効果測定にスコアが用いられるのは言うまでもないだろう。

ただし、取り組みの効果を上げるためには、コールセンターや店舗などのタッチポイントごとに適切なタイミングで細かく調査を行う必要がある。また、スコアを施策に反映させるには、専門的な知見が求められる。それを経験のない企業の力だけで実現するのはハードルが高い。

例えば、先述の「推奨者獲得戦略」では、購買水準を上回るよう期待度を高めないと購買されないわけなのだが、だからと言ってやみくもに期待度を高めればよいというものではない。なぜなら、期待度が高まると、今度はそれを上回るだけの価値を提供しないと不満に感じられてしまうからだ。そして、その判断基準となるのが、期待度と総合期待度との相関をまとめたドライバーチャートである。

ドライバーチャートで施策の優先順位を明らかに
――通販化粧品業界の例

具体的な例を出してドライバーチャートを説明しよう。

NTTコム オンラインでは、217万を超えるモニターを活用し、業界別にNPSベンチマーク調査を実施し、スコアの高い企業のランキングや業界平均値を発表している。

例えば、2022年1~2月に行った通販化粧品業界におけるNPS調査では、FANCL(ファンケル)が1位、ハーバー研究所が2位、ORBIS(オルビス)が3位という結果になった。

そして、図4が調査結果から導き出した、通販化粧品業界全体の期待度と総合期待度との相関をまとめたドライバーチャートである。

「このチャートを見ると『12.効果・効能』『9.品質のよさ』『2.商品の信頼性・安全性』『8.使い心地のよさ』は期待度を高めると総合期待度が高まるものの、もともと期待度が高いので、さらに期待度を高めると、今度は満足度を得にくい項目となってしまいます。一方『1.企業イメージ・ブランドイメージのよさ』『11.有効成分の含有量が多い』については、期待度が低く、この項目の期待度を高めても、すぐには満足度が得にくい状況にはならないことがわかります。つまり、この2つが優先的に改善すべき項目だといえるのです」と剣持氏。

繰り返しになるが、このようなことを実現するためのノウハウやスキルは、残念ながら一朝一夕で身につくものではない。そこで、おすすめしたいのがNTTコム オンラインのNPSコンサルティングサービスである。

「NPSの共同開発元であるNICE社(旧Satmetrix社)の認定資格を有するコンサルタントが、導入から運用までサポートするのが、NPSコンサルティングサービスの最大の特徴です。NPS調査の実施はもちろん、適切な調査を行うための調査票の設計、データ収集・分析、PDCAを回す仕組みづくりを含めた伴走支援を行います」(剣持氏)

NPSの本質は、スコアの測定ではなく、スコアを上げるための仕組みを作っていくことだ。それを確実に実現させる同社のコンサルタントは、CX、あるいは顧客ロイヤルティの向上に何らかの課題や悩みを抱えている企業にとって、代え難いパートナーになってくれるに違いない。

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