DX推進に向けて
不可欠な経営者の意識変革
「デジタルトランスフォーメーション(DX)は経営マターである」――。
この言葉を自分事として捉えられている日本企業の経営者はどのくらいいるだろうか。グローバルに比べて日本企業のDXは遅れているといわれる。クラウドをはじめとする多様なテクノロジーやソリューションを導入したり、複数のPoC(概念実証)プロジェクトを実施して効果創出にチャレンジしたりする企業は多いが、ビジネス成果につながらない。その背景には、経営者の意識改革がまだ不十分なことがあるだろう。
DXの真の目的は企業経営を変えることにある。新たなビジネスモデルやサービスを創出し、顧客体験の変革に資するようなイノベーションを実現する。それには企業の経営層や事業部門などの「ビジネスサイド」と「ITサイド」が一体になって取り組みを推進するアプローチが不可欠だ。
そこで今回は、DXで先行する日本企業として、東京海上日動火災保険、第一生命ホールディングスにそのための秘けつを聞く。損害保険、生命保険の各分野で積極的な変革の取り組みを進める両社と、OSS(オープンソースソフトウエア)のグローバルベンダー、レッドハットのキーパーソンの鼎談を基に、これから日本企業の経営者が描くべきDX戦略について考えてみよう。