日経ビジネス電子版 Special
経験と勘ではなくデータに基づく意思決定へ

データサイエンスのチカラで
物流業界をリードする
ヤマト運輸

年間22億個以上もの宅配便を取り扱い、業界のトップランナーとして躍進を続けるヤマト運輸。ヤマトホールディングスは、2020年1月に経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を発表し、基盤構造改革の一つとして「データ・ドリブン経営への転換」を打ち出した。データに基づく意思決定やオペレーション変革に挑む同社の取り組みに迫った。

経営構造改革の一環として
「データ・ドリブン経営」を目指す

 ネコマークのトラックを見かけない日はないほど、私たちの生活の一部となっているヤマト運輸の「宅急便」。2021年度の宅配便取扱量は22億7562万個と、業界トップクラスの規模を誇る。

 個人向けの会員サービスである「クロネコメンバーズ」の会員数は5000万人以上と、日本の総人口の約4割が登録。法人向けの「ヤマトビジネスメンバーズ」も130万社以上に上り、圧倒的な顧客基盤の大きさが成長の支えとなっている。

ヤマト運輸株式会社
執行役員 DX推進担当
中林 紀彦
アルプス電気、日本IBM、SOMPOホールディングスなどを経て、2019年ヤマトホールディングスに入社。21年4月からヤマト運輸執行役員。国立大学法人筑波大学 システム情報系客員教授。データサイエンティスト協会理事。

 「お客様との接点として、全国に約4000カ所の拠点を配置し、約6万人のセールスドライバーを含む約18万人の社員がいます。荷物を運ぶトラックは約5万4000台に上ります」と説明するのは、執行役員 DX推進担当の中林紀彦氏である。

 巨大な経営資源を保有するヤマト運輸にとって、それらをいかに効率よく配置・運用し、顧客にタイムリーで確実な配送サービスを提供するかは重要なテーマとなる。

 「『宅急便』は1976年にスタートし、80年代から90年代にかけて物流ネットワークやリソースを拡大しました。ここ数年、ECの増加などによって取扱量は年10%を超えるペースで増えています。限られたリソースを効率よく配置・運用するため、これまでのように経験や勘に頼るのではなく、客観的なデータに基づき需要と業務量を予測する必要性がますます高まっています」と中林氏は説明する。

 ヤマトホールディングスは、21年1月に発表した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」の基盤構造改革の一つとして「データ・ドリブン経営への転換」を掲げている。車両・人員の配置といった現場のオペレーションだけでなく、経営そのものも客観的なデータに基づいて判断できるような体制づくりを目指しているのだ。

 「データ・ドリブン経営を実践するには、データサイエンスの活用が不可欠ですが、その前提として、社内に存在する広範で膨大なデータを収集・統合し、分析しやすい状態にする必要があります。そのため、データマネジメントの体制や仕組み作りには、とくに力を入れています」と中林氏は語る。

 データマネジメントの効率化を実現するため、ヤマト運輸はServiceNowのソリューションを導入した。その狙いはどこにあったのか?