「新たな挑戦」に向けた構造改革が始動「金融+」で「リテールNo.1」を目指す「新たな挑戦」に向けた構造改革が始動「金融+」で「リテールNo.1」を目指す

再生までの道のりを忘れず、新たな変革に挑む

株式会社りそなホールディングス 取締役兼代表執行役社長 南 昌宏氏
株式会社りそなホールディングス
取締役兼代表執行役社長
南 昌宏

長崎近年はVUCAの時代といわれ、予想もしない変化が急激に訪れます。それに伴うお客さまや地域社会のニーズの変化に対し、りそなグループはどのように対応していくお考えでしょうか。

社会・産業構造やお客さまの金融行動はもとより、いずれゲームのルールそのものが変わっていく可能性についても考えておく必要があると思います。こうした中で、われわれが変化にいち早く適応するためには、これまでの価値観や常識に過度にとらわれることなく、新たな挑戦を続けていくことが重要です。そのためにも、自ら学び続けることはもちろん、外部の優れた知見やノウハウについても積極的に取り入れていきたいと考えています。こうした地道な取り組みが、いずれお客さまに新たな価値を提供することにつながり、結果として、りそなグループの競争力向上にも直結していきます。

もちろん、うまくいくことばかりではありませんが、りそなグループが持つ“変革のDNA”を生かしながら、果敢にチャレンジするとともに、修正していく力を高めていきたいと思います。

長崎新たに制定したパーパスと長期ビジョンがその旗印になるわけですね。

これまで、時間をかけて資本の質的・量的拡充に取り組んできたことで、ようやく資本の活用ステージを迎えています。こうした中で、2023年5月に公表した新中期経営計画のもと、名実ともに「りそな再生」から、「リテールNo1」の実現を目指す新たなステージに踏み出しています。同時に、このギアチェンジを行うための前提として、パーパスを含めたグループ理念体系の再整理を行いました。

パーパスは、「われわれが社会にどのように貢献していくのか」、あらためて、りそなグループの根底に流れる想いを明確にしたものです。これまで大切にしてきた経営理念は、「りそなショック」からの学びをグループのDNAとして伝えていくために、一言一句変えることなく次世代に引き継いでいきます。

「パーパス」と変わることのない「経営理念」、そして、リテールNo.1を掲げる「長期ビジョン」が、われわれが、苦しいとき、迷ったときに立ち返り、そして再び前に進んでいくための原点となるものです。

長崎変えるべきことは大胆に変え、絶対に変えていけないところは真摯に守り抜いていく。歴史こそ違いますが、これはアマゾンとも共通するところがあると感じました。アマゾンも変革を続けていますが、根底にあるのは「お客さまから逆算して考える」というミッションステートメントを愚直に追い続けることに他なりません。危機を乗り切り、新しい成長のステージに歩みを進めてこられたのも、まさにそうした想いが社員の通底にあったからなのでしょうね。

※VUCA:※Volatility:変動性・Uncertainty:不確実性・Complexity:複雑性・Ambiguity:曖昧性

デジタルとリアルが融合した金融サービスを目指す

長崎パーパスと長期ビジョンの実現に向け、コーポレート・トランスフォーメーション(CX)に取り組まれていますね。なぜCXが必要なのか。取り組みの狙いと背景を教えてください。

われわれの「稼ぐ力」や「稼ぎ方」と、それを支えている発想や仕組み・仕掛け、業務プロセス、システムが、時代の変化とともに少しずつミスマッチを起こしていると感じています。

例えば、テクノロジーが進化し、世の中のUX(ユーザーエクスペリエンス)は、既に一変しています。日常の金融取引を行う際の煩雑なプロセスが、今後もお客さまに受け入れられるとは思えません。日常の金融サービスは、お客さまが望む時間に、望む場所や方法で、簡単便利に完結できることが、新しいスタンダードです。

ただ、こうした変化に適応するためには、次世代を見据えたりそなグループの構造的な改革、つまりはCXが不可欠です。

CXの目的は、お客さまの顧客体験を変え、お客さまに新たな価値を提供することです。そして同時に、われわれの業務プロセスの解体・再構築等を通じた経営資源のシフトや生産性の向上を実現するための取り組みでもあります。

図1 りそなグループが目指す姿

図1 りそなグループが目指す姿

新・中期経営計画の履行に合わせて、CXの取り組みをスタート。お客さまと地域社会に貢献するリテールNo.1を実現し、次世代型の金融サービスで新しい価値も継続的に提供していく

長崎危機意識や新しい成長に向けて、DXに取り組む企業は増えていますが、デジタルの活用にとどまっているケースが少なくありません。これと自社そのものの変革をセットでやることが重要です。そういう企業ほど変革のスピードも早い。

その点、りそなグループ様は、南社長がきちんとコミットメントし、デジタル変革と会社の構造改革を両輪で進めようとされている。これ以上の変革のドライバーはないと思います。CXのその先に、どのような金融サービスをお考えでしょうか。

われわれのビジネスの中心にあるのは、あくまでも「お客さま」であり、お客さまに新たな価値を提供するためのCXです。パッチワークのような対応ではなく、構造的な見直しを進めたいと考えています。

その先に見据えているものは、既に着手している「リアルとデジタルの融合」であり、これが次世代リテール金融の常識になると考えています。まずは、りそなグループが抱える50万社の法人のお客さま、1600万人の個人のお客さまと100%デジタルでつながることです。いずれ法人分野も個人分野も日常の金融サービスはデジタルとデータが主流になっていきます。一方で、お客さまの経営課題の解決や事業・資産の次世代への円滑な移転といった領域は、対面による質の高いコンサルティング力や高いファイナンス能力を含めた最高のソリューションが求められます。

りそなグループは、100年を超えるリテール特化の歴史の中で培ってきた「リレーション力」と「深いソリューション力」、「フルラインの信託を併営する商業銀行」といったこれまでの強みに、デジタルやデータの力を掛け合わせることで、これまでになかった価値を提供できる金融グループを目指します。

"温もりのあるサービス"をデジタルでつくる

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 代表執行役員社長 長崎 忠雄氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
代表執行役員社長
長崎 忠雄

長崎デジタルによるUXが当たり前というのは重要な視点です。テクノロジーが前面に出ることなく、当たり前に利用できるのがあるべき姿だと思います。私自身が「りそなグループアプリ」を使っているのですが、そのUXは本当に使いやすい。ユーザーインタフェースは直感的で分かりやすく、ストレスをまったく感じません。

ありがとうございます。グループアプリは、100%お客さま視点で考え続け、サービスリリース後においても不断の改善を続けています。

ただ、事業の初期段階は、分からないことばかりで試行錯誤の連続でした。お客さまの声を聴き、ログデータと向き合い、「どこに問題があるのか」「どこで止まるか、それはなぜか」を分析し仮説を立てる。修正して、さらに検証する。こうした地道な作業を一つひとつ積み重ねてきたことで、既に1000カ所以上の改善を行っています。

同時に、業務プロセスの“断捨離”にも拘ってきました。既存のプロセスを単にシステム化するのではなく、お客さまにとって価値がないものや無駄なプロセスは、極限まで削減しています。われわれの常識にこだわるのではなく、お客さまの視点に立って考えてきました。グループアプリの開始から6年が経過し、850万件を超えるダウンロードをいただいていますが、こうしたシンプル化に対する苦情は1件もありません。当初は、「あれもこれも実装しなければ・・・」と考えていましたが、あらためて、お客さまと銀行側との認識のズレを痛感しています。

長崎常にお客さま視点で見直しを図っておられるのですね。お客さま接点のデジタル化を推進する中で気を付けていることはありますか。

われわれは、デジタルを活用したお客さまとの接点においても、ホスピタリティが不可欠だと考えています。リアルかデジタルかに関係なく、「大事なお客さまとの接点」と捉えたうえで、どのように充実させていくのかという視点を常に持っています。お客さまとの接点において、お客さまが笑顔にならなければ、感動を超える満足は届けられません。今後も、リアルとデジタルを高次元で一体化させ、温もりの感じられる金融サービスを目指していきます。

地域金融機関や異業種と共にオープン・イノベーション

長崎次世代の金融サービスを実現するためには、従来の枠組みを超えた外部のパートナーとの連携も必要です。実現を目指す「金融デジタルプラットフォーム」構想はそのための基盤となるのですか。

りそなグループが持つ発想や知見・スキルだけでは、多様化・高度化・複雑化するお客さまのニーズに適切にスピーディに対応していくことが難しくなっています。だからこそ、地域金融機関や異業種の方々、地方公共団体の皆さんとも連携し、新たな価値を生み出すためのエコシステムの構築は不可欠です。(図2)。

デジタル化時代において、金融デジタルプラットフォームは、すべての参加者がWin-Winの関係を維持し、より多くのお客さまに優れた価値を提供していく新たな基盤として大きな可能性を秘めています。

いずれにしても、同じ志を持つ企業が集う新たなプラットフォームとして、大きく育てていきたいと考えています。

図2 金融デジタルプラットフォームの全体像

図2 金融デジタルプラットフォームの全体像

地域金融機関や異業種企業との連携を支えるプラットフォーム。りそなグループの銀行機能だけでなく、参加する企業のテクノロジーやサービスもAPIでつなぎ、オープン・イノベーションを促進する

長崎りそなグループ様自身も、外部のパートナーとの連携を深めておられますね。

りそなグループアプリは、クリエイター集団である「チームラボ」様に参画をいただき、チームとして開発をしたものです。デザイン思考に基づくUI/UXは、これまでの銀行の発想だけでは作れなかったと思っています。

AWS 様とビジネスパートナーとしてプロジェクトを始めているのも、こうした経験があったからです。また、異業種の方々が持つ斬新な発想や知見に触れながら仕事を進めることで、りそなグループの社員も大きく成長していきます。AWS様のサポートもいただきながら、インフラ基盤のクラウド化、経営基盤の次世代化、さらには内製化を支えるデジタル人財の育成にも注力していきます。こうした取り組みを通じた組織能力の高まりが、より競争力のあるサービスをタイムリーに生み出すための源泉になっていくと考えています。

長崎AWSはビジョンに基づいて、お客さまにとって何が最善かを自らに問いかけながら物事を進めます。その過程で、ビジネスのベクトルをお客さまのニーズや課題に合わせていく。そうすると、今までとはまったく違う発想が生まれてくるのです。その知見やノウハウは惜しみなく提供していきます。変革の道を歩むりそなグループを支援することで、私たちも刺激を受け、一緒に成長していきたいですね。

外部パートナーとの連携が単なる受発注の関係になってはいけないと思っています。大事なことは、1つのチームになることです。優れた技術やスキル、経験を持つAWS様の社員のみなさんと一緒に仕事をすることが、新しい可能性を高めていきます。

変革をリードする人財が育ち、そして、その人の周りに新たなチームができる。こうした変革の輪をどんどん広げていきたいと思います。既に今年の初めには、新任役員向けにAmazon流の考え方をベースとしたワークショップなども実施していただきました。今後も、CXを推進する人財の育成、変革のカルチャー醸成に向けて、AWS様のサポートに大いに期待しています。

これからも「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を貫き、「再生」から「新たな挑戦」に向けて力強く歩んでいきたいと思います。引き続き、サポートをいただければ幸いです。

長崎 忠雄氏/南 昌宏氏

お問い合わせ

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
https://aws.amazon.com/jp/
AWSエグゼクティブプログラム事務局
aws-jp-executive@amazon.co.jp