日経ビジネス電子版 Special
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グローバルに展開するデータセンターで
DXに向けた俊敏なインフラ展開を支える

エクイニクス・ジャパン株式会社
代表取締役社長
小川 久仁子
ビジネスの俊敏性向上と
サステナビリティへの貢献、
この2つを両立できるITインフラを提供します

クラウド活用を検討する日本企業は、実は海外より多い

桔梗原 日本企業のDX投資は今、どのような状況にあると見ていますか。

エクイニクス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 小川 久仁子氏
小川 エクイニクスは2022年7月に、世界29カ国、約2900人のIT意思決定者を対象にした「Global Tech Trends Survey」を実施しました。その結果で興味深かったのは、「海外へのビジネス展開を、クラウド技術を使って行いたい」という回答が、海外よりも日本で多かったことです。背景には、コロナ禍を経てCIO(最高情報責任者)の考え方が根本から変わったことがあるでしょう。もはやクラウド活用は不可避だと考える企業が増えています。

 一方、デジタル投資自体はまだグローバルに後れを取っています。日本企業の多くは、2020~21年にかけてIT投資を大きく抑えました。2022年に復調の兆しが見え始めましたが、既に海外ではクラウドファースト/クラウドネイティブが当たり前になっており、IT投資も積極的です。日本はそこまで届いていません。投資領域にも海外と違いがあり、その顕著な例が「デジタルエコシステム」です。海外では8割の企業が他社とのつながりを強化するための投資に力を入れていますが、日本では5割にとどまっていました。

桔梗原 「日本企業のDXは遅れている」ということなのでしょうか。

小川 そういう捉え方もできますが、国によって文化は異なるため、より堅実に、良いところ・悪いところを評価しながら進めていると私は見ています。いずれにせよ、個々の企業・組織のデジタル化から、次の段階であるデジタルエコシステムの実現へと段階的に進んでいくことになるでしょう。

ITインフラの展開にかかる
時間と手間が
ビジネスのグローバル展開の障壁に

桔梗原 投資が復調しつつあるのはよい兆候です。エクイニクスへの問い合わせも増えているのですか。

小川 おかげさまで、クラウド前提のビジネス展開でご相談いただくことが増えています。当社はグローバルで様々なクラウドベンダーと接続しているデジタルプラットフォーム企業です。71の主要都市圏に240以上を展開する当社のデータセンター拠点が、世界中のクラウド接続拠点の4割以上をカバーしています(図)。日本では徐々に知名度が高まってきましたが、海外では「クラウド接続ならエクイニクス」と言ってくださるお客様が大勢います。 桔梗原 日本企業にとっては、ビジネスのグローバル展開の基盤になりますね。

小川 おっしゃる通りです。これは日本のあるお客様がおっしゃっていたのですが、ビジネスのグローバル展開を阻む最大の問題が、ITインフラのスピード感だそうです。

 海外で新たなITインフラを立ち上げるには、「どのベンダーから調達するか」から始まって、「ネットワークをどうするか」「搬入された機器をどうつなぐか」「保守ベンダーはどうするか」「現地でのテストや運用をどう管理するか」など、様々な検討事項をクリアにしなければなりません。そのため、アプリケーションが完成しても、展開までに時間を要してしまうのです。

 この問題は、当社のデータセンターを活用することで解決できます。ポータルサイト上で数回クリックし、数分で必要なインフラを迅速にいわばソフトウエアスピードで立ち上げられるからです。最近は主要なITベンダーが「アズ・ア・サービス」型のソリューションを提供しています。ITリソースをモノ売りではなくサービスとして提供する形態です。その多くが当社のプラットフォーム上で展開されています。そのため、それらの相互連携もデータセンター間接続で実現できます。連携性のほか、セキュリティーも高められる。まさに、デジタルエコシステムの実現を見据えたインフラ基盤を構築できるのです。

マルチクラウドの中継地点を提供し
データのベンダーロックインを回避

桔梗原 企業のネットワーク接続の動向や予測について、エクイニクスは毎年「グローバルインターコネクションインデックス(GXI)」を発表しています。2023年版の結果について教えてください。

小川 GXIは今回で6回目ですが、予測精度は極めて高く、2017年に発表した5年後の予測を実態と比較したところ98.8%の正確性でした。そのため今回も、かなり確度の高い未来予測になるとみています。

 まずネットワーク相互接続の年平均成長率(CAGR)は、東京、ロンドン、ニューヨークなどの地域が高いほか、北米ではメキシコ、トロント。欧州ではマドリッド。アジアではメルボルン、ムンバイなどがCAGR 50%以上となりました。これは東京、ロンドン、ニューヨーク以上の数字です。特にメルボルンは、オーストラリア政府が「2030年にデジタルエコノミーのリードカントリーになる」と宣言したこともあって、シドニーに並ぶネットワーク接続の主要都市になるとみています。2022年末にはオーストラリア首相が当社のデータセンターを視察し、その様子が現地のテレビで放映されました。

 世界の都市の中でも、東京はグローバルで最も成長する都市のトップ10に入っているほか、今後の成長が期待される都市の1つに大阪が入っています。これは今に始まったことではなく、日本への期待は常に高いです。

桔梗原 東京に続き、大阪でベアメタルサービス「Equinix Metal」の提供を開始したのは、そのような動向に対応したものですか。

小川 はい。Equinix Metalはサーバー機器をオンデマンド型で利用できるベアメタルサービスで、最も効果的な使い方は、マルチクラウド活用の中継地点として活用いただくことにあります。現在は大企業のほとんどが複数のクラウドサービスを利用していますが、そこでよく課題になるのがデータなどの「ベンダーロックイン」です。例えば、データを特定のクラウドに置くと、ほかのクラウドで利用しにくくなってしまう。Equinix Metalは相互接続基盤「Equinix Fabric」とあらかじめ接続されており、クラウド活用を前提とした仕立てになっています。これを活用することで、マルチクラウド活用を一層加速することができるでしょう。

エクイニクスの
データセンターを使うことが
サステナビリティへの貢献になる

桔梗原 サステナビリティにも積極的に取り組んでいますね。

小川 当社はビジネス戦略として「Future Firstサステナビリティ戦略」を掲げています。2015年にサステナビリティに関する年次報告書を発表しましたが、これはIT業界ではかなり早かったと思います。2021年にはデータセンターで初めて、SBT(Science Based Targets)といわれる数値目標を掲げ、2030年までに「クライメートニュートラル(気候中立)になる」と宣言しています。実際、データセンターは膨大なエネルギーを消費する施設です。業界をけん引するベンダーとして環境負荷低減に取り組むことは重要な使命だと考えています。

桔梗原 具体的にはどのようなことを行っているのですか。

小川 大きく4つの目標を掲げて進めています。1つ目は100%再生可能エネルギーでデータセンターを稼働させることです。現時点で95%まで来ているので、順調に目標に近づいていると考えています。2つ目はサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れること。例えばフィンランドでは、現地のエネルギー会社と協業し、データセンターで発生した排熱を利用可能エネルギーに変換して地域の暖房設備などに提供しています。水資源も、家庭排水をデータセンターの冷却水として再利用しているほか、パリのデータセンターでは、貯めた雨水を屋上での温室栽培に使って、採れた野菜を地域住民に配布しています。

 3つ目はソフトウエアによる自動化や最適化です。ソフトウエア会社と協力して独自の電力管理ソリューションを開発し活用しています。これにより、データセンター内の電力効率を30〜50%向上できると予測しています。そして4つ目は冷却の効率化です。ワシントンのCIF(コ・イノベーション施設)で液体冷却などの高密度冷却方式のテストをNVIDIA社と共同で実施したほか、ニューヨークのデータセンターでは、Equinix Metalとともにすでに導入が開始されました。また、シンガポールのデータセンターでは、エクイニクスが独自に開発した表面冷却技術である「Equinix Cooling Array」が導入されています。

桔梗原 日本でも、企業の稼ぐ力の持続性と社会の持続可能性を同期化させるSX(サステナビリティトランスフォーメーション)に対して関心が高まっています。

小川 むしろ、サステナビリティの視点抜きでビジネスを進めることはできないと私たちは考えています。グローバルのお客様の中にも、そのように考える企業は増えており、Global Tech Trends Surveyでは「サステナビリティを考えない企業・組織とはビジネスをしたくない」という回答が7割に達していました。

 サステナビリティというとビジネスとは別に社会貢献の一環としての投資が必要と考える方が大半だと思いますが、お客様のビジネス課題を解決するために当社のプラットフォームをお使いいただくことで、実はお客様のサステナビリティ活動にも貢献できると考えています。当社では、「エクイニクスのデータセンターを使うことでどれだけサステナビリティに貢献しているか」の証明書も発行しています。お客様には、当社のデータセンターをご活用いただきながら、サステナビリティを達成しつつ、自社ビジネスの拡大、デジタルエコシステムの実現に注力していただきたいと思います。
エクイニクス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 小川 久仁子氏
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