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「次世代システム運用コンソーシアム」発足

10月2日、東京都内のホテルで「次世代システム運用コンソーシアム」の設立総会が行われた。参画企業の代表者10人が集まり、総会議案やコンソーシアムの活動内容、活動計画などが発表された。なぜこうしたコンソーシアムが必要なのか、何を目指していくのか。コンソーシアムの代表理事に就任したキンドリルジャパン 代表取締役社長の上坂貴志氏と発起人のIDホールディングス 代表取締役社長の舩越真樹氏に話を聞いた。

立場を超えて同じ想いを共有し、
システム運用の世界を変えていく

――コンソーシアム設立に至った背景について教えていただけますか。

舩越 当社は1969年の設立当初からシステム運用の業務を受託し、現在でも売り上げの約半分を占めています。しかし、システム開発に比べてシステム運用が脚光を浴びることはあまりありません。目立つのはシステムトラブルが起きたときくらいです。

舩越真樹氏
株式会社 IDホールディングス
代表取締役社長 兼 グループ最高経営責任者
舩越 真樹

 DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれている今、システム運用はITをビジネスに活用するには欠かせない業務であり、その重要性はますます増しています。しかし、空前のIT技術者不足といった現在の厳しい状況ではシステム運用を担う人材を集めるのも難しくなります。そこで同業他社やユーザー企業を巻き込んで世の中の人々に正しい理解を求めたいと思い、コンソーシアムの設立を考えるようになりました。

 コンソーシアムであれば、たとえ競合関係にあっても革新に向けて共創していけます。その考えをIBM時代から協業してきたキンドリルの上坂さんに話したところ、「ぜひ設立しよう」ということになったのです。

上坂 IBMから分社化したことのご報告とご挨拶にうかがった際にコンソーシアムの話題になりました。システム運用は重要な業務なのに、担当者は耐え忍ぶ思いをしがちです。もっとイキイキ、ワクワクと働ける環境をつくらないとなり手がいなくなります。それは社会全体にとっても大きな課題であると考えていました。

上坂貴志氏
キンドリルジャパン株式会社
代表取締役社長
上坂 貴志

舩越 当社では創立50年のときに、次の50年に向けて「Waku-Wakuしよう。Waku-Wakuさせよう。」というスローガンを掲げていたので、上坂さんから同じキーワードが出てきて驚きました。同じ志を持つ仲間を見つけた思いでした。

上坂 大事なのは同じ想いを持っていることです。システム運用の世界をより効率的にして高度化しようという同じ想いがあったので一緒にやろうと決めました。

テクノロジーの進化で
変革のための環境が整ってきた

――なぜ今、設立しようと考えたのでしょうか。

上坂 企業のIT活用が進む中で、システム運用の業務は増加し、ますます複雑になっています。しかし、現場の負担は増しているのに人員は増えていません。これまでのように人手に頼っていては未来はありません。

 なんとか現場の仕事を変えたいと強く思っていましたし、AI(人工知能)や自動化ツールなどを活用する技術もそろってきました。コロナ禍により、リモートによる運用にチャレンジしたことも後押ししました。

 何も信用しないゼロトラストでは、現地まで行かずに自宅からアクセスしてもセキュリティーが担保されます。そのようにBCP(事業継続計画)も工夫してきました。技術が進化したことで「機が熟した」という感じです。

舩越 ビジネスモデルが同じで、現場に対して同じようにワクワクできるようにしたいという想いを持っていたのに加え、最新の技術を持っているキンドリルと一緒にコンソーシアムを立ち上げることでシステム運用の効率化や高度化を実現できるようになると考えました。

舩越真樹氏、上坂貴志氏

――設立準備ではどんなところが大変だったのでしょうか。

上坂 細かいことよりもコンソーシアムとしての考え方や意義などコンセプトづくりに時間をかけて議論してきました。オープンなコンソーシアムにするために何が必要なのか、現場の人たちが変わるには何が必要なのかなどをキーワードに、現場の人を中心に企画に取り組みました。

舩越 いろいろな立場の人が企画づくりに参画しましたが、キンドリルの人たちから多くの知恵をもらいました。枝葉ではなく森を見るセンスはさすがです。そこに現場発想が加わる感じでコンセプトをつくり上げていきました。

上坂 実際に運用業務に携わっている人たちの危機感にはすごいものがありました。専任ではなく業務をこなしながらでしたが、ここで変えないと次の世代に引き継げないと、誰もが真剣に考えてくれました。システム運用は「最後は人が支える」ものだけに心強かったですね。

次世代システム運用コンソーシアムのイメージ
次世代システム運用コンソーシアムのイメージ
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人の力技に頼るのではなく
技術で業務を遂行する形に

――今後、コンソーシアムはどのような活動をしていくのでしょうか。

上坂 情報交換会、先進技術などの勉強会、各社の取り組みの講演を通じて次世代のシステム運用のあるべき姿を研究する活動が主となります。

 コンソーシアムはモノやサービスを売る場ではなく、人材のあり方や仕事のやり方を議論する場です。目指したいのは、将来を考えた働きがいのある形をつくり上げることです。メンバーの苦労や悩みを吸い上げて大きなメッセージにつなげていきたいと思います。

舩越 当社グループは現在、海外の事業会社でメタバースの研究を進めており、仮想空間での運用オペレーションなど最先端技術の実用化に向けて取り組んでいます。こうした海外での知見もシステム運用の世界を変えていくのに役立てていくことができるでしょう。

上坂貴志氏
「皆がハッピーになれる道を見つけて世論を醸成し、これまで日本企業ができなかった大きな変革を実現するための後押しをしていきたい」(上坂氏)

――コンソーシアムの活動を通してシステム運用はどのように変わっていくのでしょうか。

舩越 今までは電車の指さし確認のように、人の力で全てを解決してきました。しかし、今はそういう仕事を変革できる技術があります。コロナ禍をきっかけに運用の世界でもこうした技術が使えることがわかってきました。

上坂 求められる業務が複雑で高度化する中で品質を向上させていくには自動化という方法もありますが、チェックリストを増やしてその分の人員も増やすという方法もあります。どちらも短期的には品質を向上させることができます。ただ、後者はいずれ限界がきます。システム運用のニーズは増大し、複雑さも増しており、人の目で追いかけていくのには限界がきています。限界を超えるためには、オペレーションのシステム化、自動化が必要です。

 1社だけだとそういうことに気がつかない可能性があります。だからこそコンソーシアムで多くの意見を集めて、皆がハッピーになれる道を見つけて世論を醸成し、これまで日本企業ができなかった大きな変革を実現するための後押しをしていきたいのです。

オープンに参画企業を募り、
活動を継続的なものにしていく

――今後の展開としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

舩越 大きくは人材育成、技術教育に取り組みながら、全体的なシステム運用の動向を把握するとともに、それをユーザー企業や次世代を担う若者たちを含むステークホルダーに伝えていくということにも取り組んでいきます。国に対して働きかけていくこともコンソーシアムの役割の一つです。そのためにもコンソーシアムの認知度を向上させていきたいですね。

舩越氏
「オープンなコミュニティーを目指します。参画の壁はありません。誰でも加わりやすいようにしていきます」(舩越氏)

上坂 先進事例の共有も重要です。グローバルでの取り組みをしっかりと把握し、取り入れられるものは取り入れていくべきでしょう。そこではグローバル企業としての当社の強みが生かせると思います。

舩越 重要なのはコンソーシアムの活動を継続的なものにしていくことです。スコープを絞り込んで取り組むとともに、賛同してくれる仲間を募って受け入れていきたいと思います。当面は数社で活動しますが、想いを共有できる企業や団体に参画してもらい、オープンなコミュニティーを目指します。参画の壁はありません。誰でも加わりやすいようにしていきます。

上坂 外部の他の学会についても積極的に巻き込んでいきます。今、予定している活動テーマにかかわらず、テクノロジーの進化にあわせて活動内容を広げていきたいと考えています。

「次世代システム運用コンソーシアム」の参画企業と関係者
次世代システム運用コンソーシアム
次世代システム運用コンソーシアム参画企業(50音順)
  • 株式会社IDホールディングス
  • ANAシステムズ株式会社
  • MIデジタルサービス株式会社
  • キンドリルジャパン株式会社
  • SOMPOシステムズ株式会社
  • 株式会社トヨタシステムズ
  • 明治安田生命保険相互会社
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