「サプライチェーンDX」は業界・業種を問わず未踏領域だ。グローバルサプライチェーンを取り巻く環境は不確実性を増している。変化の時代を生き残るために、日常業務からサプライチェーンDXを推進し、調達から製造、在庫管理、配送、販売までの一連のプロセスを統合管理することが求められている。
ロジスティード
DX戦略本部
WHコントロールイノベーション部
部長補佐
古山 裕一 氏
従来のサプライチェーン統合管理における課題について、ロジスティード DX戦略本部 WHコントロールイノベーション部 部長補佐の古山裕一氏は話す。「取引先ごとに情報が分断されており、リアルタイムの状況把握や、会社の枠を超えたデータ活用の実現が困難というのが現状です。各社間の情報連携はメールや電話での問い合わせ、Excelデータのやり取りなど、手間のかかる非効率な作業が中心です。また費用対効果を考えると、インターフェースによるデータ連携は現実的ではありません。データ連携基盤としてのプラットフォーム構築も、多くのコストがかかります。さらにはプラットフォームに入力してもらう過程で、取引先にもデータ加工の負担を強いてしまいます」。
コロナ禍を経て「サプライチェーンの統合管理を実現したい」という声も寄せられるようになったと古山氏は話す。「サプライチェーンDXの本質的なテーマは、物流事業者、サプライヤーなど多くのプレイヤーをいかに巻き込むか。『取引先企業が無理なく日常業務を行う中で情報を収集・活用できる仕組み』が必要です。開発に着手した2021年当初は、他社製のサプライチェーン統合管理ソリューションを活用した、お客様のDX支援を考えていました。しかし、多くのデータ連携・可視化ソリューションがあった中で、当社が求める要件に合う製品やサービスは見つけられませんでした」。
サプライチェーンDXのベースとなる統合管理ソリューションの重要性を改めて意識したロジスティードは、そこで自社開発に踏み切った。
ロジスティード
DX戦略本部
WHコントロールイノベーション部
部長
田代 肇 氏
ロジスティードグループのサプライチェーン統合管理ソリューション「SCLINK+」は、従来製品やサービスと一線を画す。革新的な3つのポイントについて、ロジスティード DX戦略本部 WHコントロールイノベーション部 部長の田代肇氏は説明する。
1.Excel資産を活用するクラウドプラットフォームを提供
「SCLINK+」は、データ収集・活用基盤として独自のクラウドプラットフォームを提供。一般的なプラットフォームと大きく異なるのは、Excelデータを使って業務をまわすことができるという点だ。
「メーカーや流通小売業の受発注などのExcelデータを起点に、取引先は日常業務で作成しているExcelをアップロードするだけ。サプライチェーン一連のプロセスにおけるデータ収集・可視化を実現できます。また、他社が作成したExcelデータを既存の各種帳票や分析の切り口などに合わせた形で出力し、活用することも可能です。メールなどで情報提供を依頼するといった手間もなくなります。取引先は自社のシステムや運用、帳票フォーマットを変更することなく、業務の流れの中でExcelデータの取り込みと出力が行えます」(田代氏)
独自のクラウドプラットフォームを提供。Excelを使って業務をまわしながらサプライチェーンDXを推進できる
2.プレイヤーごとの柔軟な権限設定
「SCLINK+」は、他言語対応しており、世界各国の拠点からインターネットを介してクラウドプラットフォームにアクセスできる。国内外問わず様々な会社の担当者が同一プラットフォームを利用するため、プレイヤーごとに柔軟な権限設定が可能になっている。
「サプライチェーンを統合管理するメーカーや流通小売業は、すべてのデータへのアクセスが可能です。取引先は権限設定により必要なデータ、必要なドキュメントのみアクセスできます。会社の垣根を超えたデータの有効活用を実現することで、安全安心な環境のもとにサプライチェーンDXを推進できます」(田代氏)
3.商流と物流情報の統合管理
アップロードした受発注のデータをコンテナや船舶情報と紐づけて、各工程の進捗管理が可能。さらに、更新情報、ドキュメント、メッセージをひも付けて関係者間で共有できる。「関係者が各々の視点で今の状況をリアルタイムに把握できることで、トラブルなどが起きても迅速なアクションが可能です。また『SCLINK+』内でのメッセージ送受信もできるため、コミュニケーションのスピード向上が図れます」(田代氏)。
アップロードしたデータ、各工程の進捗、ドキュメント、メッセージを紐づけて関係者間で共有できる
「SCLINK+」開発では、まず1年かけてベースを構築した。そこから仕上げるためには、メーカーや流通小売業におけるサプライチェーンの知見やノウハウが必要だったと田代氏は振り返る。
「社内の様々な部署に相談したところ、当社とお取引のあるグローバル小売業大手の日本法人がサプライチェーン統合管理ソリューションを探しているとの情報を得ました。すぐにアポイントを取り、汎用的ソリューションにすることを理解いただいた上で、共同開発を行うことになりました」
共同開発では、厳格なセキュリティーポリシーへの対応が求められたという。「海外本社のセキュリティー担当と打ち合わせをして、『SCLINK+』の細部にわたって説明し了承をいただきました。個人情報を管理する前提で、顧客の基準に従って開発しました」(田代氏)。
ロジスティードソリューションズ
営業本部 サプライチェーン営業統括部
デジタルビジネス営業部長
中新 浩志 氏
2023年1月、ロジスティードグループは「SCLINK+」のサービス提供を開始。ファーストユーザーとなったのは国内輸送機器メーカーだった。「フォワーディングと合わせて、サプライチェーン統合管理の提案依頼がありました。『SCLINK+』と他社製品の両方を実際に使ってみて、“運用がまわる”というメリットを評価され『SCLINK+』を選択いただきました。導入しやすい倉庫からスタートし、現在では顧客倉庫を運営する倉庫事業者のうち半分の10社、40人程度のユーザーが利用しています。今後は残り半分の倉庫事業者、フォワーダー、サプライヤーと段階的に導入を進め、『SCLINK+』でサプライチェーンDXを推進していく計画です」(中新氏)。
リリースして1年に満たない中で、「SCLINK+」は国内大手企業から次々と引き合いがあると、ロジスティードソリューションズ 営業本部 サプライチェーン営業統括部 デジタルビジネス営業部長の中新浩志氏は話す。ロジスティードソリューションズは、グループ全体のIT関連業務を担うとともに、ロジスティードグループのDXソリューションの販売も行う。「現在までの引き合いは、すべてお客様からコンタクトのあったものです。サプライチェーン統合管理の切り口では、国内大手製造業もまもなく成約が完了する予定です。また物流DXの切り口では、『SCLINK+』の個別対応型として航空会社、海外大手物流会社、などの大型案件も受注しました。いずれも複数の荷主との間で情報共有できることがポイントとなっています」(中新氏)。
国内企業から「SCLINK+」の引き合いが続く理由について古山氏は話す。「サプライチェーン領域では、Excelで業務を行っている企業が多くあります。Excelを上手く使ってサプライチェーンDXを進めることが、現実解かつ最適解です。現場の運用が十分にまわるという部分がお客様から評価され、導入に至っていると思います」。
田代氏は、「クラウドプラットフォームを利用するため、システム開発が不要です。さらにノンカスタマイズでの導入なら、初期設定費と月々の利用量に応じた従量課金のみで利用開始できます。コストメリットは大きなアドバンテージです。また、最短1カ月で導入できるスピード感も採用のポイントとなっています」と話し、こう付け加える。「国内企業のサプライチェーンや物流は、DXが進んでいません。ロジスティードグループに相談いただければ、『SCLINK+』を中核に、DX戦略を支援いたします。まずは2週間の無料トライアルサービスで、『SCLINK+』の使用感をお試しください」。
サプライチェーンDXは容易ではない。そんな既成概念を「SCLINK+」は覆す。今の運用を変えることなく、サプライチェーンが進化していく。ロジスティードグループはDXを諦めない企業とともに歩む。