ZOZO
ブランドソリューション本部
兼 想像戦略室 本部長
風間 昭男 氏
――国内EC市場の現状をどう捉えていますか。
ZOZO 風間 コロナ禍を契機に、日常の様々なシーンでのネット利用が拡大、習慣化したことにより、消費者のECへの期待も変わってきました。商品の数や種類を増やすことでお客様満足度の向上を図る段階から、品ぞろえを充実させたうえで、どういう体験を提供できるかに競争軸がシフトしていると認識しています。
Mirakl 佐藤 グローバルでも、コロナ禍を経て顧客接点としてECをどう活用していくかに焦点が移っています。フランス発のユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)として、Miraklの急成長の背景にあるのが、ECの新しい潮流です。また日本国内でも、もはやECという販売チャネルを持っていることは当たり前で、その先の一手が求められています。
――次の一手で重要なポイントをお聞かせください。
風間 当社では、「ファッションを『買う』ならZOZO」から「ファッションの『こと』ならZOZO」 へと転換を進めています。ファッションEC「ZOZOTOWN」における顧客接点は従来、購入時がメインでした。これを広げるのが狙いです。ファッションコーディネートアプリ「WEAR」や、コスメ専門モール「ZOZOCOSME」など、ファッションに関する様々な情報や商品をワンストップで提供し、ZOZOの存在感を高めていきます。
さらに、ZOZOTOWNに出店するブランド様の実店舗と連携する「ZOZOMO」は、新たな顧客体験をもたらします。ZOZOTOWNで実店舗在庫の確認、取り置き注文が可能です。また、ショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」も展開しており、ファッション業界のプラットフォーマーとして、様々な価値の提供に取り組んでいます。
佐藤 今後のECとして、ZOZOさんの取り組みから「コト化」「ワンストップ」「プラットフォーマー」の3つのポイントが見えてきました。ZOZOさんをはじめとするECモール(インターネット上のショッピングモール)も、自社商品のみを扱う自社ECも方向性は同じだと思います。違うのは、ベースとなるITインフラの有無です。プラットフォーマーになることが国内EC市場においても有効な手段であることは周知の事実でしたが、これまではIT投資の観点から顧客接点の拡大が難しい状況でした。技術革新は、自社ECの概念を大きく変えつつあります。
ZOZOのOMOプラットフォーム「ZOZOMO」により、ZOZOTOWN上で実店舗の在庫確認・取り置き注文が可能になった
――自社ECをベースに顧客接点を拡大するアプローチを教えてください。
Mirakl
代表取締役社長
佐藤 恭平 氏
佐藤 前提となるのは、自社ECサイトを巨大ECモールにするだけではないということです。一例として、自社ブランドの世界観拡張やパーパス経営の実現がテーマとなります。商品とユーザーの関係では、ECモールが「多対多」、自社ECが「1対1」。前者は集客力があり、後者は顧客エンゲージメントの構築に寄与します。Miraklが提案しグローバルで関心を集めているのが、自社商品を中心に販売事業者とともに多くの関連商品を販売する「1+α 対 1+α」というECの新しいかたちです。
Miraklは、ECモール(欧米ではマーケットプレイスという表現が一般的)機能とノウハウをパッケージ化しSaaSで提供。巨大プラットフォーマーでしか実現できなかったITインフラをSaaSパッケージで提供することで、顧客接点拡大、集客力強化を図ります。
――ECの新しいかたちについて、具体例と革新性は何でしょうか。
佐藤 Miraklは、家電量販店最大手Best Buy Canada、フランスの化粧品最大手ロレアルなど、グローバルで350以上の導入実績を有しています。フランスのスーパー大手カルフールは、「地域とともに」というビジョンの実現に向けてマーケットプレイスを構築。カルフールのECサイトで地域のベーカリーやケーキショップなどの商品を購入し、実店舗で食料品の購入と一緒に、出来たてのパンやケーキをピックアップできます。スウェーデンのアパレルブランドH&Mはマーケットプレイスを構築し、サステナブルな商品などを集めたサーキュラーエコノミーをファッションで実現するECを展開しています。
風間 Miraklさんのソリューションは、これまでのECとは考え方の異なるパラダイムを提供する点が非常にユニークだと思います。ご紹介いただいた事例でいえば、地域商店との連携やサーキュラーファッションがそうですね。ECはビジネストランスフォーメーションの観点で語るべき時代です。ZOZOの強みは、ファッションを愛する社員が、どうしたらお客様が喜ぶかを常に考え、企画し実装している点にあります。これからも新しい“コト”に果敢に挑戦していきます。
MiraklのSaaSプラットフォームを利用することで、IT投資を抑えながら自社ブランドの世界観を拡張できる
佐藤 ZOZOさんは、EC新時代を体現されています。ECは販売チャネルではなく、経営戦略の一環として捉えるべきだと思います。また1社ではなく仲間とビジネスをつくり出す、エコシステムの観点も重要です。「自社EC+マーケットプレイス」は、新しいビジネスモデルの創造に有効な手段となります。
マーケットプレイスを構築したいが、何から着手すべきか分からない。販売事業者選定のノウハウがない。そこでMiraklは、日本人スタッフを中心とするカスタマーサクセスチームがグローバルで培ったメソドロジーを駆使し、最初の一歩から伴走型でサポートします。あらゆる業種・業態の企業に対し、業界を巻き込んで成長していくプラットフォーマーとしての未来を開きます。