小林 それだけしっかりした仕組みがあれば、人材不足の悩みとは無縁でいられそうですね。
森 ところが、そうとも言い切れないのです。ITエンジニアは売り手市場なので、大手企業などに転職するケースも少なくない。もちろん、それが本人の成長につながるものであれば、我々としても決してやぶさかではありません。しかし中には、疲弊したりやる気を失ったりして辞めてしまう方もおられます。せっかく育て上げたエンジニアが、この仕事から離れてしまわれるのは大変残念です。
小林 なるほど、それは困りますね。そうなってしまうのは、派遣先の職場環境にも原因があるのではありませんか。エンジニアがくすぶってしまうような職場というのは、一体どのようなところなのでしょう。
森 当社のエンジニアに話を聞いてみましたが、意外なことに長時間労働が問題になっているケースは多くありませんでした。働き方改革が進んだこともあるのでしょうが、ワークライフバランスについては、それほど不満は生じていないのです。
その一方で、コミュケーションの問題を指摘する声は数多くありました。例えば中には、チームの方がその上長から大声で叱責されるような職場もあります。やはりそのような現場で働きたいとは思いませんよね。また、仕事の進捗を確認する際に、「なぜ予定通り進んでいないの」などと追い込むような形で質問する方もいらっしゃいます。本人に悪気はないのかも知れませんが、受け手としては決して気持ちのいいものではありません。
小林 派遣エンジニアに対してだけではなく、正社員も含めた職場のコミュニケーション全体がそういうものになってしまっているのではないですか。
森 そのようです。コミュニケーションが一方通行になっており、いわゆる「1 on 1」のような形で上司と部下が面談する機会もない。これでは伝わるべき情報も伝わりません。加えて、チーム内の協力体制に課題を抱えている組織も多いようです。当社のエンジニアは様々な現場に派遣されますので、最初は分からないことも多く、とまどいます。オープンな雰囲気の職場であれば、こうした際にも周りの人に気軽に聞くことができます。しかし、チーム内の役割が明確でなかったり、十分な準備もないままにタスクだけを急がされたりするケースもあります。こうなると、本来業務以外の部分で疲弊してしまいます。
取締役 人材開発部 部長
エンジニア本人、
お客様、
当社のビジネスすべてにおいて
大事なことなのです