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株式会社ラクスパートナーズ 取締役 人材開発部 部長 森 大介氏

ITエンジニアが輝く組織とくすぶる組織
明暗を分ける3つのポイントとは?

株式会社ラクスパートナーズ 取締役 人材開発部 部長 森 大介氏
株式会社ラクスパートナーズ
取締役 人材開発部 部長
森 大介
エンジニアが生き生きと働ける環境は、
エンジニア本人、
お客様、
当社のビジネスすべてにおいて
大事なことなのです

熱意ある人材をエンジニアに育成し
顧客企業のビジネスに貢献

小林 近年では日本においても、DXに挑む企業が増えつつあります。それ自体は喜ばしいことですが、デジタル人材の不足が足かせになっているケースも多いようです。こうした中、ラクスパートナーズでは、ITエンジニア派遣によって企業の取り組みを後押ししていますね。

エクイニクス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 小川 久仁子氏
 現在当社には、約820人のエンジニアが在籍しています。Web、クラウド、機械学習、QA(Quality Assurance)など、幅広い領域をカバーしていますので、お客様のニーズにマッチした最適な専門人材を派遣することができます。こうした強みが評価され、様々な業種のお客様に当社のサービスをご利用いただいており、現在までに累計700社以上のIT課題の解決を支援してきました。

小林 デジタル人材獲得に苦労する企業が多い中、なぜそれほど多くのエンジニアを抱えられるのでしょうか。

 その理由としては、未経験者を自ら正社員として雇用し、専門スキルを身に付けるための教育を徹底して行っている点が挙げられます。カリキュラムの内容も、実際の現場から逆算した実践的なものとなっています。例えば、知識や理論を座学で学ぶだけでなく、ほかの研修メンバーとのグループワークなども行います。これもお客様のチームの一員となったときに、即戦力として活躍できる能力を身に付けるためです。

 また、もう1つの理由として、本気でエンジニアになりたい人を採用してきた点が挙げられます。「この技術で社会に貢献したい」「誰かの役に立つシステムを作りたい」といった熱意さえ持っていれば、未経験であることはあまり問題にはなりません。業務に必要な専門スキルは入社してからでも学べますから。面接ではそこをしっかりと聞くようにしています。

「叱責カルチャー」「追い込み質問」でエンジニアが疲弊

小林 それだけしっかりした仕組みがあれば、人材不足の悩みとは無縁でいられそうですね。

 ところが、そうとも言い切れないのです。ITエンジニアは売り手市場なので、大手企業などに転職するケースも少なくない。もちろん、それが本人の成長につながるものであれば、我々としても決してやぶさかではありません。しかし中には、疲弊したりやる気を失ったりして辞めてしまう方もおられます。せっかく育て上げたエンジニアが、この仕事から離れてしまわれるのは大変残念です。

小林 なるほど、それは困りますね。そうなってしまうのは、派遣先の職場環境にも原因があるのではありませんか。エンジニアがくすぶってしまうような職場というのは、一体どのようなところなのでしょう。

 当社のエンジニアに話を聞いてみましたが、意外なことに長時間労働が問題になっているケースは多くありませんでした。働き方改革が進んだこともあるのでしょうが、ワークライフバランスについては、それほど不満は生じていないのです。

 その一方で、コミュケーションの問題を指摘する声は数多くありました。例えば中には、チームの方がその上長から大声で叱責されるような職場もあります。やはりそのような現場で働きたいとは思いませんよね。また、仕事の進捗を確認する際に、「なぜ予定通り進んでいないの」などと追い込むような形で質問する方もいらっしゃいます。本人に悪気はないのかも知れませんが、受け手としては決して気持ちのいいものではありません。

小林 派遣エンジニアに対してだけではなく、正社員も含めた職場のコミュニケーション全体がそういうものになってしまっているのではないですか。

 そのようです。コミュニケーションが一方通行になっており、いわゆる「1 on 1」のような形で上司と部下が面談する機会もない。これでは伝わるべき情報も伝わりません。加えて、チーム内の協力体制に課題を抱えている組織も多いようです。当社のエンジニアは様々な現場に派遣されますので、最初は分からないことも多く、とまどいます。オープンな雰囲気の職場であれば、こうした際にも周りの人に気軽に聞くことができます。しかし、チーム内の役割が明確でなかったり、十分な準備もないままにタスクだけを急がされたりするケースもあります。こうなると、本来業務以外の部分で疲弊してしまいます。

プロジェクトマネジメントだけでなく
「人」のマネジメントにももっと目を向けて

小林 エンジニアが輝けない職場は、人材マネジメントと組織風土に課題を抱えていると言えそうです。

 ITの世界でマネジメントというと、まずプロジェクトマネジメントを思い浮かべます。しかし、成果を上げていくためには、「人のマネジメント」も非常に重要です。オープンなコミュニケーションとお互いに協力し合える環境があれば、エンジニアももっとその能力を発揮できるはずです。

小林 その一方で、エンジニアが輝く組織というのはどういうところなのでしょう。

 まずは今の話の裏返しで、コミュケーションやチーム内の協力体制がしっかりしているということですね。ちなみに職場環境が良好かどうかは、チャットの書き込みなどでも分かります。Slackなどのツールを使っている企業も多いと思いますが、エンジニアが気持ちよく働けている職場では、チャットに雑談が混じることが珍しくありません。これは何でも気軽に話し合える雰囲気があることの証しです。

 加えて、新しいことに挑戦できるかどうかも大事なポイントです。定型的な仕事を繰り返すだけの職場では、やはりエンジニアもやりがいを感じられません。実際に当社でも、自分のスキルより少し上のタスクを振ってくれる職場で働いているエンジニアは、非常に生き生きとしています。自らのキャリアを成長させられる機会があり、それに見合った評価や報酬もきちんと得られる。こうした条件が整った組織であれば、エンジニアもその能力を最大限に発揮できます。

小林 そのあたりは社員の方を見ていても実感されるところですか。

 例えばある社員は、研修後に派遣された職場が非常によい環境でした。もちろん、経験が浅いうちはそれほど大きな働きはできませんが、周囲の方々にフォローしていただいたことに発奮して、より一層の自己研鑽を積みました。その結果現在では、数人の後輩を引き連れてチームリーダーとして活躍し、お客様のビジネスにも大きく貢献しています。このように、「組織のために頑張りたい」とエンジニアが思えることは、大変重要なことなのです。
図 優秀なITエンジニアが働きやすい職場3カ条
図 優秀なITエンジニアが働きやすい職場3カ条

毎月のサーベイでエンジニアの「元気度」を確認

小林 御社では社員に対して、パルスサーベイによる状態チェックも行っておられます。その狙いについても教えてください。

 エンジニアが元気に働くためには、メンタル面でも健康であることが必要です。気持ちが落ち込んだ状態が長く続いたりすると、休職や退職に至ってしまうケースも増えますからね。特にリモートワークでは、働く場所も生活する場所も一緒です。これでは、気分転換もままなりません。このような状況を放置することのないよう、約500人の若手社員を対象としたパルスサーベイを毎月行っています。

小林 会社がちゃんとサポートしてくれるとなれば、社員としても安心ですね。

 社内にはエンジニアのキャリアサポートを行うチームもあるのですが、これだけの人数規模となるとなかなか全員にまで目が届きません。「3カ月前に話をしたときには大丈夫だった」というのが、意外に危険だったりします。メンタルの悪化は短期間で起きますから。こういうことは第三者視点で見てもらったほうが確実ですので、当社も外部のサービスを利用しています。パルスサーベイで全体の状況を可視化し、もし問題を抱えている人がいれば、改めてキャリアサポートの担当者がフォローする形を取っています。

小林 その効果についてはいかがですか。

 一度不調を起こしたとしても、また職場に復帰できるようになった人が明らかに増えました。メンタルが下がり切ってしまう前に、手を打てるようになったことは大きな成果だと感じています。また、こうした取り組みを通して、派遣先の課題なども見えてきます。そこで、お客様に対し、職場環境改善に向けた働きかけなども行うようにしています。

小林 そこまでやっているのですね。

 お客様としても、自社のビジネスに必要だからこそ、ITエンジニア派遣を望まれたはずです。そのパフォーマンスが落ちるということは、決して得な話ではありません。別のエンジニアを派遣するとなると、業務を覚えるところから始めないといけません。このようにエンジニアが生き生きと働ける環境を保つことは、エンジニア本人にとっても、当社のビジネスにとっても、そして何よりお客様にとっても大事なことなのです。

小林 本日は、ほかではなかなか聞けない貴重なお話をありがとうございました。
エクイニクス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 小川 久仁子氏
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