基幹系システムの刷新に先んじて
データ活用体制を見直し
ユニアデックス株式会社
執行役員 CIO
須貝 達也氏
まず前提として、ユニアデックスが目指す「データの民主化」とはどのようなものか。須貝氏は次のように説明する。
「従来、データ分析はデータサイエンティストのような少人数のスペシャリストが行う仕事でした。しかし、これからはビジネスユーザーが自らデータを活用できなければ、お客様のニーズや経営環境のめまぐるしい変化に素早く対応できません。そこで当社は、現場の社員自身が主体となって、データを自発的に利活用できる環境を構築するべきだと考えるようになりました」
冒頭で紹介した「データ抽出に時間と工数がかかる」「データが属人化する」といった課題は、レガシー化した基幹系システムを刷新することで解決につなぐアプローチが常道である。なぜなら、老朽化し複雑化したシステムが、それらの手間の原因になっていることが多いからだ。実際、同社でもレガシーな基幹系システムの刷新は不可避と考えており、刷新プロジェクトをスタートさせていた。
ただ、データ活用の非効率は、今日明日のビジネスに大きなデメリットをもたらすものといえる。そこでユニアデックスは、基幹系システムの刷新に先んじて、データ活用体制を見直すことにした。
「ツールの検討を進める中で、ドーモが掲げるデータの民主化というコンセプトを知りました。説明を受け、PoCでツールを触ったり、販売予実を可視化するダッシュボードを実際に作ったりする中で、これこそ当社が目指すべき方向性だと考えるようになっていったのです」(須貝氏)
販売予実ダッシュボードでは、売上や粗利などの予想と実績の管理をDomoに置き換えたことで、ビジネス部門(営業)の集計作業を大幅に効率化。また、営業担当者全員が日々このダッシュボードを閲覧して営業活動の効率化を図るようになるなど、Domoの効果が社内に広く認知されていったという。「これなら全社に展開しても問題なく使えそうだという手応えを得ることができました」と須貝氏は話す(図1)。

図1 販売予実ダッシュボードの画面例
営業担当者をはじめ、多くのビジネス部門担当者がこのダッシュボードを確認して日々の活動の効率化、質の向上などにつなげている
仲間と共に自発的にデータ活用を
学び合うコミュニティを創設
また同社は、Domoの活用に弾みをつけるためには組織の変革も必要だと考えた。そこで立ち上げたのが「データ利活用タスクフォース」である(図2)。社内の9部署から約30人が集まり、各部門の主要業務のデータ集計・分析作業を次々に“Domo化”していった。

図2 ユニアデックスにおけるデータ利活用推進体制
情報システム部門と社内の利用部門の担当者の複合組織で、メンバー同士が互いに協力し合って自律的にデータ活用を進める
「ポイントは上から指示されて動くのではなく、コミュニティ型で自発的に動く組織であることです。情報システム部門内のDX/データ活用推進メンバーのほか、多くの利用部門担当者も交えて、互いにサポートし合う体制を目指しました」と須貝氏は紹介する。定期的な活動を通じてメンバー同士が自発的に研鑽する。ここで知識・スキルを身に付けた利用部門メンバーは、各部門のデータ活用推進役を務める。そのような形でデータ活用の拡大展開を図っていった。
2023年度からはこのタスクフォースの名称を「UAL Domo Buddies」に変更。名称は、Domoのユーザーコミュニティである「Domo buddies」にならったものだ。UAL Domo Buddiesは、事例共有会などを開催して利用部門にデータ活用の重要性を訴求。多くの社員がDomoを使った業務改善に関心を抱くようになっていったという。
「何ごとも共に取り組む仲間がいないと継続しにくいものです。当社ではメンバーが互いにアドバイスやサポート、データセットの共有などを行いながら、楽しみつつ継続的なDomo活用に取り組んでいます」と須貝氏は強調する。
既に多くのユースケースが生まれている。先に紹介したマーケティング部門、経理部門、ビジネス部門でのダッシュボード構築事例のほか、人事部では、グレード別の社員数・退職者数などの基本情報をまとめたダッシュボードを非ITのメンバー2人がわずか3カ月で構築。スピード感を持ったアジャイルなデータ活用が、どんどん進んでいるという。
ダッシュボードごとの管理責任の所在や
役割分担も明確化
さらに、データの民主化を推し進める過程で考えなくてはいけないのが、ガバナンスをどう効かせるかということである。これについてユニアデックスは、閲覧者や使用するデータソースごとにアクセス権限を明確化。各ダッシュボードの管理責任の所在も明らかにし、閲覧権限を細かく設定することで、ガバナンスをしっかり効かせている(図3)。
あらゆるデータを同一の基盤上に保有するDomoの場合、これらの設定や管理も一元的に実行可能だ。また例えば、同じダッシュボードを見ていても、一般社員と経営層で見えるデータが異なるといった設定も容易に実現できる。

図3 ダッシュボード別の役割分担のイメージ
ダッシュボードやデータの種類ごとに、扱う人の役割分担や責任範囲を明確化。適切にガバナンスを効かせることで、適切かつ柔軟にデータを活用できる環境を整えている
「大勢がデータ活用に取り組むようになっていく過程では、ダッシュボードの作成途中で不要になったデータや、使われないダッシュボードが放置されたままになりがちです。これを防ぐため、一定期間アクセス/更新のないダッシュボードは、情報システム部門の権限で削除できるルールも定めました。細かい設定を簡単に行えるDomoは、統制と自由のバランスをとりながら、最適なガバナンスを効かせることができるツールだと感じています」と須貝氏は評価する。
このようにユニアデックスは、ツール導入と体制刷新の両面の取り組みでデータの民主化を加速している。最近は、Domoの契約を従量課金型のコンサンプションモデルに切り替え、広く全社員がダッシュボードにアクセスできるようにした。これにより、取り組みをさらに推し進める狙いだ。
データの分析・加工までできる社員はまだ限られているが、多くの社員が日常的にダッシュボードで業務データを確認するようになっている。この習慣はマネジメント層にも徐々に広がっており、2023年度からは事業計画書の中でも『Domoで可視化する』という言葉を見かけるようになってきたという。これは、データに基づいて意思決定をする文化が全社に根づきつつあることの証といえるだろう。
「全社のデータ民主化の先には、組織外への適用範囲拡大も見据えています。閲覧権限を管理しながら、Domoのダッシュボード上で協業するパートナー企業と情報を共有できるようにすることも考えています」と須貝氏は述べる。将来的にはCRMなどが保有するデータを基に、新サービスを立ち上げることも検討しているという。
データの民主化、そしてアジャイルなデータ活用を加速するためのカギは、社員が自律的に、楽しく取り組める組織づくりにある――。ユニアデックスの取り組みからは、そのことがよく分かるだろう。
お問い合わせ
ドーモ株式会社
URL:https://www.domo.com/jp
E-mail:info-jp@domo.com


