本田技研工業×日本IBM、生成AI活用で知識のモデリング時間を約67%短縮へ モデリングの自動生成は製造業の技術革新、価値創造につながるテーマに本田技研工業×日本IBM、生成AI活用で知識のモデリング時間を約67%短縮へ モデリングの自動生成は製造業の技術革新、価値創造につながるテーマに

本田技研工業
株式会社
吉本 毅 氏

本田技研工業
株式会社
安原 重人 氏

日本アイ・ビー・エム
株式会社
藤井 涼平 氏

生成AIの活用により知識の
モデリング時間を約67%短縮

――生成AIをビジネス利用するにあたって懸念したことは何でしょうか。

安原 AIがテキストや表構造、画像を要約する際に意味が変化してしまうリスクを懸念していました。この課題を検証するためにPoCでは、あらかじめ正解の文章を用意し、技術者が生成文と照らし合わせる作業を行いました。また、生成AIが機密情報を再学習して情報漏洩につながる懸念もあったので、オンプレミス(自社運用)で生成AIを実行できるセキュアな環境でPoCを実施しました。

藤井 今回は企業向けの構築スタジオとIBM watsonx.aiを使い、LLMをオンプレミスにデプロイ(展開・配置)することで機密情報の漏洩リスクを排除しました。watsonxは基盤モデルをオンプレミスやマルチクラウドなどへ柔軟にデプロイできるので、機密性の高いデータを利用したい企業や、自社のセキュリティー基準に合った環境で利用したいお客様の要望に応えることができます。

藤井 涼平 氏
「機密性の高いデータを利用したい企業や、自社のセキュリティー基準に合った環境で利用したいお客様の要望に応えることができます」(藤井氏)

――PoCの評価について教えてください。

安原 PoCの結果、生成AIによる言語化は画像種別ごとに得意なプロンプト(要求)があることがわかり、プロンプトを使い分けることで精度の高い言語抽出ができることがわかりました。ループ図のような概念的なページの要約は難しいものの、おおむね予想以上に高い精度で言語化できたと評価しています。

 さらにRAG(検索拡張生成)を実施することで、生成AIが参照した該当グラフを検索できたので根拠も明らかにできることがわかりました。この技術の精度を評価できたことで実用可能性が見えたと思っています。生成A Iの導入効果としては、人手による作業と比較して知識のモデリング時間を約67%短縮できると見込んでいます。

安原 重人 氏
「生成A Iの導入効果としては、人手による作業と比較して知識のモデリング時間を約67%短縮できると見込んでいます」(安原氏)

生成AIは製造業の研究開発に
かつてない変革をもたらす

――生成AI活用は製造業にどのような変化をもたらすとお考えでしょうか。

安原 現時点では社内に蓄積された技術情報からのモデリングしかできていませんが、watsonxを使えばオープンなLLMや社外の多様なLLMと組み合わせられるので、世界中の技術情報や特許情報を複合したモデリングが可能になると考えています。世界初、世界に1つだけの製品を生み出すには、いかに短期間で大量の情報を収集・活用できるかが鍵を握るので、生成AI活用の可能性は非常に大きいと思います。

吉本 社外に拡張した生成AIを活用すれば、あらゆる情報を研究開発に利用できるようになりエンジニアのモチベーションが上がり、ひとりよがりではない独創的な技術開発につながると期待しています。

――手順書作成だけではなく、ナレッジのモデリングまで生成AIで自動化できれば開発環境の飛躍的な効率化につながりそうですね。

吉本 数年前まで我々はプロジェクトの研究スコープとして自律を掲げていました。しかし、最終的な品質保証・性能保証には裏づけとなる論理性が問われることから、そこは将来の課題としていました。生成AIの登場で、今そのゴールが見えてきたので、ぜひモデリングの自動化にチャレンジし自律的な開発環境を実現したいと思います。

安原 自動車の開発は繰り返し作業が多いので、そこを自動化するだけでも、技術者の脳内スペースを空けられると考えています。その空いた脳内スペースをいかに創造的に使えるか、そこが我々にとって本当の勝負だと思っています。そのような意味で、生成AIによるモデリングの自動生成は価値創造につながるテーマだと思います。

吉本 社内には多様な知識や経験、思考を持った社員がたくさんいますが、今までは全容を把握できませんでした。生成AIを応用することで、その全てがモデル化されてつながったときに何が見えてくるのか。考えるだけでもワクワクします。きっとそこに革新的な価値を創造するヒントがあると思っています。

吉本 毅 氏
「その全てがモデル化されてつながったときに何が見えてくるのか。きっとそこに革新的な価値を創造するヒントがあると思っています」(吉本氏)

グローバルな知見と
先進技術で生成AIによる
ビジネス価値の創造を支援

――本プロジェクトにおけるIBMの評価はいかがでしょうか。

安原 弊社の業務を深く理解していただき、1つ要望を伝えると10個くらいの答えや新しいアイデアを返していただけるなど建設的な意見交換ができました。また、PoCの際、機密情報の準備が難しいと相談すると、似たような技術情報を用意して即座に検証結果を示してくれました。グローバルなユースケースを持っているからこその深い業務理解力と洞察力、リアクションスピードの速さを高く評価しています。

藤井 ホンダ様はテクノロジーへの抵抗がなく、先進技術をすんなり受け入れてくださるカルチャーがあるので、我々も最大限に力を発揮でき、良いパートナーシップを組めたと感じています。これからもビジネス領域におけるwatsonxの活用を加速し、世界をリードするホンダ様の期待に応えたいと思います。

吉本氏、安原氏、藤井氏
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