笛吹けども、なぜ踊らず?

DXが進まない本当の理由とその打開策とは

既存資産を捨てない、
脱レガシーのもう1つの道

――日本企業のDXが進まない理由をどのように見ていますか。

小峰正樹氏<以下、小峰(SCSK)> そもそも人材が足りないのに、レガシーの保守には多くの人手とコストが取られています。レガシーのままだから、新しいテクノロジーを取り入れるのも難しいし、開発にも時間がかかる。レガシーのままでも業務は回っているから、経営層はあまり問題意識を感じていない。現場は新しいことにチャレンジしたいのに、経営の理解が得られない。経営と現場のギャップも大きな問題です。
SCSK株式会社 常務執行役員 杉本 征剛氏
小峰 正樹
SCSK株式会社 常務執行役員
三木雄平氏<以下、三木(レッドハット)> 同感です。インフラや既存システムの運用・保守の負担を軽減し、IT人材はビジネス価値を生むアプリの開発、業務を革新するサービスの開発などに注力すべきです。

――レガシー脱却がカギになるわけですね。

三木(レッドハット) よくそう言われますが、既存システムは長年にわたってビジネスを支え続けています。これを全部捨て去るのは簡単ではないし、それが正しいとも限らないということもあります。セキュリティーやコンプライアンス面から、どうしてもクラウドに出せないデータやシステムもあるでしょう。オンプレミスにはオンプレミスのメリットがあるのです。
レッドハット株式会社 常務執行役員 パートナーエコシステム事業本部長 三木雄平氏
三木雄平
レッドハット株式会社 常務執行役員 パートナーエコシステム事業本部長
小峰(SCSK) カギを握るキーワードは「クラウドネイティブ」だと思います。それが結果的にレガシー脱却につながります。

 クラウドネイティブとクラウドはイコールではありません。使いたい時に使いたい分だけITリソースを調達したり、新しいテクノロジーを取り入れやすい柔軟性や機敏性を備えたりすること。つまり既存のインフラを、クラウドの要素を取り入れたインフラに変えていくことです。これにより、オンプレミスやクラウドを意識せずに、システムを利用できるようになります。

 これを支援するため、SCSKは2023年12月から「NebulaShift(ネビュラシフト)」の提供を開始しました。

長年の協業による実績と信頼が
「NebulaShift」の原点

――NebulaShiftとは、どのようなサービスですか。

小峰(SCSK) これは、これまでSCSKが蓄積してきた有形無形のノウハウや資産を基に体系化したもの。パートナー各社の協力を得てエコシステムを作り、多彩なツールやプラットフォームなど幅広いポートフォリオを備えています(図)。

 その特徴は、オンプレミスをクラウドネイティブなインフラに変え、様々なパブリッククラウドとシームレスに連携できること。オンプレミス、クラウドというインフラの違いを意識せず、統合的に運用できるようになります。

 ちなみにネビュラとは、星雲のこと。クラウド(雲)の上位であるネビュラへのリフト・アンド・シフトを推進していくという想いで名付けました。
NebulaShiftのサービスメニュー
NebulaShiftのサービスメニュー
SCSK、レッドハットのツールやテクノロジーを活用し、クラウドネイティブなインフラを実現する。アジャイル開発のコーチングから自走化まで伴走支援し、組織や文化の変革も促し、共創によるビジネス価値の創出を目指す
――そのパートナーの1社がレッドハットですね。両社が協業に至った経緯と狙いを教えてください。

小峰(SCSK) SCSKは2009年にレッドハットのミドルウエア製品の販売を開始してから、15年にわたり協業を続けています。ポートフォリオの拡大に伴い、当社もその技術を活用し、お客様のアプリケーション開発を幅広く支援してきました。長年の協業に基づく信頼と、NebulaShiftのコンセプトに欠かせないソリューションを数多く有することが決め手になりました。

三木(レッドハット) 日本企業のITシステムはSIベンダーに構築や運用を委託するケースが多く、レッドハットの日本でのビジネスも、その約8割はパートナー経由によるものです。特にSCSKは業務やビジネスを支えるアプリ開発ベンダーとして、ユーザー企業と直に接し、その業務知識や抱えている課題・要望を理解されています。私たちのソリューションの価値をお客様に提供するベストなパートナーです。

 長年の協業の中で、SCSKのエンジニアのトレーニングをお手伝いさせていただいているほか、共同セミナーなども開催しています。経営層レベルのコミュニケーションの機会も多いです。

 2024年4月に、SCSKの実績、技術レベル、サポート体制などを鑑みて、レッドハットのパートナープログラムの国内最上位「Premier Business パートナー」に認定させていただきました。この認定でパートナーシップがより強固になり、私たちが目指すオープン・ハイブリッドクラウドの実現にも、これまで以上に協業を推進し、より幅広いレンジのお客様に、新しい価値を届けることが可能になると考えています。

クラウドネイティブ化だけでなく
アジャイル開発も支援

――NebulaShiftでは、具体的にどのようなサービスを提供するのですか。

三木(レッドハット) レッドハットはコンテナ基盤「Red Hat OpenShift」や「Red Hat Application Services」などのミドルウエアを提供しています。

小峰(SCSK) SCSKはアプリ開発基盤「S-Cred+」、DevOpsサービス「DevCond.」、クラウドサービス「USiZE」などを提供しています。クラウドネイティブな環境を提供するインフラ基盤として、各種パブリッククラウドベンダーや従量課金型のハードウエア・プラットフォームを運用する体制を整えこれらを統合的に利用することが可能です。当社としては、これらのサービスを提供することで、お客様のリソースを、ビジネス価値を生む業務へ集中していただき、有効に活用できるお手伝いをさせていただくことを目指しています。

 それだけでなく、クラウドネイティブなアプリの開発も支援します。開発手法にはアジャイルを取り入れ、柔軟で迅速なアプリケーション開発が可能になるコンテナ技術も用いるわけです。そのためのコンサルティングやコーチングのほか、お客様の開発チームに当方のメンバーが参加し、アジャイル開発を伴走支援します。

 開発して終わりではなく、アジャイル文化の定着と自走化まで支援し、開発したアプリを動かす最適なインフラの設計・構築、運用・保守のフルマネージドサービスも提供可能です。

――インフラだけでなく、開発文化の変革までサポートしてくれるのは心強いですね。

小峰(SCSK) アジャイル開発支援ではレッドハットの「Red Hat Open Innovation Labs」というビジネス共創サービスが大きな強みになります。

 当社は、以前からアジャイルの社内浸透を図っていますが、レッドハットと組むことで、お客様のアジャイル開発をより強力に支援できます。当社のエンジニアもRed Hat Open Innovation Labsに参加し、スキルやノウハウを強化していきます。

ビジネス共創、
AIによるデータ活用も支援していく

――サービスリリース後の市場の反響はいかがですか。またNebulaShiftの活用で、どんなメリットが期待できますか。

小峰(SCSK) 問い合わせは非常に多いですね。「こういうサービスを待っていた!」という声も多く、ニーズの高さを実感しています。既に金融、製造業や通信のお客様がクラウドネイティブ化に取り組んでおり、ノウハウの蓄積も進んでいます。

三木(レッドハット) 最近の大規模システムの傾向として、開発はより柔軟でコスト効率の高いパブリッククラウドを利用し、本番はより規制順守性が高くコントローラブルなオンプレミスを利用されるパターンが増えてきています。しかし、インフラが異なると移行に大変な手間がかかります。コンテナ技術などの活用でクラウドネイティブ化すれば、スムーズに移行できます。オンプレミスからクラウドという逆のパターンも然りです。オンプレミスとクラウドをまたいだ、ハイブリッドクラウドの実現が可能になるわけです。

小峰(SCSK) クラウドネイティブなインフラの設計、PoC(概念実証)、構築、さらにクラウドネイティブなアプリの開発も、最新の技術とベストプラクティスを基に容易に実現できます。その運用も効率化できるので、貴重なIT人材をDX推進などの付加価値の高い業務に充てられます。

 アジャイルに関してはアプリの開発だけでなく、ビジネス共創のスキームにも活用する計画です。重点施策に人と予算を集中することで、新しいサービスやビジネスモデルの創出が期待できます。

――最後に今後の展望を教えてください。

小峰(SCSK)クラウドネイティブ化の次のフェーズで重要になるのがデータの活用です。クラウドネイティブ化すれば、多様なデータを集約しやすくなるからです。今後はデータドリブンなビジネス支援機能を強化していく方針です。その一環として、NebulaShiftの提供サービスの中にAIを実装する検討をレッドハットと共に進めています。

三木(レッドハット) ユーザー企業と接する機会の多いSCSKには、お客様の生の声が入ってくる。それを開発にフィードバックし、より価値あるサービスを提供していきます。

小峰(SCSK) レッドハットのPremier Business パートナーに認定されたことで、より幅広く、深い技術支援が可能になりました。この強みを生かして、エコシステムパートナーの拡大と深化を図り、NebulaShiftのサービスポートフォリオと提供価値の向上につなげていきたいですね。

 クラウドネイティブ化により、クラウドとオンプレミスそれぞれのメリットを最大限に生かすことが可能です。クラウドネイティブはこれからのITにおける大きな潮流になるでしょう。

 今後もレッドハットをはじめとするパートナーとのエコシステムを軸に、NebulaShiftの活用によるクラウドネイティブ化を幅広く支援し、お客様のビジネスの変革と持続的な成長に貢献していきます。
お問い合わせ
レッドハット株式会社 URL:https://www.redhat.com/ja/global/japan
TEL:03-4590-7472
E-mail:sales-jp@redhat.com
SCSK株式会社 ITインフラ・ソフトウェア事業本部 サーバ・ストレージ部
NebulaShift担当 奥/硲
〒135-8110 東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント
NebulaShiftオフィシャルサイト:
https://www.scsk.jp/sp/nebulashift/
NebulaShiftお問い合わせ:
nebulashift-info@scsk.jp