ServiceNow
World Forum Tokyo
Special Review

ビジネスの
日常にAIを。

経営基盤の強化と従業員の働きやすさをともに実現する
インテリジェント・プラットフォーム

労働人口の減少は
生成AIでカバーできる

ポール氏の挨拶に続いて、再び鈴木氏が登壇。改めて生成AIの可能性に触れるとともに、その可能性を最大限に引き出すためには、「社内でバラバラに運用されているシステムやデータベースを一元化することが不可欠です」と指摘した。

それを実現するのが、ServiceNowのプラットフォームだ。社内のあらゆる業務をエンドツーエンドで最適化するために開発され、すでに多くの日本企業が採用している。

このServiceNowのプラットフォームに搭載される生成AIの「Now Assist」はあらゆる業務を「面」で改善することができる。個別の業務ごとに生成AIを適用するのと比べ、より包括的で、全体最適化された変革が実現するのだ。

鈴木氏は、「ServiceNowは、従業員の働きやすさや、顧客体験の向上、経営基盤強化をもたらします。これによって日本企業が生産性を圧倒的に高め、再び世界で飛躍することを期待しています」と語った。

鈴木氏によるプレゼンテーションの後、基調講演に登壇したのは、野村総合研究所の此本 臣吾 取締役会長である。「未来の日本からの提言」と題し、日本の人口減少の見通しと、それによって今後、起こり得る問題について語った。

此本氏
株式会社野村総合研究所
取締役会長
此本 臣吾

此本氏は、人口減少がこのまま続くと、2100年に日本の人口は5100万人になると推計。とくに地方での減少が著しく、「30年後にほぼ半減する」との見方を示した。

そこで課題となるのは、やはり人手不足だ。此本氏は「人間の能力を拡張するため、いかにAIを活用していくかが大きなカギを握ります。現在は知的業務への活用が中心ですが、いずれ建設や工事といった肉体的業務もAIが動かすロボットがやるようになるでしょう」と予想した。

一方、課題として挙げたのが人材育成である。此本氏は、「今の日本では、IT人材よりもDX人材が圧倒的に不足しています。目の前の課題だけでなく、未来のことも考えてAIなどのテクノロジーに精通する人材を育て上げていく必要があります」と提言した。

基調講演では、ServiceNowを活用して変革を進めている企業の事例も紹介された。

テクノロジー領域のトランスフォーメーションとして自社事例を紹介したのは、荏原製作所 執行役CIO(情報通信担当)の小和瀬 浩之 氏である。

荏原製作所は、グローバル経営情報の見える化を進めており、その一環として、グローバル全体のIT資産を一元管理するためServiceNowのIT Operation Management(ITOM)を採用。さらに、全世界からのITサービスに関する問い合わせ窓口を一本化するため、IT Service Management(ITSM)の導入プロジェクトも進めている。

小和瀬氏は、「サポートの効率化とともに、利便性向上によって従業員のエクスペリエンスを高めていきたい」と語った。

次に、ServiceNowで顧客体験を高めるトランスフォーメーションの実践例を紹介したのは、セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 システム本部長の西村 出 氏だ。

50年前に日本1号店を出店し、全国で2万1535店を展開するセブン-イレブン・ジャパンでは、数十年にわたって数多くのシステムを開発し、継ぎ合わせて運用してきたことが大きな課題であった。そこで同社は、老朽化した基幹システム等をオンプレミスからクラウドに置き換えると同時に、サイロ化したシステム群の横連携を強化するためにServiceNowを導入した。

西村氏は、「複数のシステムを一元化することで、お客様の買い物データやリアルタイム在庫情報などを連携させ、より良いお客様体験を提供していきたい。そのために生成AIの活用も始めています」と語った。

小和瀬氏
株式会社荏原製作所
執行役CIO
(情報通信担当)
小和瀬 浩之
西村氏
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
執行役員
システム本部長 兼
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
グループDX副本部長
西村 出

続いて登壇したのは、パソナグループの溝江由里子執行役員 グループDX統括本部副本部長だ。同社が取り組む従業員体験トランスフォーメーションについて紹介した。

パソナでは2018年にServiceNowをグループ全体で導入。ITサービスに関する従業員からの問い合わせ対応に使用した。「かつては電話による問い合わせが約8割を占めていましたが、現在では9割以上がServiceNowで開発したポータル経由になっています」と溝江氏は説明。対応業務の効率化と、従業員のエクスペリエンス向上を実感し、人事の問い合わせ対応にもServiceNowを利用することにした。

パソナグループはServiceNowとの合弁でAoraNow(アオラナウ)を設立。ServiceNow導入のコンサルティングや開発、構築、運用保守などを行っている。溝江氏は、「パソナ社内で培った知見を基に、ServiceNowを使ったお客様のDXにも貢献していきたい」と語った。

溝江氏
株式会社パソナグループ
執行役員
グループDX統括本部
副本部長
溝江 由里子

1日目の基調講演の最後には、ServiceNowの導入支援を行っているパートナー企業3社の代表と、ServiceNowのポール・スミスCCOによるパネルディスカッションが行われた。

パートナー企業からは、富士通 執行役員副社長COOの高橋 美波氏、アクセンチュア 取締役副社長の五十嵐 慎二氏、NTTデータ 取締役常務執行役員の冨安 寛氏がパネリストとして参加。モデレーターはServiceNow Japanの鈴木社長が務めた。

富士通は2024年5月、ServiceNowと革新的オファリングに向けた戦略的パートナーシップを締結している。鈴木社長から「提携に対する思いは」と問われた高橋氏は、「富士通は、DXで社会課題の解決に貢献する『Fujitsu Uvance』に取り組んでいます。スピード感を持ってサービスを提供していくためには、自社の技術だけにこだわるのではなく、様々なパートナー企業の技術も積極的に採り入れていきたい。ServiceNowとの連携では、自動化の技術に期待しています」と語った。

一方、パートナーとして導入支援を行うだけでなく、自らもServiceNowのユーザーとして積極的な社内DXに取り組んでいるのがNTTデータだ。同社は2024年5月、15年ぶりに社内システムを全面刷新。そのプラットフォームとしてServiceNowを採用した。

NTTデータの冨安氏は、「ServiceNowによるシステムの開発には、約700人の社内エンジニアが携わりました。この豊富な人材リソースが、お客様のServiceNow導入を支援する際にも必ず役立つと思います」と語った。

今回の「ServiceNow World Forum Tokyo」におけるメインテーマである生成AIについて、社内における活用状況を説明したのは、アクセンチュアの五十嵐氏だ。

高橋氏
富士通株式会社
執行役員副社長
COO(Fujitsu Uvance)
(兼) グローバルソリューションBG長
高橋 美波
冨安氏
株式会社NTTデータ
取締役常務執行役員
冨安 寛
五十嵐氏
アクセンチュア株式会社
取締役副社長
アジアパシフィック
営業統括
五十嵐 慎二
ポール氏
ServiceNow,Inc.
Chief Commercial Officer
ポール・スミス

同社は、複数のAIエンジンやLLMなどがシームレスに利用できる「AIハブ」というプラットフォームを構築。用途に合わせて、最適な生成AIを使い分けられる環境を整えている。五十嵐氏は、「お客様に対しても、ServiceNowの『Now Assist』も含め、業務に応じて様々な生成AIを利用できる環境づくりを支援していきたい」と語った。

最後にポール氏は、生成AIについて、「当社が得意とする生産性向上やエンゲージメントの強化をさらに進めるテクノロジーです。ServiceNowのプラットフォームと『Now Assist』の組み合わせで、従業員の皆さんはもっと働きやすくなり、お客様にはより良いエクスペリエンスが提供できるようになるはずです。ぜひ、そんな世界を一緒に実現しましょう」と、パネリストと、会場にいる参加者たちに呼び掛けた。

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パネルディスカッション

JALインフォテックや大阪市などが
ServiceNowの導入事例を紹介

今回の「ServiceNow World Forum Tokyo」では、2日間にわたって約50のセッションが行われた。その中から、1日目に行われた2つの事例セッションを紹介する。

「6年の運用実績が語る! ―JALグループにおけるITインフラ改革チャレンジ―」と題する講演を行ったのは、日本航空(JAL)グループのITインフラの開発・運用を行うJALインフォテックの爰野寛太氏と中村和史氏だ。

JALグループは、「CIEL」(シエル)と名付けたクラウドプラットフォーム上で様々なシステムを開発・運用している。JALインフォテックは、「CIEL」上のシステムの利用者と、運用担当者をつなぐポータルとして、ServiceNowのITSMとITOMを基盤とする「CIEL/manager」を開発した。

「『CIEL/manager』が稼働するまでは、どのシステムを、どの担当者が運用しているのかを探し出すのもひと苦労でした。しかも、メールによる問い合わせが主だったので、対応履歴が残らず、ナレッジが貯まらないことも大きな課題でした」と爰野氏。

今では、すべての問い合わせが「CIEL/manager」に一本化。「メールによる問い合わせを半強制的に停止し、『CIEL/manager』経由でなければ受け付けられない仕組みにしたことで、一気に切り替えが進みました」と、爰野氏は普及を促した工夫について説明した。

同社は今後、「CIEL/manager」の機能をさらに改善していく予定だ。中村氏は、「問い合わせを受けた後、手作業で行っているシステムの設定変更などが自動で処理できるようにする改善を検討しています。ServiceNowは、様々な自動化ソリューションと連携するので、改善が図りやすいのではないかと期待しています」と語った。

中村氏
株式会社JALインフォテック
サービス事業本部 IT基盤事業部
ハイブリッドクラウド基盤部
クラウド基盤運営グループ
チーフ
中村 和史
爰野氏
株式会社JALインフォテック
サービス事業本部 IT基盤事業部
ハイブリッドクラウド基盤部
クラウド基盤運営グループ
チーフ
爰野 寛太

続いて「大阪市バックオフィスDXの新時代 ~全庁プロジェクトによるバックオフィス革新~」と題する講演を行ったのは、大阪市 CDO補佐監/CIO/CISO兼 デジタル統括室長の鶴見一裕氏である。

大阪市は、社会ニーズの多様化や、2040年に労働力の絶対量が不足することなどを念頭に、全庁を挙げて「Re-Designおおさか」というDX戦略を推進している。

その一つとして取り組んでいるのが、2万8000人の職員の業務を効率化するバックオフィスDXだ。「業務単位で分断しているシステムやデータを一元化し、データ入力の重複や紙の文書のやり取りなどをなくすことで、2030年までに年間110万時間の業務効率化を目指しています」と鶴見氏は説明した。

バックオフィスDXの先行プロジェクトとして、大阪市はServiceNowを基盤とする予算編成システムを構築した。従来は、各部局がプロジェクトごとの予算をエクセルで入力し、それを予算管理部門が集計していたが、このシステムを使えば、各部局が入力した金額がリアルタイムに集計金額に反映される。しかも、承認部門にも同じ金額が共有されるので、集計結果を紙に出力して提出する必要がない。

鶴見氏は、「ローコード開発に対応するServiceNowを採用した結果、開発工数は40%削減され、わずか1年足らずで構築することができました。この経験を生かし、今後もバックオフィスDXを加速させていきたい」と語った。

鶴見氏
大阪市CDO補佐監/CIO/CISO
兼デジタル統括室長​
鶴見 一裕

1日目の「ServiceNow World Forum Tokyo」は盛況のうちに終わり、参加者の一部は東京都内の別会場に移動した。参加者のため特別に開催される「アプリシエーション・ライブ」を見るためだ。

パフォーマーは、アーティストの石井竜也氏。大ヒット曲「君がいるだけで」や「浪漫飛行」など全7曲を熱唱した。

参加者への感謝を込めたライブは、米国のITイベントでは一般的だが、日本では珍しい。特別なもてなしを心ゆくまで楽しんだ参加者たちは、大満足の様子だった。

こうして、「ServiceNow World Forum Tokyo」の1日目は幕を閉じた。

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アプリシエーション・ライブ

生成AIは日本市場との
親和性が高い

翌10月16日は、業務プロセス開発、アプリ開発者向けとして開催。1日目と同様、午前中はServiceNowの関係者とユーザー企業の代表による基調講演が行われた。

鈴木社長の挨拶に続き、ServiceNow Japanで常務執行役員 COO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)を務める原 智宏氏が登壇。

原氏は、「生成AIの登場によって、テクノロジーと人との関係は、全く新しいステージに入りました。ServiceNowは、社内のあらゆる業務をエンドツーエンドでオーケストレーションし、従業員の方々にシンプルで使いやすいUIを届けることで、生産性やエクスペリエンスの向上に貢献してきました。『Now Assist』はそんなServiceNowの提供価値を、より一層高めることになるでしょう」と語った。

続いて登壇したのは、ServiceNowのユーザー企業であるメルカリの進谷浩明執行役員CIOである。

フリマアプリ「メルカリ」を中核に、決済、暗号資産、プロサッカーチームの運営など、多彩な事業を展開するメルカリは、「様々な価値を提供するプラットフォームになることで、より豊かな社会を実現すること」をグループミッションに掲げている。2023年10月に入社した進谷氏は、IT部門としてミッションの実現に貢献するため、3カ年のロードマップを作成。重要なプラットフォームの一つとして、ServiceNowを積極的に活用していくことを決めた。

同社では、進谷氏が入社する前からServiceNowのApp Engineを使ってコーポレート業務の自動化を進めていたが、ITサービス管理やIT資産管理にもServiceNowを活用することを決定。進谷氏は、「手作業で行っていたこれらの管理を自動化することで、問い合わせや申請への対応をスピードアップしたい。生成AIによる問い合わせ対応のセルフサービス化も目指しています」と語った。

原氏
​ServiceNow Japan株式会社
常務執行役員
COO(Chief Operating Officer)
原 智宏
進谷氏
株式会社メルカリ
執行役員 CIO
進谷 浩明

次に登壇したのは、資生堂インタラクティブビューティーでIT本部 デジタルイノベーション部 部長を務める櫻井佳子氏だ。

資生堂グループでは、2016年に欧州地域でServiceNowのITSMを初めて導入。2019年にはグローバルの投資計画を一元的に管理するシステムをApp Engineで開発し、2020年にはグローバル全体でITSMを利用開始するなど、段階的にServiceNowの活用領域を広げてきた。

櫻井氏は、「2021年にはグループ全体における製品開発プロジェクトの管理のためにSPMを導入しました。また、世界中で利用されているIT資産の状況をリアルタイムに把握するため、2024年にはITOMも稼働させました。活用領域がどんどん広がっているので、今後はそれぞれの領域におけるServiceNowのデータを一元化し、データドリブン経営をさらに加速させていきたい」と語った。

今回のイベントには、前日のポール氏のほかに、ServiceNowのCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)であるパット・ケイシー氏も米国から駆け付けている。同社が、いかに日本市場を重視しているのかがうかがえる。

「Now Assist」の開発もリードするパット氏は、基調講演で生成AIと日本市場の親和性の高さについて熱弁を振るった。

「日本で労働人口の減少が深刻な問題となっています。生成AIは、そんな日本にこそ不可欠な技術なのです。日本の人々は教育水準が高く、新しい技術を恐れずに受け入れる柔軟さも持っています。その国民性を発揮すれば、世界中で最もうまく生成AIを活用できる国になり、グローバルビジネスをリードする存在となれるでしょう」

パット氏はServiceNowの「Now Assist」であれば、従業員や顧客からの問い合わせにおける自己解決率の向上、コーディングの自動生成によるシステム開発の効率化などの効果が得ることができると、そのメリットを挙げた。

「生成AIの登場は、インターネットの登場に匹敵する大きなテクノロジーの転換点です。ぜひ、このチャンスを生かし、生成AIの活用によって日本経済を大きく成長させてください」と、パット氏は日本企業にエールを送った。

櫻井氏
資生堂インタラクティブビューティー株式会社
IT本部 デジタルイノベーション部
部長
櫻井 佳子
進谷氏
ServiceNow
Chief Technology Officer
パット・ケイシー

2日目も数多くのセッションが行われた。参加者たちは、それぞれ興味のあるセッションに参加して最新の知見を吸収。また、セッションの合間には、ServiceNowやパートナー企業が製品デモを展示する「Expo会場」に足を運び、使い勝手などを実際に試した。

「従業員の生産性向上」や「カスタマーエクスペリエンスの向上」など、テーマ別に分かれた展示は、「分かりやすい」と多くの参加者から好評を得ていた。業種別のソリューションも展示され、参加者はそれぞれの業務に特化した製品のデモを興味深く見学していた。

こうして、2日間にわたり開催された「ServiceNow World Forum Tokyo」は大盛況のうちに幕を閉じた。まさしく「ビジネスの日常にAIを。」というテーマを肌で感じることができる熱狂の2日間となった。

WorldForum TOKYO ビジネスの日常にAIを。経営基盤の強化と従業員の働きやすさをともに実現するインテリジェントプラットフォーム
会場イメージ
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