7つの定着化モデルと、
詳細なガイドラインを用意
まずCWAは、企業・組織のデータ民主化を実現するためのフレームワークだ。「組織」を基盤に、「案件」「教育」「監視」「保守」「統制」「啓蒙」という計7つの定着化・仕組化モデルで構成されており、これを企業のDXの戦略に準拠して優先順位を付けて繰り返すことで、特定メンバーに閉じない、組織全体でのデータ利活用を実現する(図1)。

図1 カンパニー・ワイド・アダプション(CWA)
「組織」を基盤とした計7つの定着化・仕組化モデル(組織、案件、教育、監視、保守、統制、啓蒙)で企業・組織のデータ民主化を推進する。モデルごとにガイドラインが用意されており、現状と目指すべき姿へのギャップ解決にガイドラインを当て込み、具体的なアクションアイテムを定義することが可能だ
「どこから手を付ければいいか分からないお客様に対し、取り組みをモデルごとに因数分解してご提示することで、行動に移しやすくします」と三島氏。ドーモは、これまで多くの業界・業種の顧客に向けてDomoの導入や利活用を支援してきた。CWAには、その過程で得た知見がベストプラクティスとして注ぎ込まれているという。
またCWAの大きな強みは、各モデルに取り組みのガイドラインが用意されている点である。モデルごとに行うべき施策やKPIが明確化されているため、顧客はそれを参考にして直ちにアクションを起こすことができるという。「もちろん、お客様が単独で行うのではなく、ドーモのカスタマーサクセスチームが取り組みを伴走型でご支援します」と三島氏は言う。
CWAの具体的な進め方についても見ていこう。まず図1の0~2、「組織」「案件」「教育」までは必ずこの順番で進める。なぜなら、ここが取り組みの土台になるからだ。データ民主化の推進組織は、事業部門がボトムアップ型の推進組織になる場合もあれば、経営層がトップダウン型で推進組織を設置することもある。ここは企業・組織ごとに最適な形をディスカッションして決めていく。
「『組織』の基盤ができたら、次に『案件』=データ活用のテーマ、ユースケースを選定します。一般的には人材育成を先行するケースが多いのですが、案件がないと、実践で学ぶ機会がないことになりデータ活用における意思決定を行える人材も育ちません。ビジネスインパクトがある潜在的なテーマやユースケースを生み出すことを先に考えるのがポイントです」(三島氏)
「監視」以降のモデルについては、個々の企業・組織の状況やDXの戦略に応じて順番を柔軟に入れ替える。例えばトップダウン型でデータ民主化に挑む企業なら、小さな成功例を組織内に「啓蒙」しながら効果を波及させるのがよいかもしれない。展開と定着化を意識して顧客ごとにベストなCWAのサイクルを考え、共に進めていくという。
データ民主化の推進役を務める
データアンバサダー
また、CWAのモデルの中でもとりわけ重要なのが「教育」だ。ここで育てるのが、データアンバサダーである。 「データアンバサダーは、組織内で分断されている情報や人をつなぎ、全社的なデータ活用の促進役を務める人材です。また、利害が異なる複数部門と交渉して合意形成を図ったり、データ活用に向けた社員のモチベーションを高めたりすることも重要な役目です。特に、経営者、推進組織、事業部門では役割や責任が異なり、DXへの取り組み内容や目線も異なるので、DXの推進・展開に対する意識や温度感を合わせることも重要になります。それを実現する、データ活用文化を組織に根付かせる活動全体のけん引役を務める人材といえるでしょう」と三島氏は話す(図2)。

図2 データ民主化を主導するデータアンバサダー
経営層・事業部門・IT部門を仲立ちしながら、組織のデータ活用文化を醸成する。あくまで現場視点でデータ活用の普及に取り組む点がCIO・CDOやデータサイエンティストとの違いだ
データアンバサダーにはデータに関わる十分なスキルが求められる。また、部門横断の折衝に当たっては相応の権限も必要になるだろう。どのような人材が適任なのだろうか。
「過去のお客様の例では、部長クラスの役職者がデータアンバサダーになることが多いです。ホールディングス制を採用している企業では、IT子会社の代表が務めるケースもあります。資質としては、感情に左右されずに論理的に物事を考えられる人、コミュニケーション能力の高い人は適任だと思います」と三島氏は述べる。
座学+実践を繰り返しながら
一人前に育てていく
ドーモ株式会社
アダプション コンサルタント
鷹觜 杏里紗氏
加えて、ドーモはこのデータアンバサダーを組織内に育てるための教育プログラムも用意している。それが「データアンバサダー養成講座」だ。
この講座ではデータ民主化の推進役に必要な知見・スキルを体系化して提供する。ドーモ カスタマーサクセスチームのアダプションコンサルタントが講師となり、Domo活用支援の一環として行うという。
「講座では、まず丸一日をかけてデータアンバサダーの役割やCWAの各モデルのガイドラインを学びます。同時に、お客様の組織の現状振り返りも行いながら、ガイドラインをどう当てはめていくべきかを考えます」と同社の鷹觜 杏里紗氏は紹介する。
その上で、後日、顧客ごとの中期経営計画のDXビジョンにひも付けるかたちで、データ民主化を実現するロードマップとサクセスプランを作成する。ドラフトづくりや関係者へのプレゼンテーション、その内容に対するフィードバックなど、数回をかけてドーモと共に実施していくという。
「習得するべき知見やノウハウが多岐にわたるため、データアンバサダーが独り立ちできるようになるまでには1年程度かかることが一般的です。ぜひ、腰を据えて取り組むことをお勧めします」と鷹觜氏。2年目に実践経験を積み、3年目には別の人材へスキルトランスファーを行いながらデータアンバサダーを増やしていく。このようなステップが理想だ。
「経験豊富なデータアンバサダーが増えれば、中期経営計画に合わせてCWAの取り組みを自走させることもできるでしょう。当社のカスタマーサクセスチームは、お客様がその状態に到達するまでの取り組みを、CWAとデータアンバサダー養成講座を通じてお手伝いできればと思います」と三島氏は語る。
データドリブン経営は「ツールありき」で実現できるものではない。ドーモが提唱するモデルごとの緻密な取り組みと、その推進の要となるデータアンバサダーの存在が不可欠であり、また十分な時間も必要になる。データ民主化、データ活用文化の醸成に向けては、焦らず、じっくり取り組むことをお勧めしたい。

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