グローバルVCが提言 「先見性」に基づく日本企業の成長戦略とは

10年前とは価値が違う
今、スタートアップを「知る」ことの重要性とは?

Plug and Play日本法人
VP(ヴァイスプレジデント)
新井 成実
家電メーカーのR&D部門や、海外ベンチャー、シンクタンクを経て、2021年にPlug and Play日本法人に入社。ディープテック領域の統括などを経て、24年にVP(ヴァイスプレジデント)に就任。

新井 スタートアップを「知る」ことの閾値は確実に上がっています。10年前であれば、スタートアップを紹介できる、コネクションがあるというだけでも価値がありました。ところが今、我々がスタートアップを知っていると言うときは、その動向を見て未来のマーケットが予見できるということを意味します。これを企業視点に置き換えれば、スタートアップを「知る」ことの価値の一つとして、グローバル基準のトレンドをいち早く把握できることが挙げられると思います。

 なるほど。そうした流れの中で、Plug and Playは、どのような役割を担うのですか?

新井 先ほど、林さんがおっしゃったように、AIの急速な進化などに伴って、5年後、10年後のビジネス環境は今から想像できないほど大きく変わるはずですが、未来を見据えたスタートアップの動向を把握し、ある程度は未来を予見できる我々がビジネスパートナーとして、しっかり伴走させていただきます。

 企業のイノベーション支援としては、スタートアップ探索とマッチングサポートをはじめ、グローバル・トレンドの分析、アクセラレータープログラム、企業の固有課題に対する施策立案など、イノベーション実現へ向けた伴走支援を提供しています。また、社内起業の実現に向けた体制構築、人材育成のサポートなども行っています。

 最新テクノロジーの情報やスタートアップとの連携機会は、戦略コンサルティングファームなども提供しています。Plug and Playはどんな点が違うのでしょうか?

新井 まず、カバーしているスタートアップの数とイノベーションの専門性の深さが圧倒的に違います。Plug and Playは世界60以上の拠点で25の専門領域に及ぶイノベーションプログラムを実施しており、ほとんどすべての産業領域に関わる最新テクノロジーをカバー、実績としては世界の大企業500社以上にイノベーション支援を行っています。

 さらに、我々はベンチャーキャピタルとして世界2000社以上のスタートアップに自ら投資しており、10万社以上に及ぶ独自のパイプラインも持っています。日々我々が世界中のスタートアップや投資家、大企業と接する中で蓄積している情報は世に出回っていない未来の情報であり、当然Chat GPTのようなAIモデルやインターネットからは仕入れることはできません。

 情報・知見の量と深さに加え、イノベーションに関わるステークホルダーをつなげるネットワークを形成していることも強調したいポイントです。支援側とクライアントという一対一の関係ではなく、大企業・スタートアップ・政府・投資家たちが立場や産業の枠を超えた連携ができる、グローバル規模の巨大コミュニティを持っていることも、戦略コンサルティングファームとの大きな違いです。

 例えば、海外大手自動車メーカーが新型自動車を開発した際は、脱炭素課題を解決するために4社の大企業とスタートアップが連携し、それぞれの領域でソリューションを提供、横のつながりで実現したイノベーションを支援することができました。

スタートアップ探索支援

世界でも選りすぐりのスタートアップを、2種類のアプローチを通じて紹介
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グローバル・トレンド分析

スタートアップの活動や投資動向に基づき、“次のビジネス機会”の先取りを支援
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イノベーションこそが企業の生命線
スタートアップ連携の真の価値とは?

 企業が自前でイノベーションを起こそうとしても、どうしても既存の枠から脱却し切れないことが多いものです。産業の枠を超えて、別の領域の技術やスタートアップとの連携機会が得られるというのは、たしかに大きな魅力ですね。

フィリップ 出来上がっている「箱」の中から飛び出し、外の世界から刺激を受けることは、イノベーションを生み出す力になります。その意味で、膨大な数のテクノロジーとスタートアップの情報を持つPlug and Playは、日本企業のイノベーションを加速させる役割を十分に果たせると自負しています。

 世界60以上の拠点では、常にスタートアップの活動や投資動向を探索する中で、現地の政府や企業のニーズも把握しています。そうして、未来のシーズの情報と未来のニーズの情報を集めてまだ顕在化されていない未来の市場における事業機会や投資機会を見つけていくことが、我々の一番のアセットであり、また、そこから導き出したインサイトを提供できることが強みだと考えています。

新井 例えば、23年ごろから生成AIが大きなブームになっていますが、その兆しは、早くも10年代後期に表れていました。この年、オープンAIが大規模言語モデルであるGPTを開発したのですが、チャット機能を搭載し、ChatGPTとして大ブレークするまでには5年ほどの歳月を費やしています。とはいえ、GPTが開発された時点で、5年後の大ブレークは「予見されていた未来」だったとも言えるわけです。

 スタートアップの一番の価値は、やはりその先見性ですね。先見性があるからこそ、大企業が見えていない領域を見据えることができてしまう。

フィリップ スタートアップの先見性と機動力に、大企業の資金力や事業基盤を掛け合わせれば、新しい事業の創出だけでなく、既存事業の変革にもつながります。Plug and Playは、そうした共創を仕組みとして支え、成果につなげるためにこれまでに、長期的に伴走してきました。イノベーションの創出は新たなステージに入っています。それを牽引していく我々も「イノベーションプラットフォーム」と自社を位置付け、事業の変革に寄り添っていきたいと考えています。

 なるほど。つまり、Plug and Playは単なる支援者ではなく、イノベーションを実現するための「プラットフォーム」そのものなのですね。

フィリップ ちなみに、5年後、10年後の未来が精度高く予見できるということは、事業会社だけでなく、イノベーションやスタートアップに出資する投資家にとっても、大きな提供価値だと思っています。実際、Plug and Playは、機関投資家やVC、CVC向けにもサービスを提供しています。

スタートアップ連携から得られるメリット

スタートアップ連携から得られるメリット​​

 今、未来を語る上で見逃せないのはAIの動向ですが、Plug and Playは、AI関連ではどのような取り組みを行っているのですか?

フィリップ 「AI Centers of Excellence」という組織を設け、産業を超えて世界中の大企業やスタートアップが集うエコシステムを形成しています。各産業のインサイトを集結して、AI関連のイノベーションを加速させるのが目的です。日本企業や日本のスタートアップも、ぜひ参加していただきたいですね。

 最後に、イノベーションやスタートアップとの連携で悩んでいる日本企業に、ひと言メッセージをお願いします。

フィリップ 私たちPlug and Playは、これまでの共創で得た豊富なデータと知見をもとに、いち早く未来を見極め、成長市場へ向かう道筋を描きます。私たちは机上の提案にとどまらず、経営と現場に伴走しながら実行を支え、確かな成果へとつなげるパートナーとして日本企業のイノベーションを次のステージへと高めていきたいと考えています。

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