トップダウンとボトムアップの両軸で
迅速な全社展開を実現
――その後、わずか数カ月でDomoユーザーを1万2000人規模に増やしたそうですね。なぜ、このようなスピードで展開できたのでしょうか。
藤川まず、CEOがデータ活用の重要性を語る動画をグループ全体に発信しました。これにより、取り組みへの本気度を全社に伝えました。

王子ホールディングス株式会社
執行役員
王子ビジネスセンター
代表取締役社長
藤川 健志氏
小山並行してDomoの使い方を学ぶ講座を開設しました。基本操作を解説した動画を事前に視聴してもらい、理解度を測るミニテストの成績によって視聴した実績を取りました。 また、Domoのダッシュボード制作カリキュラムは、初級・中級・上級の3コースに分けてドーモが提供しているトレーニングメニューを当グループ用にアレンジし、業務で扱う実データを使った演習などを組み込みました。また、このカリキュラムは講義内容をより効果的に体感してもらうため、社員が講師となって対面講義を行いました。
――ドーモは、全社にデータ活用の定着化を図るフレームワークとして「カンパニー・ワイド・アダプション(Company Wide Adoption:CWA)※」を提唱しています。活用拡大に当たっては、このような考え方も参考にしたのですか。
藤川そうですね。トップダウンできっかけをつくるところは私たち独自ですが、その後のデータ活用を浸透させるフェーズは、CWAも参考にして組み立てています。
小山ドーモのカスタマーサクセスチームから、小さな成功例を組織内に啓蒙しながら効果を波及させることの重要性を教わりました。当社では、経営ダッシュボードのリリースを小さな成功例と位置付けて、グループ内に横展開していくということを、データ活用拡大の「3カ年計画」の目標の1つにしています(図1)。このように、トップダウンとボトムアップの両軸で進めているのが当社のデータ活用の特徴といえるでしょう。

図1 3カ年計画に基づいてDomoの活用を拡大
経営会議報告への導入を端緒として、社内の主要業務への展開、運用定着化、データ活用の自走化へと段階的に取り組みを高度化していく
※「組織」をベースに「案件」「教育」「監視」「保守」「統制」「啓蒙」の6つの定着化・仕組化モデルで構成されるフレームワーク。企業のDX戦略に基づき優先順位を決定し、繰り返し実行することでデータ活用を組織全体に定着させる
「使っていて楽しい」Domoが、
変革を加速させる要因に
――Domoの活用によって、どのような成果が上がっていますか。
藤川経営会議の報告資料をExcelで作成していたころ、見られるデータは四半期/半期の計画値と実績のみでした。それが現在は、時間軸を切り替えながら、過去のトレンドを簡単にダッシュボードで表示できるようになっています。
これにより、会議の場でも業績の推移を見ながら将来の見通しを議論することが多くなりました。また、そもそもデータが既にDomoの中に入っているので、資料を作成する際に必要だった企画部門やIT部門の担当者のデータ抽出作業が不要になりました。これも大きい効果だと思います。
――データ活用に向けた組織文化は醸成されてきましたか。
小山グループ全体に広がるまでにはまだ時間がかかりますが、データから何かを感じ取ろうとする姿勢が、多くの社員に根づき始めていると感じます。

王子マネジメントオフィス株式会社
グループ企画本部 DX推進部
グループマネージャー
小山 和之氏
(Domopalooza Japan 2025年度カスタマーアワード
「Data Ambassador Award」受賞者)
藤川人材も育っており、想定よりも早く、高度なダッシュボードを自ら作成する社員が次々登場しています(図2)。以前はツールがなかったからできなかっただけで、潜在的なニーズはあったのだと気付かされましたね。

図2 王子ホールディングスが作成したDomoのダッシュボードの例
3カ年計画にもある通り、高度な活用・自走化には数年かかると見ていた王子ホールディングス。ところが2025年の時点で、高度なダッシュボードを自ら作成するビジネス部門社員が次々登場しているという
また、Domoは使いやすいだけでなく、使っていて「楽しい」ツールだと思います。データ活用やDXの取り組みは、やる本人が楽しめないとなかなか進みません。Domoというツールの魅力が、当グループの変革を後押ししてくれています。
――人材育成を含めて、今後はどのようにDomoの活用を浸透させていく計画でしょうか。
藤川人材育成は活用レベルごとに目標を立てています。まず、Domoでデータを閲覧するレベルには、事務系の社員全員がなるべきと考えており、現在までにほぼ達成できています。
より高度なデータ活用を行えるミドルクラス人材は全体の3割程度、最上位のデータサイエンティストレベルの人材はグループ全体で二桁の人数を育てたいと考えています。この状態を、2年から3年程度で実現したいですね。
Domoを使うことでデータを蓄積し、
AI活用の高度化につなげる
――また現在はAIが大きな注目を集めています。この領域については、どのような取り組みを行っていく予定ですか。
藤川全方位的に活用を促進していく予定です。そもそも、BIを導入・活用しようと考えたもう1つの理由が「データをつくる」ことでした。BIを使うことで手元にないデータが見えてきます。そこを埋めていき、網羅的なデータ基盤を構築することで、AIによる分析精度も向上させられると考えています。
日本では今後、さらに人材確保が難しくなっていくでしょう。そのような時代においては、AIとともに働く環境をつくることが不可欠です。AIの提案内容を基に思考をスタートさせられれば、あらゆる業務のアウトプットの質や量を大きく高められるはずです。Domo自体が「Domo.AI」というAIを実装しているので、それに大きな期待を寄せています。
――最後に、全社データ活用を推進したいと考える企業に向けてメッセージをお願いします。
藤川「情報資産を十分生かせていない」ことを課題に感じている企業は多いと思います。ただ、それは裏を返せばポテンシャルが大きいということでもあります。私たちがドーモと出会って、取り組みを大きく進展させられたように、最適な方策や環境を整えることでDXを加速できると思います。ドーモには、当社を含めたそのような企業・組織を、今後も支援していただきたいと思います。
お問い合わせ
ドーモ株式会社
URL:https://www.domo.com/jp
E-mail:info-jp@domo.com


