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現場の課題を解決する電子デバイス【 センサ ソリューション編】

電気/電子機器において、より高度な機能や性能を追求する取り組みに終わりはない。その最先端の現場で、いまニーズが高まっているデバイスがセンサである。様々な用途で新たなニーズが次々と浮上している。これに応える先進的なデバイスを提供しているサプライヤの一つとして注目を集めているのがパナソニックだ。車載用の温度センサやジャイロセンサの市場で高い存在感を示し、微細加工技術を駆使した圧力センサや赤外線アレイセンサなどユニークな特長を備えた製品も数多く展開している。

 数ある電子デバイスの中で、このところ機器設計者の間で存在が大きくクローズアップされているのが、様々な情報を取得するための「センサ」である。その理由の一つは、センサネットワークを含むIoT(Internet of Things)の概念が、工場やビル、都市全体などに広がってきたこと。もう一つの理由として、高度な電子制御を実現するために新たなセンサを採用する電子機器が増えてきたこともある。これらのニーズに、いち早く対応するためにパナソニックは多彩なセンサを揃えている。今回その中でも、特に車載市場で高い存在感を示している車載用の温度センサとジャイロセンサを取り上げる。

プロセス技術とカスタム対応

 同社が提供している車載用温度センサには、大きく液温センサと気温センサの2種類がある(図1)。液温センサは、二輪車および四輪車でエンジン冷却水やオイルの温度をモニタするシステムに使われている。同社の製品は、二輪車向けの市場で圧倒的なシェアを占める。

図1 車載用温度センサ
左は液温センサ。右が気温センサ
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 同社は、二輪車の市場で鍛えた技術やノウハウを活かして四輪車向け温度センサの市場も積極的に開拓している。自動車の開発においてエネルギー消費の効率化は大きな課題。その解決に向けた様々な取り組みにおいて温度センサが必要になる。それらのニーズに丁寧に対応することで市場を獲得する考えだ。エアコンの制御などに使う気温センサも同様に力を入れている。そこで強みとなるのが、成形、構造設計、金型設計などのプロセス技術を駆使しながら、ユーザーのニーズに合わせて機能や性能を最適化するノウハウだ。制御システムの設計に独自のこだわりをもつメーカーのニーズに丁寧に対応することでユーザーを獲得する。燃費向上に向けた軽量化に取り組むユーザーのために、温度センサの小型軽量化にも努める。

高い評価を受ける薄膜技術

 ジャイロセンサは、物体の回転を検知するセンサ(図2)。自動車では横滑り制御システムや、横転検知システムなど安全走行を支えるシステムに数多く採用されているほか、カーナビゲーション・システム、お掃除ロボットの自律航法制御などにも利用されている。同社は、X軸方向の回転を検出する製品やZ軸方向の回転を検出する製品など多彩な品種を揃え、選択自由度の高い製品ポートフォリオを提供。ユーザーが必要に応じた製品を速やかに入手できるようにしている。いずれの製品も、高い精度を実現しているうえに、温度、湿度、振動などの厳しい条件に耐える高い信頼性も備える。

図2 ジャイロセンサの活用例
ジャイロセンサで車両の旋回速度を検知し、横すべりを予防制御
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 これらの特徴を支えるカギとなっているのは、心臓部に組み込まれている微小な素子を実現するために必要な薄膜の量産技術である。この技術は業界で高い評価を受けている。2011年には、優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献・功績を残した技術開発者またはグループを表彰する市村産業賞の貢献賞を受賞。2012年には、文部科学大臣表彰の科学技術賞(開発部門)を受けた。

複数の情報を同時に取得

 パナソニックでは、自動車向けで培ったノウハウを生かした高精度のセンサも幅広く提供している。その一つが、家電製品向けに展開している圧力センサである(図3)。例えば、カセット式コーヒー・メーカーの加圧機構の異常を検出するシステムなどに応用されている。このセンサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術を使った微小なダイヤフラムの形状が圧力によって変化するのを電気的に検出することによって圧力を高精度で検出する。温度特性の調整が不要の補償回路内蔵品も用意している。

図3 圧力センサの仕組み
圧力によるダイヤフラムの変化を、検出素子の抵抗値変化として検出し、 圧力の強さを測定
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 赤外線を利用して複数の情報を同時に検出できるようにしたユニークなセンサも提供している。赤外線アレイセンサ「Grid-EYE」である(図4)。人や物体が放射する赤外線を検出する64個のセンサを平面上に縦横(縦8個×横8個)に敷き詰めたアレイセンサを内蔵している。出力信号をソフトウエアで処理することによって、人の位置や人数などを検出することができる。室内にいる人に合わせてエアコンを制御するシステムなどに採用されている。このほかにセキュリティ・システムや介護施設の見守りシステムなどにも展開できる。同社は、赤外線アレイセンサのデバイスだけでなく、要求に応じて信号処理用ソフトウエアも合わせて、一つのシステム・ソリューションとしてユーザーに提供する考えだ。

図4 赤外線アレイセンサ「Grid-EYE」の活用例
アレイセンサから得られた信号をもとに人の位置や人数を検出
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 パナソニックは、このほかにも数多くのセンサを提供している(別掲のコラムを参照)。豊富な品揃えとともに強力なユーザー・サポートによって、自動車や家電製品、産業機器などにおける応用を積極的に開拓していくという。センサを利用した新しいシステムの開発に取り組む設計者にとって強力な味方と言える。

設計者のアイデアを生かす豊富な品揃え
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 パナソニックは紹介した以外にも数多くのセンサを提供している。磁性薄膜磁気抵抗素子(MR素子)を使い回転角を検知する磁気センサ、静電容量構造により高信頼性を実現した加速度センサ、多層薄膜技術により視感度特性を実現した照度センサ「NaPiCa」などである。これらの要素技術をもとに、慣性、圧力、トルク、ガス、燃料、人検知等の自動車産業分野での安全・環境ニーズやADAS、自動運転等に向けたセンサデバイスの複合化・モジュール化に注力している。今後は、機器の高機能化と現場での設計負担を軽減するソリューション提案・対応を推進し顧客の多彩なニーズに応えていく。

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  • パナソニック株式会社

    オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 デバイスソリューション事業部

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