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現場の課題を解決する電子デバイス【 電子制御ソリューション編】

パナソニックが展開している受動部品が車載ECU(Electronic Control Unit)向け電子部品の市場で存在感を高めている。自動車における電子化の進展とともに、一段と厳しい条件への対応を迫られるECU設計者の要求を先取りした製品が続々と登場しているからだ。ここでは同社の数ある車載用電子制御機器向けの受動部品の中から、いま特に注目を集めているハイブリッドアルミ電解キャパシタ、電流検出用低抵抗、車載用パワーインダクタなどを紹介する。

 車載ECUの設計に対する要求は高度化している。より高い機能や性能が求められているうえに、限られたスペースを最大限に活用するために小型化も求められているからだ。しかも、機構系の部品にECUを直接取り付ける「機電一体」の概念が広がり、ECUの実装形態が多様化している。こうした状況に直面している設計者のニーズに応えるべく、ユニークな特長を備えた受動部品を市場に投入しているのがパナソニックである。

 同社は、数多くの受動部品を1社で提供している数少ないサプライヤの一つ。しかも、デバイスごとに多くの品種を揃えている。それらの複合製品を提供できるのも大きな強みだ。こうした同社の高い技術力がうかがえるのが、ハイブリッドアルミ電解キャパシタ、電流検出用低抵抗、車載用パワーインダクタである。

従来品の長所をいいとこ取り

 ハイブリッドアルミ電解キャパシタは、液体の電解質を使ったタイプ(液体系)と固体の電解質を使ったタイプ(固体系)の両方の長所を兼ね備える(図1)。アルミ電解キャパシタは、大容量で耐圧が高い。ただし、液体系のアルミ電解キャパシタは、ESR(等価直列抵抗)と高周波インピーダンスが高い。この問題を解決したのが電解質に導電性高分子材料を用いた固体系である。液体系に比べてESRが低く高周波特性も優れている。しかも1万倍以上もの電導度を発揮する。ただし、液体系では内部で発生する故障がオープンモードであるのに対して、固体系ではショートモードになる可能性がある。

図1 ハイブリッドアルミ電解キャパシタの特長
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 ハイブリッド型は、固体系と同等の電導度を発揮し、ESRや高周波におけるインピーダンスも低い。このためリプル対策に優れた威力を発揮する。故障時はオープンモードになるので安全性も高い。また、従来のアルミ電解キャパシタが氷点下でESRが急増するのに対して、ハイブリッド型は常温とほとんど変わらない。様々な環境で使われる車載機器向けには有利な特長だ。小型で大きな容量を確保できるので、ECUの小型化にも貢献する。こうした多くの利点を設計者に提供するハイブリッド型を製品化し、市場をリードしているのがパナソニックである。すでに大手電装メーカーが相次いで同社製品を採用している。

発熱を抑えた電流検出用低抵抗

 抵抗値が1Ω以下の電流検出用低抵抗は、モーター制御回路、電源制御回路、バッテリー制御回路の電流検出部などで必須のデバイスだ。ここでは、より小型で低TCR(抵抗温度係数)で、一段と低い抵抗値の品種が求められている。こうしたニーズにこたえてパナソニックは、厚膜抵抗ではんだ接続信頼性を向上した「厚膜長辺電極タイプ」、極めて低い抵抗値で低TCRの「金属板タイプ」を用意している。この中で特に注目を集めているのが、100A領域までの電流検出に対応した金属板タイプだ。独自の金属プレート接合により抵抗値の長期安定性に優れ、放熱性を考慮した高放熱外装樹脂の採用により温度上昇を抑えた(図2)。熱にまつわる制約が緩和されるので制御回路の設計における自由度が高まる。

図2 発熱を抑え設計自由度向上に貢献する電流検出用低抵抗(金属板タイプ)
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独自材料で小型化を実現

 車載用パワーインダクタは、ECUの電源やDC-DCコンバータのノイズ・フィルタなどに向けた製品だ(図3)。大きな特長は、コア材料に独自に開発したメタルコンポジット材を採用することでフェライト材を使ったインダクタよりも格段に高い磁気飽和特性を備えていること。これは、ECUの小型化に貢献する。つまり、CPUの高速化などを背景に、より大きな電流を扱えるインダクタがECUで必要とされている。大電流を扱えるようにするには、磁気飽和を防ぐためにコアを大きくする必要がある。ここで、フェライト材を使ったインダクタを、メタルコンポジット材を使ったインダクタに採用すれば、大きさを維持しながら磁気飽和特性,温度依存性をほぼ無い状態にできる。逆に言うと小型化も可能である。しかも、熱安定性が極めて高いシリコーン樹脂を使ったバインダーと金属磁性粉末を混ぜ合わせた同社のメタルコンポジット材は耐熱性も優れており、200℃以上でも品質を維持できる。

図3 優れた磁気飽和特性を備えたメタルコンポジットを使用した車載用パワーインダクタ
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 パナソニックが提供する車載用パワーインダクタの特長でもう一つ見逃せないのが高い信頼性を発揮する構造だ。コア材の中に埋め込まれたコイルの両端が外部につながっており、外部端子とともに直接プリント基板にはんだ付けできる。これによって振動などによる断線が発生しやすい素子内の溶接部を排除した。

 ECUを初めとする車載制御システムに対する機能や性能の要求は、ますます高度化。開発の現場では、新たな課題が次々と浮上するはずだ。それらの解決に取り組む設計者にとって、キャパシタ、抵抗、インダクタといった制御回路の基本的な構成部品の進化に取り組むパナソニックは心強い味方と言えよう。

独自の電極形成技術で小型、高信頼性を実現
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 パナソニックが展開している車載用デバイスは、ECU以外の用途でも注目を集めている。その一つがフィルムキャパシタだ(図A)。同社が開発した車載用フィルムキャパシタは、極めて薄いポリプロピレンフィルムを採用し、その表面に独自の電極を形成することで長寿命、高耐圧、高耐電流、低ESRと共に小型・軽量、大容量も実現した。このキャパシタはモーター駆動などに搭載するインバータ回路用キャパシタとして製品化し、2003年から多くの電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に採用され、特に、高耐圧、高耐電流という特長は、EVやHEVのみならず、電車、発電・蓄電用PCS、UPS、産業用ドライブ電源に搭載するインバータ回路に適している。今後は更に小型・軽量、高電圧、耐電流特性等の向上を目指すと共に、中国工場での生産を開始しグローバルのお客様への対応力を強化していく。

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  • パナソニック株式会社

    オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 デバイスソリューション事業部

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