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【アドバンスド・データ・コントロールズ】車や産業用で注目のRTOS「INTEGRITY」、統合開発環境「MULTI」で強みを最大化

高い信頼性と優れた堅牢性を備えていることから自動車や産業機器の分野で採用が増えている米Green Hills Software 社のリアルタイムOS「INTEGRITY」。このOSとともに同社が提供している統合開発環境「MULTI」に対する関心が、高機能・高品質を追求する組み込み設計者の間で高まっている。「INTEGRITY」の機能や性能を最大限に引き出しながら、高度なシステムを効率よく開発できるプラットフォームを提供するからだ。

 OSの選定はシステム・アーキテクトあるいはソフトウエア・アーキテクトにとって重要な仕事の一つである。なぜならOSが、機能、応答性能、安定性、堅牢性、セキュリティなど多くのソフトウエアシステムの特性はもとより、アプリケーションの開発容易性やソフトウエア資産の継承性など製品の開発戦略に関わる重要な問題を左右するからだ。さまざまなリアルタイムOSがある中で、自動車、航空宇宙、防衛、FA(Factory Automation)など、特に高い信頼性や堅牢性が求められる分野で多くの支持を集めているリアルタイムOSが、Green Hills Software社(以下GHS)の「INTEGRITY」である。

 カーネル空間とそれぞれのアプリケーション空間の完全な分離による高い堅牢性、NSA(米国家安全保障局)が定める評価保証レベル「EAL6+」の認定を唯一取得している高いセキュリティ、仮想マシンモニタ「INTEGRITY Multivisor」のサポート、機能安全への対応、デターミニスティックな動作や高速な割り込み応答など、上記分野が必要とする機能・性能要件を高次元で満たしている。

 GHS 製品の日本における販売および技術サポートを手掛けるアドバンスド・データ・コントロールズ( 以下ADaC)によると、ADAS(先進運転支援システム)の普及などが追い風になって、国内においても自動車業界を中心に採用が増えつつあるという。

自動車メーカーで標準ツールに

秋山 拓也氏
アドバンスド・データ・コントロールズ営業本部 営業部 部長(兼 副本部長)

 「INTEGRITY」の優れた機能と性能を引き出すために、GHSが提供する統合開発環境が「MULTI」である(図1)。

  コーディング、コンパイル、静的ソースコード解析、単体テスト、動的実行解析、結合テスト、チューニングといったソフトウエア開発における一連の作業フェーズを効率的にサポートするツール群で構成されている。

 「MULTI」は統合開発環境単体としても使うことができる。OSなしのスタンドアロンな組み込みソフトウエア開発向け、また「INTEGRITY」以外のOS向けの統合開発環境として、実際にさまざまな分野で導入されている。「あらゆる分野で『MULTI』をご採用いただいていますが、特に自動車では、安全に関わるパワートレイン系を中心に、グローバルスタンダードのツールとして活用されています」(同社 営業本部 営業部 部長 秋山拓也氏)。

図1 Green Hills Softwareの統合開発環境「MULTI」
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いち早く機能安全認証を取得

 「MULTI」を構成するツールの中で最も広く使われているのが「Green Hills Compiler」だ。30 年以上の実績を持つ組み込みソフトウエア向けのコンパイラで、単体でも利用できる。

 サポートするプロセッサアーキテクチャは40 種類以上と多く、生成されるオブジェクトコードはサイズと実行性能の両面で業界トップクラスだといわれている。「組み込みプロセッサのベンチマーキングをしているEEMBC(The Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)におけるテストで、常にトップレベルのスコアをマークしています」(秋山氏)。

 さらに注目すべきは、機能安全の国際規格「IEC61508/EN50128 SIL4」および「ISO26262 ASIL D」の第三者機関による認証を取得していることだ。これらの認証をさまざまなプロセッサアーキテクチャに対して取得しているコンパイラは、業界ではほかに見当たらない。業界に先駆けて機能安全規格の認証を取得したのは、コンパイラとしての信頼性を高めることができる上に、機能安全を追求するユーザーに大きな利点をもたらすからだ。「コンパイラが生成する実行コードの品質は、組み込む製品の信頼性に影響を与えます。だからこそ、コンパイラで機能安全の認証を受けることが重要だと考えました」(秋山氏)。

効率的な開発環境を実現

穂積 広一氏
アドバンスド・データ・コントロールズ技術本部 R&D 部 部長(兼 副本部長)

 開発環境としての基本機能においても「MULTI」は、多くの優れた特長を備えている。「『MULTI』は極めて強力かつ使いやすい数々のデバッガ機能を搭載しています」(同社 技術本部 R&D 部部長 穂積広一氏)。例えば、動的実行解析ツール「TimeMachine」は、大容量のトレースデータを基にプログラムの実行を遡ることができる。プログラムの問題点を効率よく割り出せることから、多くのユーザーから高い評価を受けている。このほか、静的ソースコード解析ツール「DoubleCheck」、ソースコードやアセンブリ言語を混在できるグラフィカルデバッガなど、先進的な機能を数多くサポートしている。

 「MULTI」は組み込みソフトウエア向けの統合開発環境として優れたパフォーマンスを発揮するが、「INTEGRITY」を実装したシステムの設計者には、さらに多くの利点を提供する。「『INTEGRITY』に特化した有利な機能が数多く盛り込まれています」(穂積氏)。

 その一つが、「INTEGRITY」上の各タスクの状態をグラフィカルに表示するイベント解析ツール「EventAnalyzer」だ(図2)。複雑なタスクの状態を素早く、かつ確実に把握できるので、システムのデバッグやチューニングを効率よく進めることができる。このほか、CPU 時間やメモリ使用量をプロファイルする「ResourceAnalyzer」、コンフィギュレーションファイルを生成する「Integrate」、ターゲットに載せるクロスコードの動作をシミュレートする「ISIM」、カーネルまでを含んだデバッグを実現する「OSA エクスプローラ」などの「INTEGRITY」のユーザーが利用できる便利な機能が数多くそろっている。もちろん多くの機能がマルチコアプロセッサのデバッグにも対応する。

図2 「INTEGRITY」のタスクをリアルタイムに解析できる「EvenAnalyzer」機能
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プレミアム・サポートで個別対応

 GHS が強力なユーザーサポートを展開している点も見逃せない。同社は、「INTEGRITY」と「Green Hills Compiler」のユーザー向けに「プレミアム・サポート」と呼ぶサービスを提供している。対象ユーザーには、専用の問い合わせ窓口が割り当てられるほか、ユーザー固有の環境を個別ブランチとして管理し、問題発生時に専用サポートが受けられる。コンパイラのバージョンを固定して使いたい、あるいは一部をカスタマイズしたい、といった要望にも対応する。日本では、このサービスのフロントエンドをADaCが担っている。「自動車や航空宇宙分野における高度なニーズにも対応することを前提にしたサービスです」(秋山氏)。

 性能、機能や品質の要求が高い分野で多くのシステム・アーキテクトから選ばれているリアルタイムOS「INTEGRITY」と統合開発環境「MULTI」。ADAS など、業界の新たな潮流を創る先進的な組み込みシステムの開発に大きく貢献するに違いない。

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