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【ADLINK】COMからクラウドまでをワンストップでIoTに取り組むADLINKがセミナーを開催

組み込み用のコンピュータ・オン・モジュール(COM)を手掛けるADLINKジャパンは、「ADLINK COM Expressセミナー/~IoTの普及とともに進化する産業用組込みシステム~」と題したセミナーを2015年9月16日(水)に目黒雅叙園で開催した。ビジネスの可能性を広げるIoIへの取り組みを明らかにするとともに、IoTに適した「COM Express」や「SMARC」などの最新動向を紹介した。

Stephen Huang氏

 セミナーの幕開けとしてADLINKのAP Sales and Market部門でGeneral Managerを務めるStephen Huang氏が挨拶に立った。

 ADLINKは台湾で1995年に創業し、2015年が創立20周年の節目にあたる。COM ExpressやSMARC規格のコンピュータ・オン・モジュール(COM)を中心にソリューションを展開しており、新規顧客の獲得などによって売上高3億ドルを達成し、順調な成長を遂げていると同氏は述べた。売上げとしてはアメリカがもっとも多く、中国を除くアジア太平洋地域が続いているという。

 「適切な製品を市場に投入していくことがわれわれのミッション」(Huang氏)との考えのもと、現在大きなビジネスチャンスをもたらしているIoTに重点的に取り組んでいく考えを示した。

IoTプラットフォームを各社が提供

 続いて、日本マイクロソフトのクラウド&エンタープライズビジネス本部で業務執行役員兼本部長を務める佐藤 久氏が「IoT におけるマイクロソフトの取り組みと最新事例のご紹介」と題して基調講演を行った。

 現在のIT市場はワールドワイドで年間約25兆円の市場規模があるが、2014年から2019年にかけて横這いのまま推移すると見込まれるため、クラウドとIoTによってイノベーションを起こし、年率+12%で成長する新たなマーケットを作っていく戦略をマイクロソフトでは推進していると述べた。

 同社では、製造、社会インフラ、およびヘルスケアの4分野にフォーカスを当ててIoTへの取り組みを強化しており、クラウドの「Azure」を核に、遠隔監視、資産管理、予防保守などのIoT機能をテンプレート化した「Microsoft Azure IoT」サービスの提供も始めている。すでに自動車製造のKuka Robotics社や食品製造機器のKrone社などが同社のソリューションを導入済みだという。

 佐藤氏は最後に「IoTって何ですか?という時期は過ぎている。当社と当社のパートナーの技術を使って、変革に臨んで欲しい」と来場者に呼びかけた。

 インテルも講演を行い、同社のエンベデッド・セールス・グループでIoTパートナー・イネーブルメントを担当するダイレクターの佐藤有紀子氏が取り組みを紹介した。

 インテルではIoTをエンベデッドの進化形と捉えて、プロセッサだけではなく、コネクティビティ、セキュリティ、マネージャビリティなどを備えたさまざまなデバイスを展開している。

 また、IoTはセンサーやデバイスだけで完結するものではなく、データセンターインフラや分析ソフトウェアなどが重要であるとの認識から、同社では「インテルIoTプラットフォーム」というソリューションの提供を開始した。

 2015年5月にはIoTプラットフォームの連携で富士通と提携を発表し、実際に富士通の島根工場で製造工程の効率化や見える化を進めていると佐藤氏は述べた。センサーデータの集約に必要なIoTゲートウェイはADLINKなどの協力も得ながら拡販中である。今後もパートナーシップやアライアンスを深めながらIoTへの取り組みを深めていく考えだ。

IoTに適した小型のSMARC規格の拡充が進む

Boye Faerber氏

 ADLINKの講演は3本である。

 まず、SEMA担当のProduct ManagerであるBoye Faerber氏が「SEMA Cloud」について紹介した。

 SEMA Cloudは、遠隔監視、予防保守、ファームウェアの遠隔アップデート、センサーデータの解析といったIoTアプリケーションを効率的に構築できるクラウドプラットフォームである。顧客専用のアプリケーションを開発するプログラミングインタフェースやSDKも用意される。

 同社のCOM製品には、データの収集やセキュアなデータ転送を担うSEMA対応のBMC(Board Management Controller)やインテリジェントミドルウェアが搭載されるため、IoTアプリケーションを「ワンストップ」で構築できるというメリットがあると訴求した。

Harald Schmidts氏

 続いてSMARCとQsevenの動向を同製品のProduct Managerを務めるHarald Schmidts氏が説明した。

 SMARC(Smart Mobility ARChitecture)はADLINKとドイツKontron社によって開発され、現在は50社以上で構成される業界団体のSGET(Standardization Group for Embedded Technologies)によって標準化と普及が進められている小型のCOM規格だ。クレジットカードサイズに相当する82mm×50mm(ショート)などのフォームファクターが定められている。

 ADLINKではSMARC対応製品の拡充を予定しており、インテルのBroxtonやSoFIA、フリースケールのi.MX8などを搭載した製品を2016年以降に投入する計画である。

 QsevenもSGETで標準化と普及が進められている小型のCOM規格で、ADLINKでは、競合他社の製品終息で生じる一定の需要をターゲットにいくつかの製品を展開中である。インテルBraswellを採用するとともにグラフィクス機能を強化した新製品のサンプルを2015年第4四半期から出荷するという。

COM Expressの新仕様(R3.0)を開発中

Henk van Bremen氏

 業界団体であるPICMG(PCI Industrial Computer Manufacturers Group)によって標準化が図られているCOM Expressについては、ADLINKのModule Computing Product Segment部門のDirectorであるHenk van Bremen氏が最新動向を説明した。

 Bremen氏によると、同社におけるCOM Express製品の売上高は年率30%の伸びを果たしており、メディカル分野やゲーム機市場の成長が著しいという。同社は新製品を継続的に投入していく計画だが、IoTアプリケーションに限れば世代がCOM Expressよりも新しいSMARCのほうが適切な場合もあるとし、ニーズに応じて提案していく考えを示した。

 COM Express関連情報のアップデートとしては、PICMGで策定が進められているCOM.0 R3.0の概要を説明した(現在はR2.1が最新)。インテルのSkylakeプロセッサなどに対応するために、LPCバスを廃止してeSPI(Enhanced Serial Peripheral Interface)を追加するなどの変更が予定されているという。

 また、昨年のADLINKセミナーでドキュメントの日本語化に対する要望があったことを受けて、ADLINKでは「COM Express」のキャリア設計ガイドの日本語版を作成し無償で配布中である。

森 大実(おおみ)氏
丸文 システム営業本部 営業第2部 産業機器課 技術担当

 最後に、ADLINKの国内におけるアライアンスパートナーを務めている丸文の森 大実(おおみ)氏が「これだけは押さえたい!COM Expressキャリアボード設計入門」と題して、「COM Express」およびキャリアボードの放熱、両者のコネクタの嵌合、リザーブピンの扱い、BIOSの初期値など、COM Expressシステムの設計における技術的なポイントを解説した。

 「キャリアボードの設計は決して簡単ではないが、もっとも複雑なCPU周りの開発から解放されることをCOM Expressのメリットと捉えるべき」と説明。なお同社では、キャリアボードの設計などに関して顧客のサポートを行っている。

 以上の講演終了後は活発な質疑応答が行われた。また、会場の外ではADLINKがソリューションの展示を行い、来場者は足を止めて係員の説明を聞いていた。

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