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アルテラがFPGA開発ツールを刷新、デバイスの潜在能力を解き放つ「Quartus Prime」

IoTとビッグデータをフル活用する時代を目前にして、情報システムの中核を占めるデバイスとしてのFPGA(field programmable gate array)に注目が集まっている。設計・開発現場で回路構成を自由に書き換えられるため、開発の短期化に貢献するが、どんなに高い潜在能力を持ったデバイスも、効果的なプログラムがなければ、絵を描く前のキャンバスに過ぎない。

FPGAの搭載が想定される機器には、産業機器車載機器、ネットワーク機器、データセンター用のサーバーなど多岐にわたり、それらの性能は向上し続けている。しかも、設計・開発に許される時間と投入できるリソースは、限られている。

アルテラは、来るべき時代の要求に応える「Generation10」と言われる世代の大規模・高速・多機能なFPGAを投入している。今回同社は、こうした最先端のデバイスの潜在能力を余すことなく引き出すため、開発ツールを一新した。

 アルテラは、自社製FPGAおよびSoC FPGAのプログラムに用いる開発ツールを刷新した。新しい開発ツール「Quartus® Prime開発ソフトウェア(以下、Quartus Prime)」は、2015年5月に発表した高速化と高生産性を実現するエンジン「Spectra-Qエンジン(以下、Spectra-Q)」を中核に組み込むことで、設計性能と生産性を大幅に向上(図1)。

 従来ツールである「Quartus Ⅱ 開発ソフトウェア」の使い勝手はそのままに、設計時のイタレーション削減、業界最短のコンパイル時間、デバイス性能の向上を実現した。デバイスや機能に応じて、3つのエディションを用意し、11月2日からアルテラのウェブサイトからダウンロードを開始している。無償版と有償版があり、有償版であっても30日間は無償で利用できる。

図1 アルテラの新開発ツール「Quartus Prime」の操作画面写真
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使い勝手はそのまま、ツール内部は別モノ

 アルテラは、市場投入するデバイスの性能と機能、アーキテクチャーの進化に合わせて、開発ツールを常に更新し続け、デバイスの潜在能力を引き出してきた。特にQuartus Primeは、アルテラが数十年間にわたり蓄積してきた技術を注ぎ込み、最新技術も惜しみなく投入した、極めて内容の濃いバージョン更新である。

 そのため「Quartus Ⅲ」ではなく、Quartus Primeという新しい名称を冠した。性能や生産性を向上させた一方で、Quartus Primeのユーザーインターフェースは、QuartusⅡから変更することなく踏襲している。このため、従来ユーザーでも、戸惑うことなく利用できる。

 Quartus Primeに搭載されたSpectra-Qは、3つのアプローチからデバイス性能と設計生産性の向上を実現している。(1)論理合成、配置配線、タイミング解析のアルゴリズムの根本的な改良、(2)より効果的にIPを活用できるようにする階層データベースの採用、(3)HDLベース、IPベース、モデルベース、OpenCLベースといったさまざまなフロントエンドツールの最適化結果を横断的に使用できる、統合化されたコンパイラ技術である。

 こうした多角的な技術を投入した結果、Quartus Primeでは、大きく4つの機能が新たに搭載された(図2)。その効果は、早期アクセスプログラムに参加したユーザーの開発において、性能と生産性の大幅な向上が立証されたという。4つの機能について順番に見ていこう。

図2 Quartus Primeに搭載された4つの機能
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 1番目は、ハイブリッド配置法である。グローバル領域と詳細領域の配置をそれぞれの特徴に合った手法で実行するハイブリッド配置アルゴリズムの採用と、グローバル配線での新しいアルゴリズムが導入されている。これによって、単純にツールを更新するだけでも従来比で性能が約7%向上、さらに追加的な最適化を行えば同30%向上する。

 2番目は「BluePointプラットフォーム・デザイナー」。Spectra-Qを利用してデバイスのペリフェラル・アーキテクチャーを分析し、インターフェースを視覚的に割り当てられる機能である。不正なピン割り当てを防止し、複雑なエラー・メッセージやプログラム全体のコンパイルの完了を待つ必要がなくなり、I/Oの設計効率を10倍高める。

 3番目は、ラピッド・リコンパイル機能。一度論理合成と配置配線を終えた結果の情報を再利用して、小規模な設計変更を高速にコンパイル処理できるようにする機能である。合成前のHDLを変更する場合にはコンパイル速度を最大3倍に、フィッティング後のSignalTap IIロジック・アナライザを使った信号解析での条件変更の場合には同4倍に高速化する。

 4番目は、より多くの言語への対応。System Verilog-2005やVHDL-2008など利用可能なハードウェア記述言語(HDL)が増えた。

用途に応じて3種類のエディションを用意

 Quartus Primeは、ユーザーの設計要件に合わせた、3種類のエディションが用意されている。

 「Quartus Primeライト・エディション(LE)」は、「Cyclone® シリーズFPGA」や「MAX® シリーズ FPGA/CPLD」といった、低システムコストを実現する生産量の多いデバイス・ファミリでの利用を想定しており、無償で利用できる。これからFPGA設計をはじめてみようという設計者にも最適だろう。

「Quartus Primeスタンダード・エディション(SE)」は、従来バージョンの「Quartus Ⅱ サブスクリプション・エディション」に相当し、同社が提供する高性能デバイスも含む、現在の全デバイスの設計に対応するものだ。

「Quartus Primeプロ・エディション(PE)」は最上位のツールで、同社が「Generation10(MAX10は除く)」と呼ぶ最先端のFPGAおよびSoCデバイスの性能を余すところなく発揮すべく、性能と生産性の向上のための機能をフル装備している。BluePointプラットフォーム・デザイナーやラピッド・リコンパイルなどを利用できるのは、このPEである。現時点ではベータ版の提供であり、アルテラの担当者に問い合わせて利用することになる。

お問い合わせ
  • 日本アルテラ株式会社
    日本アルテラ株式会社

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